戸建て投資は利回りが高いけど難しい?戸建て投資について徹底解説!

不動産投資には様々な方法がありますが、その中の一つ、戸建て投資に関心を寄せている方もいらっしゃるでしょう。この記事では、戸建てを活用して賃貸経営を始めようと考えている方に対して、戸建て投資のメリット・デメリットについて解説した上で、どのような方が戸建て投資に向いているのか、どのような物件を購入するのが望ましいかなど、基礎知識や注意点についてご説明します。

この記事の監修者

織瀬ゆり

不動産のプロ

元信託銀行員。AFP・2級FP技能士をはじめ、複数の金融・不動産資格を所持。 それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。 2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。
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戸建て投資のメリット

木製テーブルの上に置かれたリモコン

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戸建て投資には、以下のように様々なメリットがあります。その概要を解説します。

少額で投資ができる

戸建て投資は、マンション投資(分譲マンションを購入し、賃貸物件として活用する方法)またはアパート投資(アパート一棟を購入し、賃貸物件として活用する方法)よりも、比較的少額で不動産投資を始めることができます。ケースによってはローンを利用せず、自己資金のみで購入できる場合もあります。

利回りが高い傾向にある

戸建て投資は少額で物件を取得しやすく、一定以上の家賃で貸し出せるため、利回りが高い傾向にあります。

アパートの賃貸物件のように、競合物件が多ければ相場が形成されやすくなります。しかし、戸建ての賃貸物件は競合物件が少ない上、個別性が高くなります。そのため、相場が形成されにくく、一定以上の家賃で貸し出せる可能性が高いといえるでしょう。

また、戸建ての場合、マンションやアパートのように共用部分の管理費用がかからないため、利回りが高くなる傾向にあると考えられます。

都心から離れていても、不利な条件でも需要が見込める

戸建て投資に活用する物件は、都心から離れていたり、最寄り駅からのアクセスがあまりよくなかったりしても需要が見込めます。

戸建て賃貸物件の入居者層は、主にファミリー層です。集合住宅では、子どもの声や走り回る音に気を遣うものです。そのため、ファミリー層では「広い戸建てに住みたい」と考える方が多く、一定の需要が見込めます。

子育て以外に考えられる戸建て賃貸物件の需要として、ペット飼育、ガーデニングなども挙げられるでしょう。

入居期間が長い傾向がある

戸建て賃貸物件の入居者は、入居期間が長い傾向にあり、安定した家賃収入を得られやすいのもメリットです。

先ほどご説明した通り、戸建て賃貸物件の入居者層は主にファミリー層です。ファミリー層では、子どもをなるべく転校させたくないと考える人が多く、単身世帯と比べると転居しにくいといえるでしょう。そのため、いったん入居すると入居期間が長くなる傾向があります。

管理の自由度が高い

戸建て投資は、賃貸管理の自由度が高いのもメリットです。

マンションを一室購入する不動産投資では、マンション全体のルールがある上、共用部分の修繕計画も決まっています。一方で、戸建てには共用部分というものがないため、所有者自身が細かなルールを決め、状況に応じて修繕することが可能です。

キャッシュフローが良い

戸建て投資は、キャッシュフローを良好な状態にしやすいでしょう。

先にご説明した通り、戸建ては取得費用などの初期費用を低く抑えられます。また、マンションで必要な管理費や修繕積立金の支払いがありません。さらに、高めの家賃設定が可能であれば、キャッシュフローをより良好に保てるでしょう。

節税対策になる

戸建て投資に限らず、不動産投資は節税対策にもなります。

不動産を取得した時の物件価格は経費に計上できませんが、価値の減少分を減価償却費として計上できます。減価償却を行っている一定期間は、実際には支出していない経費(減価償却費)を家賃収入から差し引けるため、税務上、不動産所得を赤字にできるケースもあります。

会社員などとして給与を得ている場合、不動産所得の赤字を給与所得で損益通算できるため、所得税や住民税の節税を図れます。

戸建て投資のデメリット

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戸建て投資には、以下のように様々なデメリットがあります。その概要を解説します。

修繕や管理の手間がかかる

築年数が経過している戸建ての場合、建物の修繕費用がかさみます。また、次々に修繕が必要な箇所が見つかるなど、管理の手間がかかる可能性もあります。

特に、空き家として長期にわたり管理が行われていなかった戸建ては、劣化が進行している可能性が高くなります。物件価格が安かったとしても、戸建て投資初心者の方は見送った方がよいでしょう。

リフォーム費用が高額になる場合がある

リフォームやリノベーションに多額の費用がかかる可能性があります。

特に、建物の劣化が激しい戸建て物件は、購入しやすい価格帯であったとしても、そのままでは借り手が付きづらいでしょう。魅力ある戸建て物件にするためには、建物・設備についてリフォームやリノベーションが必要となります。それらを業者に全て任せると、300万円~500万円程度の費用がかかるため、購入価格が安くても利回りの低下につながってしまいます。

一部をDIYで対応する、安価で請け負ってくれる業者を選ぶなど、費用を抑えて利回りの低下を防ぎましょう。

入居需要の見極めが難しい

入居需要の見極めが難しい点もデメリットとして挙げられます。

戸建て投資はアパート投資と異なり、貸し出す物件戸数はひとつで、空室になれば家賃収入を得られません。そのため、不動産会社に相談するなどして、周辺エリアにおける戸建て賃貸物件の入居需要や賃料水準について確認し、慎重に検討する必要があります。

資産拡大のペースが遅い

戸建て投資で得られる収益は限られるため、資産拡大のスピードは遅くなります。

戸建て投資では、購入費用等の初期費用は抑えられますが、物件がひとつなので、アパート投資と比較すると得られる家賃収入は少なくなります。資産拡大の効率はアパート投資の方が高いといえます。家賃収入を増やすためには、複数の戸建て物件を取得する必要があるでしょう。

貸すまでに手間がかかる

賃貸需要が限られるため、貸すまでに手間がかかる点もデメリットです。

先にご説明した通り、戸建ての賃貸物件の入居者層は、主にファミリー層です。いったん入居すると入居期間は長くなりますが、賃貸需要が限られるため、入居者が決まるまでに時間を要する可能性があります。

戸建て物件は購入後、リフォームやリノベーションが必要になることも手間がかかるといわれる理由です。

ローンがおりにくい

戸建て投資は、ローン(融資)の審査がおりにくいこともデメリットです。

RC造や鉄骨造などと比べて、木造の戸建ては建物の耐用年数が短くなります。金融機関は耐用年数以内に返済期間を設定することが多いため、返済期間が短くなる傾向があります。返済負担を軽減させるため、頭金を多く準備しなくてはならない可能性もあります。

キャッシュフローを確認し、無理なローン(融資)を組まなくても戸建て投資を行える方法を考えてみましょう。

リスク分散がしづらい

戸建て投資は、リスクを分散しづらい点もデメリットです。

アパート投資と異なり、貸し出す物件戸数はひとつです。そのため、空室になれば家賃収入を得られません。分散投資を行うのであれば、複数の戸建てを所有する計画も必要になります。

戸建て賃貸の利回り

テーブルの上のリモコン

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首都圏における中古戸建ての売買平均価格(東日本不動産流通機構/年報マーケットウォッチ2022年・年度)をもとに、家賃を月額20万円と設定した場合の利回りは以下の通りです。

築年~築5年築6~10年築11~15年築16~20年築21~25年築26~30年築31年~
成約価格平均(万円)4,8214,6534,4364,0243,9553,3332,345
年間家賃収入(万円)240240240240240240240
利回り5.0%5.2%5.4%6.0%6.1%7.2%10.2%
築年数成約価格平均(万円)年間家賃収入(万円)利回り
〜築5年4,8212405.0%
築6年〜10年4,6532405.2%
築11年〜15年4,4362405.4%
築16年〜20年4,0242406.0%
築21年〜25年3,9552406.1%
築26〜30年3,3332407.2%
築31年〜2,34524010.2%

いずれの築年数でも、不動産投資の利回りの最低ラインといわれる5%をクリアしています。ただし、上記の計算結果は売買平均価格と想定家賃収入によるものなので、エリアや物件の選定によって、購入価格を抑えたり家賃設定を高くしたりできれば、さらに高い利回りを目指せる可能性があります。物件取得費用に加え、リフォームやリノベーションの費用もかかることを考慮して、収益性や利回りを確認しておきましょう。

戸建て投資に向いている方

次のような方は、戸建て投資に向いています。

時間に余裕がある方

戸建て投資は、時間に余裕がある方に向いています。

戸建て投資では、物件選定が大きなカギになるため、物件選定のために検討を重ねる時間が必要です。また、物件を取得した後も、貸し出すまでにリフォームやリノベーションが必要であり、一部または全部をDIYで対応して費用を抑えようとすると時間を要します。

こうした時間を捻出する余裕がある方には、戸建て投資が向いているといえます。

リスクを抑えたい方

リスクを抑えて不動産投資に取り組みたい方に向いています。

先ほどの利回り計算のシミュレーションでは、物件価格を数千万円に設定しましたが、中古の戸建ての中には数百万円で購入できるものも多くあります。数百万円であれば、ローン(融資)を利用せずに取得できるケースもあり、月々の返済負担を負うリスクをゼロにできます。

戸建て投資は資産拡大のスピードは遅いものの、リスクを抑えてコツコツと不動産投資に取り組みたい方には向いています。

失敗しない物件の選び方

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戸建て投資を成功させるためには、物件選びがカギになります。物件を選ぶ際に重視しておきたいポイントについてご説明します。

新耐震基準

中古の戸建ては、新耐震基準を満たした物件を選びましょう。

新耐震基準は、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しない構造基準として設定されており、昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認を受けた物件が該当します。

新耐震基準を満たした物件を選ぶことは、入居者の安全を守れるだけでなく、ローン(融資)を受ける上でも重要なポイントになります。新耐震基準を満たしていない物件はローンの審査通過が難しくなるえため、購入時のみならず、将来的に出口戦略として売却を考える際にも買い手が付きづらくなるでしょう。

駐車場付き

駐車場付きの戸建てを選びましょう。

都心から離れていたり、最寄り駅からのアクセスがあまりよくなかったりしても、戸建てに賃貸で住みたいという需要はあります。だからこそ、特に郊外にある戸建てであれば、自家用車を利用する機会が多くなります。そのような生活をイメージして駐車場を確保できる戸建てを選ぶということも、重要なポイントになるでしょう。

新築は避ける

新築は避けて、中古の戸建てを選びましょう。

新築物件は価格が高く、高利回りが期待できません。ただし、あまりに築年数が経過した戸建ては、リフォームやリノベーションの費用がかさむ可能性が高くなります。特に、傾きが生じている物件は修繕の難易度が大幅に上がるため、どんなに格安でも手を出してはいけません。

また、中には周辺環境の変化や法改正などにより、再建築不可となっている戸建てもあります。再建築不可物件は格安で売りに出されることが多いものの、融資を受けづらい上、将来的に売却するのも難しいでしょう。

自分が住みたいと思える立地

立地も戸建て選びの大きなポイントです。

戸建て賃貸の主な入居者は、ファミリー層です。自分がファミリー層であると想定し、ここに住んでみたいと思える立地を選びましょう。

特に大切なのが学校へのアクセスです。子どもの登下校のみならず、送迎が必要になる可能性も考えられるため、学校へのアクセスが悪いと敬遠されてしまいます。

学校以外に、スーパーや医療機関、公共施設などへのアクセスも考慮して、ファミリーで生活する姿をイメージしながら、魅力的な立地を選びましょう。

シンプルな間取り

シンプルな間取りの戸建てを選びましょう。

売りに出されている戸建ての中には、こだわりの詰まったオリジナリティあふれる物件もありますが、その所有者にとっては魅力的でも、第三者からみれば使いづらい可能性もあります。入居者層が限られているので、あまり凝った作りではなく、使いやすいシンプルな間取りの戸建てを選びましょう。

土地活用の比較

草の上を歩いている

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土地活用には様々な方法があります。ここでは、土地活用の4つの方法とその概要についてご紹介します。

駐車場投資

平面駐車場であれば、初期費用があまりかかりません。立体駐車場の場合は、建設費用等がかかります。収益性や節税効果は戸建て投資よりも低いものの、収益化までの期間が短い点はメリットです。

駐車場投資の詳しい内容については、以下の記事をご参照ください。

不動産投資で駐車場はやめたほうがいい?メリットや成功のポイントについて解説します

2023.10.19

アパート投資

アパートの入居者から家賃収入を得る方法です。アパート1棟を取得するには数千万円かかるケースもあり、初期費用が大きくなります。賃貸需要を見極め、空室対策や各種リスクへの対策を十分に考慮した事業計画、収支計画を作成する必要があります。戸建て投資と比べると、収益性や効率性は高いものの、リスクも高い点に注意が必要です。

アパート投資などの一棟投資については、以下の記事をご参照ください。

一棟投資を成功させるために知っておきたい基礎知識を徹底解説

2023.10.26

トランクルーム投資

トランクルームの管理や運営は管理会社に一任できるため、手間がかかりません。トランクルームの設置費用は数百万円であり、初期費用を抑えて投資をスタートできます。ただし、戸建て投資よりも需要や収益性は低いといえます。

コインランドリー投資

コインランドリーを設置して、利用料を得る投資方法です。初期費用は大きいものの、ランニングコストが低いため、収益の安定性は高いといえます。ただし、利用料が少額であるため収益額は低く、利回りは高くありません。

戸建て投資は物件選びが大事!

戸建て投資は、初期費用を抑えられる上、いったん入居者が決まると入居期間が長く、安定的に家賃収入を得ることができる不動産投資の方法です。ただし、成功するには物件選びが大きなカギになるため、物件に関する情報収集を入念に行う必要があります。投資対象として評価できるか、不動産会社とも相談しながら、入居者の立場に立って物件や周辺環境をチェックし、最適な戸建てを見つけて投資をスタートしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

キムラミキ

ファイナンシャルプランナー(AFP)宅地建物取引士 社会福祉士 キャリアコンサルタント 日本社会事業大学で社会福祉を学んだ後、外資系保険会社、マンションディベロッパーに在籍後、 FPとして独立。現在は、株式会社ラフデッサン 代表取締役として、個人向けライフプラン相談、 中小企業の顧問業務をお受けするほか、コラム執筆、セミナー講師、 山陰放送ラジオパーソナリティとしても活躍中。

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