iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は任意で加入できる私的年金制度です。iDeCo(イデコ)は、運用益が非課税になり、さらに拠出金が全額所得控除できる便利な制度です。
2024年からNISAの非課税期間が無期限化されるなどの議論がされていますが、すでにiDeCoは非課税期間はほぼ無期限です。あまり知られていませんが、実はかなりメリットが大きい制度であることがこのことからもわかると思います。
しかし、制度の複雑さなどもあってNISAよりも利用している人は少ないのが現状です。とはいえ、iDeCoは2022年にも制度が改正されて徐々に使いやすくなってきています。
この記事ではiDeCo(イデコ)を始める5ステップを簡単に説明します。
iDeCoの注意点や会社員や公務員、自営業者などの加入者区分ごとに注意する点についても解説するので、iDeCoをこれから始めようとしている人も、まだ利用していない人も参考にしてください。
iDeCo(イデコ)の始め方

出典:iDeCo公式
まずはiDeCo(イデコ)の始め方を解説します。詳細についてはiDeCo(イデコ)公式ページでも確認するようにしてください。
ステップ1:加入者区分を確認する
まずは自分の加入者区分を確認します。それによって拠出金が変わります。大きく分けると、「自営業者」「会社員や公務員」「専業主婦(夫)」に分けられます。
加入者区分 | 加入対象となる人 |
---|---|
国民年金の第1号被保険者 | 20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生など |
国民年金の第2号被保険者 | 厚生年金の被保険者(会社員や公務員) |
国民年金の第3号被保険者 | 厚生年金被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者 |
国民年金の任意加入被保険者 | 国民年金の任意加入者(以下に該当する場合など) ・60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料納付期間が480カ月未満の場合 ・20歳以上65歳未満の海外居住者で国民年金の保険料納付期間が480カ月未満の場合 |
ステップ2:掛金を決める
iDeCoはNISAとは違い、加入者区分によって掛金が異なります。特に複雑なのは会社員の方で、企業年金や企業型DCの有無などによって拠出上限が異なります。
加入者区分 | 条件 | 拠出上限 |
---|---|---|
国民年金の第1号被保険者 国民年金の任意加入者 |
(自営業者など) | 月額6.8万円 (年額81.6万円) |
国民年金の第2号被保険者 | 企業年金がない会社員 | 月額2.3万円 (年額27.6万円) |
企業型DCのみに加入している会社員 | 月額2.0万円 (年額24.0万円) |
|
DBと企業型DCに加入している会社員 | 月額1.2万円 (年額14.4万円) |
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DBのみに加入している会社員 | ||
公務員 | ||
国民年金の第3号被保険者 | (専業主婦(夫)など) | 月額2.3万円 (年額27.6万円) |
※DB:確定給付型企業年金、厚生年金基金など。 企業型DC:企業型確定拠出年金
自営業者の場合、月額6.8万円は国民年金基金か付加年金との合計金額となります。また、企業型DCに加入している会社員は2022年10月より加入条件が緩和されました。
こちらも詳細については公式ページで確認してください。
ステップ3:金融機関を決める【重要】
iDeCoを利用する金融機関を決めるのは一番重要なステップです。iDeCoは1人1口座しか口座開設できません。金融機関変更することはできますが、手数料と手間もかかるので、できれば1度でよい金融機関を決めたいところです。
実際にはステップ4の「運用商品を決める」のも同時に検討するのがよいでしょう。なぜなら金融機関によって取扱商品もかなり違うからです。金融機関を決めてから投資したい商品が少ないとなったら困ります。
また、iDeCoは口座維持管理にもコストがかかり、これも金融機関によってかなり違います。このような、常に発生するコストはできるかぎり小さくするほうが、最終的なリターンを大きくすることができます。
投資したい運用商品もある、コストも変わらないという場合には、すでに利用していたり使いやすい金融機関で選んで構いません。
金融機関を決める時には「iDeCoナビ」を利用するのがおすすめです。iDeCoナビはiDeCo公式からもリンクされているサイトです。

出典:iDeCoナビ
iDeCoで利用するおすすめ金融機関の選び方はこちらの記事で詳しく解説しています。

ステップ4:運用商品を決める
iDeCoで投資できる商品は基本的に投資信託となります。ただし、iDeCoの場合はNISAと違い、元本保証の商品(つまり預貯金)も取り扱っている場合があります。
iDeCoのメリットの1つとして運用益が非課税になるので、できるだけ長期投資に向いている商品、つまり値上がりする商品を選びたいところです。また、信託報酬手数料が低い銘柄を選ぶのも重要です。
iDeCoでも複数商品を組み合わせて運用できます。iDeCoを個人年金と考えればいくらかの割合は元本が保証されている預貯金を組み入れるのも悪くありません。
もちろん、運用していく中で投資する金融商品を変更することも可能です。「掛金の配分割合変更」や「スイッチング」をすることでリバランスや利益確定を行います。
変更方法 | 概要 |
---|---|
配分割合変更 | 拠出金から投資する割合を変更します。もともとの保有資産残高には影響しません。 |
スイッチング | 保有資産を一度売却して、得た利益で別の運用商品を購入します。再度同じ銘柄へ投資することもできます。 |
おすすめ銘柄:海外株式連動投資信託
商品名 | 信託報酬率(税込み) |
---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.09680% |
まずおすすめしたいのは、海外(特に米国)株式に連動する投資信託です。米国市場は過去30年で大きく成長してきました。今後は今までほど大きな成長はないかもしれませんが、日本国内へ投資するよりも成長が期待できると考えられています。
また、海外株式のインデックスに連動するパッシブ運用投資信託は、国内株式のインデックスよりも信託報酬手数料が低めに設定されていることが多いこともメリットの1つです。
海外株式に連動する運用商品でおすすめしたいのが「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。米国のインデックス(指数)である「S&P500」に連動する指数です。
S&P500は米国の代表的な500銘柄を時価総額で加重平均して指数化したもので、米国市場の時価総額上位約80%の企業群を網羅しています。日本でいえば、TOPIXや日経平均くらいメジャーな指数です。
以下のチャートはS&P500の1990年以降の推移です。時々下落しているタイミングがありますが、長期的には下落する前を超えて高値を更新し続けています。米国は今後も人口増加が予想されており、成長が期待できます。

出典:Tradingview
海外株式でS&P500以外に連動するインデックスでは以下のような投資信託もおすすめです。
銘柄 | 信託報酬 | 概要 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.10230% | 日本を除く先進国の株式へ投資する投資信託です。約75%を米国が占めています。 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 0.11440% | 日本を含む先進国に加えて、新興国の株式にも投資する投資信託です。 米国が約60%を占めており、新興国への投資が約10%となっています。 |
おすすめ銘柄:国内株式連動投資信託
商品名 | 信託報酬率(税込み) |
---|---|
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 0.15400% |
国内インデックスの「TOPIX」に連動する投資信託です。日本国内の株式は1990年代のバブル期をいまだに超えられていません。
ただし、大きな下落のリスクが比較的小さいのも特徴です。特に米国株が不調の時にはリスクヘッジにもなります。以下は2022年のS&P500(赤線)とTOPIX(青線)のチャートです。
2022年は米国で高インフレによる利上げが進み、米国株式は下落基調でした。最大で25%近くもS&P500が下落しています。一方、TOPIXも同じ様な動きをしていますが、下落率はS&P500よりも小さい幅になっていることがわかります。

出典:Tradingview
日本国内のインデックスとしては、TOPIXのほかには日経平均株価(日経225)やJPX日経400などが主流です。
銘柄 | 信託報酬 | 概要 |
---|---|---|
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) | 0.15400% | 日経平均株価に連動する投資信託です。日本経済新聞社が選定する日本の代表的な約225社で構成されている指数です。 |
ニッセイJPX日経400インデックスファンド | 0.21450% | JPX日経400は、資本の効率的活用や株主を意識した経営など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たす「投資者にとって投資魅力の高い会社」400社から構成されています。 |
おすすめ銘柄:バランス型
商品名 | 信託報酬率(税込み) |
---|---|
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 0.15400% |
バランス型の投資信託とは、株式以外にも債券や不動産(REIT)などの資産を組み入れた投資信託です。商品によって組み入れる資産や割合は異なります。
例えば上で紹介している「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の場合、以下のような資産を組み入れています。

出典:目論見書より抜粋
大きな基準価額の上昇は望めませんが、複数の資産に分散投資されているため、株式市場が全体的に下落している状況でも比較的下落しにくい商品といえます。
ステップ5:口座申し込み
申込方法の詳細は金融機関によって異なるため、実際に口座開設する金融機関で確認してください。利用者数が多いSBI証券のiDeCoでは以下のような手順となります。SBI証券では書面での申し込みとWEBでの申し込みも可能です。(他の金融機関に関しても大きな違いはありません)
ステップ | WEBでの申し込み | 書面での申し込み |
---|---|---|
STEP1 | 加入診断および必要書類を確認 | 資料請求 |
STEP2 | 必要書類のアップロードおよびお申し込みフォームへの入力 | 申込書類の提出 |
STEP3 | ID・パスワード受領 | |
STEP4 | 運用開始 |
各金融機関での審査のほかに、国民年金基金連合会での加入資格等の確認もあるので、時間がかかります。SBI証券ではSTEP3のID発送目安は以下のようになっています。
WEBでの申し込み | 毎月20日の前日までの申し込み | 翌月中旬に発送 |
毎月20日~月末営業日までの申し込み | 翌々月中旬に発送 | |
書面での申し込み | 毎月1~5日までに金融機関着分 | 翌月中旬に発送 |
毎月6日~月末までに金融機関着分 | 翌々月中旬に発送 |
必要書類や注意点
会社員(厚生年金被保険者)や公務員(共済組合員)の場合、「事業主の証明書」という勤め先に記載してもらう資料が必要になります。
また、iDeCoでは基礎年金番号が必要になるので、確認しておきましょう。場合によってはお勤め先の担当者の方に記載してもらえるかもしれません。

出典:SBI証券 iDeCo記載書類
参考:日本年金機構「Q.自分の基礎年金番号の確認方法を教えてください。」
iDeCo(イデコ)の特徴
iDeCo(イデコ)はメリットが多い制度ですが、仕組みは少し複雑です。iDeCo(イデコ)の特徴をよく理解して利用しましょう。
自分で拠出金額、運用商品を決める
iDeCo(イデコ)では自分で拠出金額や運用商品を決めることになります。拠出金は上で説明した通り、加入者によって上限が異なりますが、上限いっぱいまで利用する必要はありません。
拠出金は5,000円以上、それ以上は1,000円単位で調整することができます。
会社員の例
例えば、確定給付型企業年金(DB)がある会社員は拠出金の上限が1.2万円ですが、実際に拠出する金額は1万円といった形です。
自営業者の例
自営業者の方の場合、国民年金基金や付加年金と併用する方もいるかもしれません。これらの年金制度と併用する場合、合算した金額が拠出上限となります。
例えば自営業者の方の拠出金上限は6.8万円ですが、付加年金(毎月400円)と併用する場合、月の拠出金上限は6.7万円です。
運用商品について
また、運用商品も自分で決めることになります。1つの商品だけで運用するよりもいくつかの商品を組み合わせて運用するほうがリスクが低くなります。
組み入れる場合は、同じ系統の商品(例えば米国株式だけ)だけで運用するのではなく、異なる資産の商品を組み入れたり、異なる投資先(国や地域など)の商品を組み入れることで分散投資ができます。
掛金が全額所得控除される
掛金が全額所得控除されるのはiDeCo(イデコ)のメリットの1つです。
仮に会社員の方が毎月1.2万円の拠出をしていたとすれば、年間で14.4万円です。所得税率と住民税率がそれぞれ10%だとすれば年間で約3万円の節税効果があります。
拠出金が大きいほど所得控除の効果が大きくなるので、自営業者の方のように拠出金上限が大きい場合はiDeCoを利用するメリットも大きくなります。
運用益が非課税になる
株式や投資信託の売却や、配当などで得られる運用益は通常20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoで運用した場合の運用益は非課税となります。これはNISA制度と同じ仕組みです。
仮に運用益が10万円だったとした場合、通常は約2万円の税金がかかりますが、iDeCoであれば10万円がそのまま利益となります。
運用益が大きいほど運用益が非課税であるメリットも大きくなります。
受取時にも控除がある
iDeCoは引き出し時に「年金」か「一時金」か受取方法を選択することができます。この場合、それぞれ対象の所得が異なります。これは、個人年金保険の受け取りと同じ考え方です。
どちらの場合も、一般的な年金や退職金を受け取るのと同じ控除が利用できます。具体的には雑所得の場合は公的年金等控除額が利用でき、一時金の場合は退職所得控除が利用できます。
受取方法 | 所得の種類 | 控除金額(一例) |
---|---|---|
年金 | 雑所得 | 例)65歳以上で年金収入が330万円未満、他に雑所得がない場合 控除額:110万円 |
一時金 | 退職所得 | 例)加入期間が20年未満の場合 控除額:40万円×加入期間(1年に満たない場合は1年とする) |
税制についての詳細は国税庁のHPで確認するようにしてください。
iDeCo(イデコ)の注意点
iDeCo(イデコ)はメリットの多い仕組みですが、注意点もあります。十分に理解してから取り組まないと思わぬ失敗をすることもあるので、気をつけましょう。
原則60歳まで受取不可
iDeCoは一度拠出を開始したら原則60歳まで引き落としができないことに注意してください。実際には拠出年数に応じて受給開始タイミングが変わってきます。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能となる年齢が繰り下げられます。
加入期間に応じた受給開始タイミング | |
---|---|
10年以上 ⇒ 60歳 | 8年以上~10年未満 ⇒ 61歳 |
6年以上~8年未満 ⇒ 62歳 | 4年以上~6年未満 ⇒ 63歳 |
2年以上~4年未満 ⇒ 64歳 | 1カ月以上~2年未満 ⇒ 65歳 |
金融機関によって維持コストや運用商品が異なる
金融機関によって口座維持のコストや運用商品がかなり違います。一概には言えませんが、証券会社のiDeCoのほうがコストが安い傾向にあります。また、取扱商品も証券会社のほうが比較的多いです。
下の図を見ていただければわかりますが、積立を行う場合、月額171円と400円を超える金融機関に分かれています。また積立を行わない場合66円の金融機関もあれば300円をこえる金融機関もあります。およそ3~5倍程度も維持コストに差がでるので注意してください。
先に紹介した「iDeCoナビ」などを利用してコストと運用商品がそろっている金融機関を選ぶようにしましょう。

出典:iDeCoナビ
拠出金の変更は年1回のみ
iDeCoの拠出金の変更は1年に1回だけ可能です。掛金の変更には「加入者掛金額変更届」を運営管理機関に提出します。(加入者区分に応じて届け出用紙が異なります)
>iDeCo運営管理機関一覧はこちら
参考:iDeCo公式「掛金の取扱いについて」
加入者区分別の注意点
加入者区分によっても注意すべき点が異なるので、自分の加入者区分でどのような注意点があるかチェックしておいてください。
自営業者の注意点
自営業者(国民年金第1号被保険者)の方の場合、厚生年金の加入ができない代わりに国民年金基金などの年金制度を利用することができます。自営業者のための年金制度はiDeCoと併用することができますが、掛金の上限は合算した金額で判断する点に注意が必要です。
自営業者の年金制度 | 概要 | 拠出金 |
---|---|---|
付加年金 | 国民年金保険料に月額400円加算することで、老齢基礎年金に上乗せした形で受け取り可能 ※受け取りは200円×支払い月数 |
400円 ※iDeCoと併用する場合、iDeCoの上限は6.7万円となる。(拠出金は1000円単位のため) |
国民年金基金 | 自営業者が国民年金に上乗せして受給するための制度。加入は口数制で、1口目は終身年金とし、2口目以降は終身年金か確定年金から選択する | iDeCoと合算で68,000円まで |
※ただし付加年金と国民年金基金の併用はできません。
会社員の注意点
会社員の方はiDeCoの加入条件が複雑です。確定給付型年金や企業型確定拠出年金の有無などによって拠出金上限が変わりますので、詳細はお勤めの総務部門などにご確認ください。
また、会社員の方は状況によってはそれほど拠出金を大きくすることはできません(少ない場合は月額1.2万円)。余裕資金がたくさんあればiDeCoの利用を検討してよいと思いますが、NISA制度を先に利用するほうが使いやすいかもしれません。
公務員の注意点
公務員の方はあまり迷うことはないと思いますが、拠出金が小さいことはデメリットです。会社員の方と同じく、拠出金が小さいと所得控除のメリットを最大に活かすことがむずかしくなります。
会社員の方と同じく、NISA制度とどちらを利用するか検討したほうがよいでしょう。
専業主婦(夫)の注意点
自営業者を除けば、専業主婦の方は拠出できる金額の上限は最も多いのですが、そもそも他に所得がなければ、iDeCoのメリットである所得控除が意味をなさなくなります。
控除できる所得がないのであればNISAを利用するほうが便利です。とはいえ、iDeCoも運用益は非課税ですし、年金制度なので引き出せないことが逆によいといった理由があれば利用するのはもちろん問題ありません。
iDeCoのメリットとデメリットを理解した上で利用してください。
学生の注意点
学生の場合はそもそも利用条件に該当するか確認してください。国民年金の第1号被保険者の条件は20歳以上となります。(第3号被保険者も同様)
また、拠出した金額が引き出せない点にも注意してください。一般的にいえば、学生の期間はそれほど資金に余裕がないことが多いと考えられます。万が一に備える場合などを考えて余裕資金を十分残しておくようにしましょう。
iDeCo(イデコ)のQ/A
最後にiDeCo(イデコ)でよくあるQ/Aについて回答します。
iDeCoとNISA どちらを利用したほうがいい?
iDeCoとNISAは併用可能ですので、理想はどちらも満額利用したほうがよいです。
そうはいってもそこまで資金に余裕がない人も多いと思いますので、iDeCoは年金制度、NISAは投資優遇制度ということを理解して利用しましょう。結局のところ使い方次第なので、どちらを利用するかの正解はありません。
一般的に言えば、自営業者のように拠出金を大きくできるなら所得控除のメリットが大きくなるのでiDeCoを利用するほうが得になることも多いです。
また、つみたて投資はiDeCoで行い、余裕資金は一般NISAで比較的リスクの高い商品へ投資するといった使い方もそれぞれの特性が活かせているといえます。
つみたてNISAとiDeCo(どちらも長期投資を目的とする)をそれぞれ少しずつ利用しているような利用方法はどちらのメリットもあまり活用できていないかもしれません。とはいえ、iDeCoの商品には預貯金などもあるのでつみたてNISAとは違う商品へ投資してリスクヘッジするような使い方もできます。
拠出金はいくらがいい?
拠出金額をいくらにするかも正解はありません。上限まで利用していないとしても翌年に繰り越せるわけではありませんので、可能なら上限いっぱい使うほうが所得控除も大きくなりお得です。
ただし、何度も言っている通り、iDeCoは途中での引き出しができない拠出金を大きくしすぎて困ることがないようにしましょう。変更は年1回しかできないので、拠出金を大きくするときには特に気をつけてください。
金融機関の変更は可能?
金融機関の変更は可能です。ただし、移管手数料が発生する場合もあります。また、それまで運用していた資産をいったん売却して現金化する必要があります。運用資産を移管するのではなく、資金のみを移管するイメージです。
企業型確定拠出年金からの移管も可能です。いずれも移管先の金融機関で移管方法の詳細を確認してください。
金融機関の変更はかなり時間がかかります。国民年金基金連合会の審査等もあるため、およそ1~2か月かかると言われています。資料に不備があるとさらに時間がかかってしまうので注意してください。
iDeCo(イデコ)は長期投資目的で利用したい制度
iDeCoは私的年金制度ですので、長期投資で利用しましょう。拠出できる金額が多ければ節税効果も高まります。
この記事で紹介したポイントは以下のような内容です。
- 利用する金融機関を決めるのが重要
- コストが低く、投資したい商品がある金融機関を選ぶようにする
- 自営業者など拠出金が大きくできる人はiDeCoを利用するメリットも大きい
- 会社員は利用状況により、拠出金上限なども変わるので注意
iDeCoをうまく利用することで、老後資金を蓄えておきたいですね。