分譲マンションの火災保険は必要?入らないことによるリスクは?

分譲マンションを購入する場合、火災保険に加入するのが一般的です。それでは、火災保険に加入しないで分譲マンションを購入することはできるのでしょうか。また火災保険に入らない場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。分譲マンションの火災保険について解説していきます。

この記事の監修者

松田聡子

保険のプロ

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て独立系FPとして開業。 企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、 金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP®・ DCアドバイザー・証券外務員2種
https://gunmaf.net/gunmafp/

分譲マンション購入で加入する保険の種類

分譲マンション購入時に加入を検討する建物に関する保険の種類には、火災保険と地震保険の2つがあります。

火災保険

火災保険は、火災や落雷などの自然災害などによるリスクに備える損害保険です。火災で自宅が燃えてしまったときだけでなく、台風や雪災、水災、洪水、ひょう災などで自宅に損害があったとき、または盗難や外部からの衝突で損害を受けたときなどに補償を受けられます。

個人の火災保険の補償対象には、建物と家財があります。建物と家財の補償は別個であり、建物に火災保険をつけただけでは家財の損害は補償されません。

※補償の範囲や内容は契約により異なります。

地震保険

地震保険は、地震、延焼を含む地震による火災、噴火、津波、地震による土砂崩れによる損害リスクに備える保険です。火災保険は地震による損害は補償対象外であるため、地震が原因の火事などに備えるには、地震保険に加入しなければなりません。ただし、地震保険は単独では加入できず、火災保険にセットする形式での加入となります。地震保険は公共性のある保険で、地震保険に関する法律により、地震により巨額な損害が発生した場合に、保険会社で負担しきれない分を政府が再保険として引き受けることでカバーする仕組みとなっています。

地震保険と火災保険の対象範囲や保険料などの違いは以下の記事で詳しく説明していますので、こちらも参照ください。

地震保険と火災保険の違いは?補償内容と必要性を解説

2023.10.10

分譲マンションで火災保険に加入する必要性は?

分譲マンションに火災保険は必要なのかどうかを説明します。

燃えにくい建物にもリスクはある

一般的にマンションは木造住宅などに比べ、耐火性が高い建築物です。多くのマンションで採用されている鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、建築基準法で定める耐火建築物に該当します。

耐火建築物には、炎が燃え広がりにくいという特徴があります。だからといって、建物の焼失リスクがゼロというわけではありません。

また、火事がマンションの室内で起きた場合、自室と家財に損害が発生します。

このようなリスクを考慮すると、火災保険に加入したほうが得策といえるでしょう。

火災保険は隣接する家からの出火にも備えられる

火災保険は、火災や風災などによる損害を補償する保険で、その出火元が自宅でない場合も補償の対象となります。例えば、隣接する家からの延焼やもらい火によって自宅が被害を受けた場合です。

分譲マンションは戸建てと異なり上下左右に家が隣接することから、火事が発生した場合に延焼などによる損失を被りやすい構造になっています。火災保険はそのようなリスクに備えるものとして有効です。

火災保険なら自然災害による損害にも備えられる

火災保険は、火災以外の自然災害による損害にも対応しています。火災以外に基本的にカバーされるのが、落雷による損害、破裂や爆発による損害です。

火災保険の契約内容次第では、台風や竜巻による風災、ひょう災、大雪による雪災、洪水や集中豪雨による水災、土砂崩れなどの自然災害も補償対象に含まれることがあります。

強度の高さなどから一般的に分譲マンションは戸建てなどと比べて災害リスクは低いとされているものの、リスクゼロではありません。水害や雪災は避けられても、強風によりものが飛んできたり、隣接する家のガス爆発などに巻き込まれたりする可能性はあります。火災だけでなく、あらゆる災害リスクに備える意味でも火災保険の加入は有用です。

火災保険のマンションの種類別の必要性などについては、以下の記事で詳しく説明していますのでこちらも参照ください。

地震保険と火災保険の違いは?補償内容と必要性を解説

2023.10.10

分譲マンションの火災保険加入のしかたと選び方のポイント

分譲マンションの火災保険はどのようにして加入するのでしょうか。加入方法と火災保険を選択する前に知っておきたいポイント、選び方のコツを紹介します。

火災保険の加入方法

火災保険はさまざまな損害保険会社で提供されています。以下に紹介する火災保険の選び方で加入したい保険会社を絞り込んだら見積りを行い、問題がなければ契約に進みます。

火災保険の契約にあたっては、分譲マンションの構造や建築年月日を確認できる建物登記簿謄本や重要事項説明書、売買契約書のほか、耐火性能が確認できる建築確認申請証や施工主による証明書などが必要です。必要書類は契約する損害保険会社で異なりますのでよく確認しておきましょう。

確認書類と申込書類を提出して、決められた保険料を払い込むことによって、契約が締結され、保険開始日より火災保険による補償が始まります。

火災保険の金額はどのように決める?

火災保険の保険料は、建物構造や所在地、築年数、補償内容(どこまでを補償対象とするか)など、設定した保険金額で決まります。

火災保険の保険金額は建物評価額をもとに決めます。建物の評価額には時価と新価(再調達価額)の2つの基準があります。現在では、同じ物件を再築または再購入するのに必要な金額で設定する、新価での契約が一般的です。

家財についても個別で評価するのが基本ですが、対象が多いと評価のための時間も手間もかかってしまいます。家財を火災保険の対象にする場合は、保険会社より提示される世帯別の評価額の目安を参考にする方法もあります。

最終的な目的は必要な補償を受けられるようにすることですので、建物や家財の保険金額の決め方を参考に、適切な保険金額を設定するようにします。

火災保険の保険料相場と割引について

火災保険料は、先述のように、保険金額のほか、築年数、建物の構造、所在地、補償内容により変動します。保険会社によってはインターネット上で簡単に保険料の見積額がチェックできるものもあるため、複数社で見積もりをとって比較するのもおすすめです。

なお、損害保険会社各社では火災保険の契約者向けにさまざまな割引制度を設けています。代表的な割引制度は以下のとおりです。

長期契約割引長期契約により受けられる割引です。以前は最長10年の契約ができましたが、自然災害の発生件数が増えたことから2022年10月からの新規契約は最長5年となっています。保険会社により割引率は異なりますが10%以上の割引が適用されることもある、割引率の高い割引制度です。
新築割引新築から11カ月後の月末までに火災保険の保険始期日を設定した場合に適用される割引です。
築浅割引築年数が浅い物件を対象にした割引で、築年数10年未満を目安にしている保険会社が多いです。
オール電化割引住宅のすべての設備のエネルギー源を電気によりまかなわれている場合に適用される割引です。
ホームセキュリティ割引警備会社が常時監視できるような機械警備を設置している住宅に適用される割引です。

ほかにも、保険会社によっては、一定の消火設備を設置している場合の割引制度や、居住者に喫煙者がいない場合の割引制度などを設けているところもあります。

【選び方のポイント1】補償内容をどこまでカスタマイズできるか

火災保険によっては、補償内容がまとめてパッケージ化した商品もあります。パッケージ化された商品は便利ではあるものの、詳細を確認すると分譲マンションの構造上あまり重要度の高くない補償が含まれていることもあります。

コストを抑えつつ、よりポイントを押さえた内容で契約するには、重要性の低い補償内容を省いて契約するのが効果的です。必要に応じて補償内容を選択できる、カスタマイズ可能な火災保険を選択するとよいでしょう。

【選び方のポイント2】地震保険をセット契約するか

地震保険は、地震による建物の倒壊や地震を原因とした火災などに備える保険です。地震保険については、先述のように火災保険とセット契約が条件となっていることから、火災保険を契約していないと契約ができません。

なお、地震保険は公共性の高い保険ですので、どの保険会社で契約したとしても保険料や補償内容に違いはありません。地震保険を契約する場合は、火災保険の補償内容や保険料などを比較して決めていくことをおすすめします。

火災保険の加入で注意したいこと

火災保険は、火災以外にも、自然災害や盗難、水漏れなど契約次第で幅広い損害に対応できます。自然災害についてはそのほとんどを補償対象としますが、地震保険でカバーされる部分は補償対象外となることに注意が必要です。

例えば、地震による建物の損害、地震を原因とした津波による損害、噴火による損害は対象外です。また、火災であっても地震を原因とする場合は、火災保険の対象となりません。

火災保険よりもさらに広い範囲、地震や噴火による損害について補償を受けたい場合は、火災保険とセットで地震保険の契約が必要です。

なお、地震保険を契約した場合であっても、火災保険ほどの保険金額が補償されない点にも注意しましょう。

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲に限定されています。また、建物5,000万円、家財1,000万円の上限もあります。

地震保険は保険金の支払い基準が、全損、大半損、小半損、一部損の4つの区分で定められています。地震による被害全額の補償を受けられるわけではない点を知っておきましょう。

参考:地震保険制度の概要|財務省

分譲マンションで火災保険に入らないリスク

分譲マンションの購入の際に住宅ローンを利用する場合、基本的に火災保険の加入は必須です。建物が火事で焼失したなどの場合、金融機関は債権の回収が難しくなります。そのため、債権の保全のために火災保険の加入を契約者に求めるのです。

住宅ローンを利用しない場合でも、火災や自然災害での自宅マンションの滅失による経済的ダメージは甚大です。マンションを失っても同等の物件を買える資金のある人でなければ、火災保険に加入したほうが安心でしょう。

分譲マンションは上下左右で家が隣接しています。隣接する家からの延焼やもらい火により損害を受けた場合、出火元に損害賠償を請求することが考えられます。しかし失火責任法の定めにより、相手に重大な過失がない限りは損害賠償金を受けられません。

仮に火災保険に加入しておらず延焼により自宅が損害を受けた場合、基本的に損害賠償を請求できないことから自己負担により修繕する必要があります。延焼部分の損害が大きいと、高額な自己負担となってしまいます。

火災保険に入らないことによるリスクは大きい

分譲マンションの購入時に火災保険に入らない選択はできるものの、火災保険に加入しないことで、火災や自然災害などで損害を受けた場合に、多額の負担が発生するリスクがあります。リスクの大きさを考えると火災保険の加入がおすすめです。

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この記事を書いた人

本村結貴

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、中学校教諭二種免許状(英語)、等保有。 学び直しのため、現在は慶應義塾大学経済学部通信教育課程に在学中です。 企業経理や会計事務所での勤務経験を活かして、フリーライターとして、 会計、経理、金融系の記事を中心に執筆しています。

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