FXのテクニカル分析において、チャートパターンの把握は避けては通れません。
非常に単純な分析方法ですが、強力に機能する場面があるため、実際の取引で上手に活用できれば、トレーダーにとって非常に有効なツールとなるでしょう。
今回は、まず覚えておきたい鉄板のチャートパターンをご紹介します。
またチャートパターン分析をする際に気を付けておきたい注意点についても解説しますので、しっかり確認しておきましょう。
チャートパターンとは
まったく同じ値動きはないといわれる相場ですが、同じような「型」つまりチャートパターンを形成することはよくあり、その後の値動きの予測に役立ちます。
まずはどのようなパターンがあるのか、1つずつ確認していきましょう。
鉄板チャートパターン13選
必ず覚えておきたい、鉄板チャートパターンは以下の13個です。
- 支持線・抵抗線
- ロールリバーサル
- トレンドライン
- チャネルライン
- ウェッジ
- トライアングル(三角保ち合い)
- ペナント
- フラッグ
- ダブルトップ・ダブルボトム
- トリプルトップ・トリプルボトム
- ヘッド&ショルダー・逆ヘッド&ショルダー
- カップ&ハンドル
- AB=CD
それぞれ解説します。
①支持線・抵抗線
テクニカル分析をするうえで、最も基本となる線です。
値動きは、特定の価格帯で下げ止まったり上げ止まったりすることがよくあります。このとき、値動きが下げ止まる価格帯を「支持線」、値動きが上げ止まる価格帯を「抵抗線」といいます。
「支持線」と「抵抗線」が確認できると、その後も同じような価格帯で値動きが止まり、押し返される可能性が高いと考えられます。
また「支持線」はサポートライン、「抵抗線」はレジスタンスラインともいわれます。

出典:SBI FXトレード
取引戦略としては支持線で買い、抵抗線で売りがセオリーです。
上の画像のように、上下の抵抗線・支持線に挟まれて、一定の価格帯を行ったり来たりする相場状況を、レンジ相場といいます。
②ロールリバーサル
支持線、抵抗線の役割が逆転する「ロールリバーサル」も非常に重要です。
しばらくの間支持線として機能していた価格帯を下方向にブレイクした後、価格が支持線付近に戻ってくると、今度は抵抗線として機能することがあります。
逆に、抵抗線として機能している価格帯を上方にブレイクした後、価格が抵抗線付近に戻ってくると、今度は支持線として機能することがあります。
これを役割(Role)の逆転(Reversal)ということで、「ロールリバーサル」と呼びます。
支持線として機能しているうちは、その価格帯は買いポイントと考えられます。
しかし一度ブレイクすると、同じ価格帯が今度は売りポイントとなる可能性があるため、頭に入れておきましょう。
③トレンドライン
その名前の通り、トレンドを支える線のことです。
上昇トレンドラインであれば、価格の安値を結んで線を引きます。逆に下降トレンドラインであれば、価格の高値を結んで線を引きます。
【上昇トレンドライン】
【下降トレンドライン】
上昇トレンドライン付近に価格がくると、そこから上昇し、下降トレンドライン付近に価格がくると、そこから下降していることがわかります。
そのため、トレンドラインは、「押し目買い」や「戻り売り」ポイントの目安となりますし、トレンドラインを価格がブレイクした時は、トレンドが終了したもしくは、いったん値動きの勢いが弱まったと考えられます。
逆にトレンドがさらに勢いづき、一度引いたトレンドラインから価格が離れていくこともあります。
このようにトレンドラインの傾きにより、トレンドの勢いを視覚的に掴むことが可能です。トレンドラインの傾きが強いほど値動きに勢いがあり、傾きが弱いほど値動きの勢いが弱いと考えられます。
ただし、トレンドラインから価格が大きく離れて行く場合、値動きの勢いが強いと考えられる反面、トレンドの終盤によくみられる「クライマックス」の可能性があることも忘れてはいけません。
トレンド終盤のクライマックスの後は、トレンドが転換することも十分に考えられます。
オシレーター系のテクニカル指標を併用するなどして、さらにトレンドが継続する余力があるのか、判断しながらトレードすると良いでしょう。
④チャネルライン
チャネルラインとは、トレンドラインと対になる線です。
上昇トレンドであれば高値を結んで引ける線であり、下降トレンドであれば安値を結んで引ける線です。
特に、トレンドラインに対して平行になるチャネルを「平行チャネル」といいます。
チャネルの中では、トレンドを形成しながらもラインに沿うレンジ相場のような値動きになるのが特徴です
【上昇チャネル】
【下降チャネル】
このような相場では、チャネルラインは利益確定の目安になります。
たとえば、上の画像のような下降チャネルであれば、トレンドライン付近で売り、チャネルライン付近で利益確定するといった戦略が考えられるでしょう。
⑤ウェッジ
ウェッジとは、トレンドラインとチャネルラインに挟まれた値動きが次第に小さくなり、先細った「くさび型」をしたチャートパターンです。
特にチャネル内の値動きが安値と高値を切り上げているものを上昇ウェッジ、チャネル内の値動きが高値と安値を切り下げているものを下降ウェッジといいます。
【上昇ウェッジ】
【下降ウェッジ】
上昇ウェッジは、安値を順調に切り上げていくものの、高値の切り上げは弱まった状態であるため、その後の値動きは、ダウントレンドに転換しやすいと考えられます。
逆に下降ウェッジは、高値を順調に切り下げていくものの、安値の切り下げは弱まった状態であるため、その後の値動きは、上昇トレンドに転換しやすいと考えられます。
またウェッジつまりくさび型になるということは、次第に値動きが小さくなっていることの表れでもあります。
相場の値動きは収縮と拡散を繰り返していて、収縮のあとは相場のエネルギーが拡散され、大きな値動きにつながりやすいです。
ウェッジパターンのあとは大きな値動きになりやすいため、上手に方向性を見極められれば、大きな利益を得られる好機となるかもしれません。
⑥トライアングル(三角保ち合い)
トライアングルは、三角保ち合いとも言われ、方向性がなく、値動きが縮小し三角形を形成している相場状況を指します。
三角形を形成している上値抵抗線をブレイクすれば買いサイン、下値支持線をブレイクすれば売りサインと考えられます。
特にきれいな線対象のトライアングルを形成しているパターンを、「シンメトリカル・トライアングル」ともいいます。

出典:マネックス証券
「シンメトリカル・トライアングル」は、視覚的に売買の偏りを捉えづらく、どちらの方向に価格がブレイクするのかわからないことが多いです。
わからないときは無理に取引せず、価格が動き出すのを待ちましょう。
また、トライアングルには、その形状によってさまざまな名称があります。
たとえば、高値は一定水準で止められているものの、安値を切り上げている状態のトライアングルを「アセンディング・トライアングル」または「強気の三角保ち合い」といい、上昇が続くと考えられます。

出典:マネックス証券
逆に安値は一定水準で止められているものの、高値を切り下げている状態のトライアングルを「ディセンディングトライアングル」または「弱気の三角保ち合い」といい、下落が続くと考えられます。

出典:マネックス証券
トライアングルは、ウェッジ同様次第に値動きが縮小していくチャートパターンであり、価格がトライアングルをブレイクすると、大きな値動きにつながりやすいのが特徴です。
⑦ペナント
ペナントは、細長い三角形の旗の形状に似たチャートパターンです。
トライアングルの一種ですが、特徴的なのは、ペナントを形成する前に強い一方向への値動きがある点です。
この一方向への値動きが、旗の柄の部分となります。
ペナントを形成する前の、柄の部分の値動きが強いほど、その後もその値動きが継続する可能性が高いと考えられます。
しかし、ペナント部分が大きく長く続いた場合、それまでの値動きの勢いが止まり、逆方向に動き出す可能性が考えられるため注意が必要です。
⑧フラッグ
強い一方向への値動きの後に見られるチャートパターンとして、「フラッグ」というものもあります。
「フラッグ」はペナント同様、旗の意味ですが、ペナントとは形状が異なり、四角い形をしています。
また、下向きのフラッグを「下降フラッグ」、上向きのフラッグを「上昇フラッグ」といい、強い上昇の途中に「下降フラッグ」を、強い下降の途中に「上昇フラッグ」を形成することが多いです。
【下降フラッグ】
【上昇フラッグ】
⑨ダブルトップ・ダブルボトム
ダブルトップとは、抵抗線で二度止められ、アルファベットの「M」のような形状をしたチャートパターンです。
高値圏で現れ、抵抗線のブレイクをチャレンジして二度とも失敗に終ることで、下落に転じるシグナルとなります。
逆に、支持線のブレイクに二度チャレンジし、二度とも失敗に終わることで、上昇に転じるシグナルとなります。
これを「ダブルボトム」といいます。アルファベットの「W」のような形状です。
ダブルトップ・ダブルボトムともに、同じ価格帯で二度跳ね返されることで、逆方向へ動きだすというチャートパターンですが、跳ね返される価格帯はまったく同一の水準でなくても構いません。
たとえば、次のようなチャートでも、ダブルトップと認識して良いでしょう。
どの程度の形の崩れまで許容するのかはトレーダーの裁量によって異なります。
相場状況や取引スタイルなどに合わせ、自分の中で信頼できるパターンを見つけていきましょう。
⑩トリプルトップ・トリプルボトム
ダブルトップやダブルボトムと似たような形ですが、同じ価格帯で三度跳ね返されるチャートパターンで、反転のシグナルとなります。
【トリプルトップ】
【トリプルボトム】
トリプルトップ・トリプルボトムは、すでに二度値動きが跳ね返されているため、ダブルトップ・ダブルボトム以上に値動きが跳ね返されるポイントが明確です。
そのため、より抵抗線や支持線に近いポイントで取引できます。
抵抗線や支持線の近くで取引できるということは、損切り幅が小さく済みます。
つまり、この取引が失敗したときには小さな損失で済み、成功したときには大きな利益が期待できるということです。
⑪ヘッド&ショルダー・逆ヘッド&ショルダー
値動きにより3つの山または谷を作るため、トリプルトップ・トリプルボトムに近い形状のチャートパターンです。
日本語では、「三尊」「逆三尊」などと呼ばれます。
高値圏でのヘッド&ショルダーは売りシグナル、安値圏での逆ヘッド&ショルダーは買いシグナルです。
【ヘッド&ショルダー】

出典:外為どっとコム
ヘッド&ショルダーの形状は、真ん中の山が最も高く「ヘッド」部分になり、左右の山が「ショルダー」部分になります。
逆ヘッド&ショルダーは、これを上下反転させた形状です。
ヘッド&ショルダーの場合、順調に上昇してきた相場が、「ヘッド」部分から値を下げ、価格を支えていたネックライン(支持線)を下方にブレイクし、上昇トレンドの転換が疑われる状況となります。
その後支持線であった価格帯に価格が戻ってきたとき、支持線が抵抗線となる(ロールリバーサル)ことで、価格は下落していきます。
ヘッド&ショルダーでは、「ヘッド」部分からの価格の下落によって、上昇トレンドの転換が疑われる状況だと判断できることが大切です。
トレンド転換の判断材料として、「ネックラインの下方ブレイク」の他に、「上昇トレンドラインのブレイク」も検討するなど、これまで学習したチャートパターンの知識などを複合して考えてみましょう。
⑫カップ&ハンドル
チャートの形状が、コップと取っ手のように見えるチャートパターンで、買いのシグナルとなります。
コップの部分は大きなU字型をしていて、コップの形を作った後、価格は下方向に戻され、取っ手部分を形成します。
取っ手部分は、フラッグやペナントになることが多いです。
フラッグやペナントを上方にブレイクしたところから本格的な上昇が始まり、U字型の底から取っ手の付け根までの上昇幅と同程度の上昇が期待できます。
⑬AB=CD
値動きは常に大小の波を描いて推移します。
AB=CDパターンは、その波つまり値動きの上下動を捉えたチャートパターンです。
このチャートパターンは、値動きの継続がいったん止まるポイントを特定するのに役立ちますので、実際の取引では、新規取引や利益確定をする目安になります。
下の画像のように、価格がAからBへ上昇したのち、BからCへ一度下落し、Cから再上昇した値動きの目的地がABの上昇幅と同程度になり、AB=CDが完成します。
Cからの上昇幅の目安があらかじめ掴めるので、買いポジションを持っているトレーダーは、D地点で利確できますし、D地点から新規で売りを入れることも考えられます。
またショートポジションを持っているトレーダーは、D地点までの上昇は許容し、価格がD地点を超えたら損切りする目安にも使えるでしょう。
またAB=CDパターンの利点は、値幅のみでなく、D地点の時間帯も先行して想定できるという点です。
ABの上昇に要した時間と同程度の時間をC地点からの上昇でも要すると想定できるため、価格がC地点からD地点に到達するには、あと「何分」や「何時間」、「何日」というような予想がたちます。
値幅と時間が同等のきれいなAB=CDパターンであるほどD地点がトレーダーに認知されやすく、価格が反応しやすいため、値幅だけでなくD地点に到達するまでに要した時間も気にしながら分析してみましょう。
AB=CDパターンにはさまざまな応用パターンがあります。特にトレンド転換を捉える、AB=CDパターンは、取引の際に重宝するので覚えておきましょう。
画像のように下落トレンドが継続していて、いったん下落が止まり、底値Bから上昇を見せたとします。
C地点からの下落以降、下落トレンドが再開する可能性もありますので、うかつに買いポジションは持てません。
しかし、ここにきれいなAB=CDパターンが発生していることに気付くことができれば、D地点からの上昇を想定して買うことも可能です。
もちろん、いつもAB=CDパターンが機能するわけではありません。
A地点に到達するまでの値動き、BからC地点への値動き、CからD地点への値動き、AB=CDパターンのバランスなど観察すべき点はいくつもあります。
しかし、AB=CDパターンを想定しながら観察することで、値動きの特徴や信頼できるパターンが見えてくるでしょう。
FXでチャートパターンを使うときの注意点
ここまで、13のチャートパターンを解説してきました。
まだまだ多くのチャートパターンが存在しますが、今回解説したのは、そのなかでも特に基本的でありながらも非常に有効なチャートパターンです。
しかし、チャートパターン分析に慣れないうちは、いろいろと悩むこともあるでしょう。
ここでは、チャートパターン分析をする際に気を付けたい注意点について、お伝えします。実際の分析に悩む前に、ぜひ読んでおいてください。
線の引き方
チャートパターンはどれもチャートに線を引いて確認します。そのため、線の引き方について悩む方もいらっしゃいます。
しかし線の引き方について、明確なルールはありません。
ローソク足の実体を基準として線を引く方もいますし、ローソク足のヒゲを結んで線を引く方もいます。
どちらの方が正しいということはありません。
最も大切なことは、線を引くことで、相場状況を視覚的にわかりやすく捉え、今後の値動きの方向性について示唆を得るということです。
値動きの流れや、値動きが止まりそうな価格帯を「画(え)」として捉えられるよう、意識しながら練習してみましょう。
厳密な線にこだわらず「帯」として捉える
これまで何度も「価格帯」という言葉が出てきました。チャートに線は引きますが、厳密な線ではなく「帯」として捉えてみましょう。
トレーダーが引いた線に対して、価格が正確に反応してくれるわけではありません。引いた線はあくまでも目安です。
線周辺での値動きを観察することで、利益になりそうな値動きが見えてきます。
複合的に分析する
チャートパターン分析は、非常に有効な分析方法です。
しかし、1つのチャートパターンだけで勝ち続けられるわけではありません。
複数のチャートパターンを組み合わせたり、他のテクニカル指標を組み合わせたりすることでさらに信頼性が増しますので、これまで学習したことやこれから学習することを含め、複合的に分析する習慣を身につけましょう。
チャートパターン分析におすすめのツール
はじめてチャートパターン分析をするときは、どこにパターンがあるのか、このパターンは信頼できるのかなど、不安があるかもしれません。
そんな時は、「オートチャーティスト」という分析ツールがおすすめです。
オートチャーティストは、自動的にチャートパターンを検知してくれる便利なツールです。
過去データの統計解析を基に、何をどの様なタイミングで取引すべきかを瞬時に判断して知らせてくれます。

出典:OANDA Japan
自分で分析するのが不安な方、どこにパターンが発生しているのかよくわからない方は、オートチャーティストを使ってみましょう。
チャート上にどのようなパターンが発生していて、どのような見方でパターンを認識すれば良いのかが、よくわかるようになります。
オートチャーティストが使えるおすすめのFX業者
サクソバンク証券

出典:サクソバンク証券
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OANDA Japan

出典:OANDA Japan
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OANDA Japanのオートチャーティストを利用する事により、チャート分析の作業を自動化し、時間を大幅に削減できます。
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パターンの的中率を開示しているため、高確率なパターンに絞るなどの工夫も可能です。
さらに、パターン検知アラートは外出先でも受取可能なので、チャンスを逃さず取引できるでしょう。