資産運用は20代から始めるべき?20代の投資のポイントやおすすめ商品を解説します

資産運用は20代から始めるべき?20代の投資のポイントやおすすめ商品を解説します 株の基礎知識

20代は学生から社会人になる人も多く、自由に使えるお金が増えてくるタイミングです。

新社会人になったばかりの頃は、「投資はお金を持っている人がおこなっていること」「投資のことは全くわからないので怖い」と考える人もいるかもしれません。

実際には投資は早くから始めることで複利の効果を活かせます。つまり20代から投資を始めることで時間を味方につけることができるということです。

また、投資を失敗させないためにも投資について学ぶことは重要ですが、初めから複雑な内容を理解する必要はありません。基本的な投資の知識は難しいものではありません。

この記事では、20代の方がこれから投資を始めるメリットと、実際にどのように投資をしていけばよいのかを簡単に解説していきます。

投資を始めてみたいけど何をしたらよいかわからないという方は最後まで読んでください。

20代のNISA口座開設率はおよそ10人に1人

金融庁のNISA・ジュニアNISA利用状況調査によれば、20代のNISA口座保有数は約150万口座(令和4年3月時点)でした。総務省統計局の人口推計発表によると、20代の人口は約1250万人(令和4年3月確定値)となっており、人口に対するNISA口座の保有割合は約12%です。

年代 NISA総口座数 人口(万人) 保有比率(%)
20歳代 154万5726口座 1249 12.4
30歳代 283万3102口座 1367 20.7
40歳代 314万3437口座 1748 18.0
50歳代 296万8191口座 1741 17.0
60歳代 274万5247口座 1501 18.3
70歳代 250万3172口座 1637 15.3
80歳代以上 125万5012口座 1230 10.2

※金融庁のNISA・ジュニアNISA利用状況調査と総務省統計局の人口推計より作成

80歳代以上をのぞけば、20代のNISA口座普及割合は最も低い割合となっていることがわかります。全体としても20%前後と保有比率はあまり高くありません。

日本証券業協会の2021年度(令和3年) 証券投資に関する全国調査(個人調査)によると、NISAの認知率は約58%となっているので、知っていても口座開設していない人は多いようです。

証券保有層の認知度は約90%利用者も約45%となので証券取引をしている人の多くはNISA口座を利用していることがわかります。

このように、若い世代では実際に投資している人はまだ少ないですが、早くから投資を行うほど有利になることは間違いありません。

20代から資産運用するメリット

上で紹介したように、20代で投資している人は少ないですが、早すぎるということはありません。しかし、20代のように早い段階で資産運用を始めるメリットはたくさんあります。

ここでは早く投資を始めたほうが良いメリットを紹介します。

複利の効果が活かせる

早くから投資を始めるメリットは「複利」の効果が大きくなることです。複利とは、運用で得た利子などの収益を元本に組み入れてることで増えた元本に対してさらに多くの利子が発生することです。

下の図は金融庁の資産運用シミュレーションです。例えば、毎月5万円を投資資金として積み立てていくとします。年率3%で運用すると、10年後には約100万円の運用益を得ることができます。20年間だと約440万円の運用益となります。

この図をみると、長期で運用するほど運用益が大きくなっていくことがわかります。

資産運用シミュレーション

出典:金融庁 資産運用シミュレーション

上の図は年率が3%で計算しましたが、仮に4%で運用できたとします。すると20年後の運用収益は約630万円です。1%の運用利回りの違いで20年後には大きな違いが出ます。

資産運用シミュレーション

出典:金融庁 資産運用シミュレーション

この結果から以下のことが言えます。

  • 長期間運用するほど運用益が大きくなる
  • 運用利回りが1%上昇するだけでも長期運用であれば大きなリターンの違いがでる

つまり、早くから投資を始めるほど有利に働くということです。また、運用利回りを大きくするには投資の知識と経験が必要ですが、早くから投資を行うことで身につけることができます。

長期投資で時間の分散投資ができる

長期投資するということは、時間の分散投資ができるということです。分散投資はリスクを抑える基本です。

時間の分散を行うときには「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資方法で投資するのがおすすめです。ドルコスト平均法とはある商品を常に一定の金額で、かつ時間を分散して定期的に買い続ける手法です。(ドルコスト平均法の詳細は次に説明します)

長期投資することで、投資期間中に投資している銘柄の価格の上げ下げがあっても、その影響を小さくすることができます。

失敗してもやり直せる時間が多い

仮に投資失敗してもやり直せる時間が多いのも、若いときから投資をするメリットといえます。

もちろん失敗しないほうが良いのですが、市場全体が落ち込むときもあるので、絶対に失敗しない銘柄や金融商品というものは少ないと考えてよいでしょう。

特に20代は働いている人が多いはずですので、所得から投資資金を作ることができるのは大きいです。逆に言えば、定年退職後などのように給与所得などがなくなったあとの投資はできる限りリスクを抑えた投資をするようにしましょう。

自分で投資する方法を学べれば一生使える

早くから投資をするメリットとして、投資商品ではなく投資する方法を学べば一生使えることがあります。これは、上で説明した失敗してもやり直せることにもつながります。

つまり、投資をするときには他人に進められた商品を購入したり、ファンドラップロボアドバイザーのように自動で投資するものよりも、自分で考えて投資する商品を選び購入するほうが良いということです。

他人に任せる投資では、本当に良い商品なのか、妥当なリターンなのかがわからず他人任せになってしまいます。

複雑な投資の手法を覚える必要はありません。例えば、どういった商品が安全性が高いのか、米国の利上げがされた場合、今後の株式市場はどのような反応が起こりそうなのかといったことを予測するだけでも十分です。

アナリストでも今後の動きを正確に予測することは不可能です。現在の日本の株式市場や米国の市場はどうなっているのか、今後どうなりそうなのかといったことを自分なりに予測することが重要です。

20代の資産運用のポイント

ここからは実際にどのように運用していくかのポイントを説明していきます。特に20代前半のような投資資金が少ない状況をイメージしていますが、投資に回せるお金が豊富にある人でも投資をこれから始めるのであれば基本的な考えは同じです。

お金を3つの用途に分けて考える

これから投資を始めようと考えてる人には、新社会人になった人やある程度お金の余裕が出てきた人というのが多いのではないでしょうか。もちろん学生で投資を始めようと考えているのであれば素晴らしいことだと思います。

始めに投資資金をどのように作っていくかについて考えていきましょう。まずは自分が持っているお金を以下の3つに分けて考えます。

  • 日常生活に必要なお金
  • 近い将来使い道が決まっているお金
  • 当面使う予定がないお金

特に日常生活に必要なお金は現金や普通預金などで保有しておくほうがよいでしょう。万が一すぐに必要になった時に取り出せる状態にしておきます。

日常生活費や近く使い道が決まっているお金でも、不要なものは投資に回したほうが資産形成が効率的になります。ただし、無理をすると生活が厳しくなりますし、若いうちはいろんなことを経験したほうが良いという意見もあります。
これはどちらが正解ということはありませんので、ご自身の判断でうまく資金を作り出してください。
当面使う予定がないお金が投資資金になります。そんなお金はないという場合は収入の中から優先して投資資金を作りましょう。積立投資などで毎月決まった金額を投資資金にしたいところです。
仮に、毎月の収入からでも投資に回すお金がないということであれば、生活費を見直したほうがよいかもしれません。家賃や通信費、交際費などが大きくなっているのであれば削減がしやすい部分です。

少額から始めてみる

少額から投資を始める1番のメリットは、その投資に慣れることです。特に今までしたことがない投資に挑戦するときにはできるだけ少額から取引することをおすすめします。

投資信託であれば100円から購入できるネット証券がほとんどです。投資信託は投資先として米国へ投資できる商品や債券などの資産を組み込んだ商品もあります。また、つみたてNISA」も利用できるので、積極的に利用したい金融商品です。

国内株式の個別株取引をしたいのであれば、単元株を購入するのではなく「単元未満株」で取引するのもおすすめです。SBI証券の「S株」やマネックス証券の「ワン株」など、ネット証券の多くで単元未満株を取り扱っています。

また、投資に慣れるというのは、売買の仕方などシステム面だけでなく、株価の上下に慣れるというメンタル面での意味合いもあります。

投資に慣れていないと、株価が下落した時に気になってしまうということが多いです。下手をするとパニック状態になり、慌てて持ち株を売ってしまう「狼狽売り」をしてしまうかもしれません。少額で投資していてば、多少下落したとしても心理的な影響は小さくなります。

長期投資をする

先ほど長期投資には常に一定の金額で、かつ時間を分散して定期的に買い続けるドルコスト平均法」が適していることは先ほど説明しました。

ドルコスト平均法は株価が安いときはたくさん買付け、株価が高いときは少ない株数を買付する量が少なくなるため、結果として1株当たりの購入価格は平準化されることになります。

ドルコスト平均法は上がったり下がったりする相場で効果を発揮する投資方法といえますが、基本的に株式の相場は上下を繰り返していくので、この購入方法が大きな効果を発揮する可能性は高いです。

この投資方法は「つみたてNISA」のような積立投資と非常に相性がよいです。つまり、20代のように若いころからつみたてNISAのような制度を利用しながら長期で投資することで、リスクを抑えながらリターンを大きくすることができます。

ドルコスト平均法を利用して長期投資するメリットとして、株価の下落時でも気にすることなく投資を続けることができる点も挙げられます。

投資経験が少ないと、株価が下落した時に焦って売ってしまうことがあるといいましたが、ドルコスト平均法の場合、株価が下がった時にはたくさん買付することになるので、株価の下落に影響されにくくなります。

資産運用の制度を利用する

投資の優遇制度として有名なのは「NISA」と「iDeCo」の2つです。どちらも運用益が非課税になるメリットがありますが、「NISA」のほうが投資優遇制度の側面が強く、「iDeCo」は年金の側面が強い制度になります。

どちらもうまく利用することで様々なメリットがありますが、最初に利用したいのは「NISA」です。まずは「NISA」の制度を利用して、それでも投資資金に余裕があれば「iDeCo」も利用する順序がよいでしょう。

NISA・つみたてNISA

NISA特設ウェブサイトへ

NISAつみたてNISAは、株式や投資信託などの金融商品を売却して得た利益や受け取った配当に対しての税金が非課税になるという投資優遇制度です。

NISA口座は1人1口座しか開設できません。複数証券口座を保有していてもNISA口座は1口座のみとなります。また、NISA口座とつみたてNISA口座に関してもどちらか一方を選択することになります。
NISAとつみたてNISAは、年間の非課税投資額非課税期間投資できる商品に違いがあります。
項目 NISA つみたてNISA
年間非課税投資枠 120万円 40万円
非課税期間 5年間 20年間
投資可能商品 上場株式、ETF、投資信託、ETFなど 基本的に投資信託

運用益が非課税になるというメリットは、投資をしたことがない人にとっては実感がわかないかもしれませんが、これは資産を効率的に殖やすのにとても大きなメリットになります。

通常、運用益(譲渡益といいます)や配当には20.315%の税金がかかります。

20.315%の内訳は、所得税15%住民税5%復興特別所得税0.315%(所得税の2.1%)
20%の税金ということは、仮にうまく運用できて100万円の利益が発生してもそのうちの20万円が税金として徴収されてしまいます。利益が80万円と100万円では全然違って感じるのではないでしょうか。
先ほど1%の運用利回りの違いでも、長期間投資すると複利の効果で大きな違いがでることを説明しました。約20%の収めるべき税金が非課税になるのが、どれだけ大きな効果を発揮するかがわかると思います。
NISAの注意する点としては、損失がでても損益通算ができない点と、非課税期間が終了するタイミングで取得価格がリセットされる点です。
取得価格がリセットされるというのは、例えば100万円で購入した80万円に下落した状態で非課税期間が終了したとします。その場合、80万円で取得したイメージで課税口座に移動することになります。仮に100万円に株価が戻った場合、20万円分の利益に対して課税されます。
現在NISA拡充のニュースが報道されています。非課税投資枠や非課税期間が今後変更になる可能性もあります。

iDeCo

iDeCo 公式ページへ

iDeCoはどれだけの金額を掛金とするか、どの商品で運用するかといったこともすべて自分できめて運用する私的年金制度です。

主なメリットはこの2点です。

  • 掛金が全額所得控除となる
  • 運用益が非課税となる

掛金が全額所得控除されるという税制面の優遇がiDeCoの最大のメリットといえます。運用益の非課税はNISAと同様ですが運用できる商品の選択肢が少ないため、NISAよりも恩恵を感じにくいかもしれません。

また、iDeCoにも注意したい点があります。

  • 原則60歳まで引き出しできない
  • 運用できる商品が少ない

iDeCoは60歳まで引き出しができないことには注意が必要ですが、資金があったら使ってしまうという人であれば引き出しができないことはデメリットにはならないかもしれません。

iDeCoは投資商品が準備されているので、自由に商品を選べるわけではありません。いい商品がそれほど多くないというのはデメリットといえます。

20代から投資しやすい商品

それでは、20代ではどのような金融商品が投資しやすいのか?
ここからはおすすめの投資商品を紹介していきます。

投資信託・ETF

投資信託は多くのネット証券が100円から投資でき、商品の種類も多く、つみたてNISAも利用しやすいのでおすすめの金融商品です。

また、現在は米国株への投資が人気です。米国市場は長期間にわたって成長を続けており、短期的には上下がありつつも今後も成長が続くと予想されます。

米国市場へ投資をするには、国内市場で米国市場のインデックスに連動する投資信託やETFを購入する方法と、外国株式取引きで米国株や米国ETFを解放法の2種類があります。

外国株式取引きをするには外国株式口座の開設が別途必要です。
以下の表は、コストが低くおすすめできる投資信託とETFです。eMAXIS Slimシリーズは国内市場で購入できる投資信託です。純資産額をみてもわかるように、S&P500に連動する商品が非常に人気です。
銘柄 信託報酬手数料/経費率 純資産 備考
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 0.0968% 1,453,330百万円 S&P500に連動する投資信託
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 0.1144% 652,951百万円 全世界に投資できる投資信託(米国が約6割)
eMAXIS Slim 国内株式(日経平均) 0.154% 21,041百万円 日経平均に連動する投資信託
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 0.154% 159,612百万円 株式、債券、不動産の国内・海外に分散投資できる投資信託
バンガード S&P 500 ETF(VOO) 0.03% 271,595.39百万米ドル S&P500に連動するETF(分配利回り1.49%)
バンガード 米国高配当株式ETF(VYM) 0.06% 米国の高配当銘柄約400で構成されているETF。(分配利回り2.97%)
バンガード 米国ヘルスケア セクター ETF(VHT) 0.10% 16,698.51百万ドル ヘルスケアセクターETF。下落に比較的強く株価上昇も期待できる(分配利回り1.34%)

※2022/8/28時点

下の3つはバンガード社が提供する米国ETFです。米国ETFはコストが安いものが多いのが特徴です。

米国株の配当は現地でも課税され、国内でも課税される2重課税になるので、確定申告で外国税額控除申請をしないと損をすることになるので注意が必要です。

個別株(単元未満株)

個別株は比較的ハイリスク・ハイリターンな商品です。

個別株での投資戦略としては、以下のようなものがあげられます。

  • 値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う
  • 配当(インカムゲイン)を狙う
  • 株主優待を目的とする

このように、投資の戦略や目的によって購入する銘柄が変わるところが面白い部分でもあり難しい部分でもあります。

国内の個別株投資は100株を1つの単位(単元)として購入します。その為、株価が10,000円の銘柄であれば100万円の資金が必要になります(厳密にはこれに手数料などのコストがかかります)。

投資を始めたばかりだと、1単元の投資をするには資金が足りなかったり、多くの資金を1つの銘柄に投資するのは怖い人もいると思います。

そのような人は単元未満株」への投資がおすすめです。単元未満株は国内株を1株から購入できる仕組みです。1株購入なので少ない資金から始めることができ、配当も受け取ることができます。

2022年4月に東証株式市場の再編が行われ、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの区分に統一されました。

一般的に大企業と言われてイメージする企業はプライム市場に属していることが多く、旧マザーズやJASDAQのような新興企業はグロース市場に属していることが多いです。

グロース市場は比較的値動きが大きく、インカムゲインが狙える銘柄も多くあります。リスクとリターンのバランスを検討するときにはその銘柄がどの市場に属しているかも確認してみて下さい。

債券

債券がおすすめできる理由はリスクがかなり低い、つまりリターンの予測がしやすいところにあります。

債券は償還期限(満期)まで保有すれば額面金額で償還(返済)されます。つまり、発行価格(購入する価格)と償還される金額がわかるので、利回りが予測できます。

債券は途中購入、途中売却することもできますが、その場合でも所有期間の利回りや最終利回りの計算ができます。
債券のおもなリスクは信用リスク(発行体の財務状況の悪化により損失が生じるリスク。例えば社債であれば会社が倒産するなど)ですが、国債のような商品であればそのリスクもかなり低くなります。
債券を購入するときには格付けがBBB(トリプルB)以上の債券(投資適格債券)を購入するようにしましょう。(下図はSBI証券の債券個別銘柄画面)
SBI証券

出典:SBI証券

不動産投資型クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングはネット証券で購入するわけではなく、クラウドファンディング事業者に投資家登録をして購入します。1口1万円程度から購入でき、比較的少額から投資可能なのもメリットです。

クラウドファンディングと聞くと、投機的なイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそのようなことはないので面白い投資方法として紹介しておきます。

不動産クラウドファンディングの仕組みは投資信託と同じで、投資家から資金を集めて不動産の運用をすることになります。不動産投資信託(REIT)との大きな違いは、運用期間が決まっていることと、どのような不動産に投資をしているかがわかる点です。

不動産投資信託(REIT)も不動産への投資ですが、こちらは何に投資をしているのかは投資家にはわかりません。以下の画像は不動産クラウドファンディング事業者COZUCHI(コズチ)のファンド一覧画面です。

COZUCHI(コズチ)

出典:COZUCHI(コズチ)

このように、運用しようとしている場所や不動産の内容、運用期間、想定利回りなどがあると、投資のイメージしやすいのではないでしょうか。期間と想定利回りがでているのでこの辺りは債券に近いと言えるかもしれません。

比較的利回りが高く、運用期間が短い(ファンドにより異なります)のも特徴といえます。

ただし、かならず想定利回り通りになるかの保証はありません。
※想定利回りを上回る場合もあります。

想定利回りの保証がないので投機的と考える人もいるかもしれませんが、不動産クラウドファンディングでもリスクでは「優先劣後構造」という方式をとっているファンドもあり、リスクを抑える仕組みができています。(すべてのファンドが優先劣後構造というわけではありません)

優先劣後構造とは、物件消化が下落して損失が出た場合でも劣後出資者(事業者)が先に損失を負担してくれる仕組みです。劣後出資者の出資部分が全額毀損するまで、優先出資者(一般の投資家)の元本毀損はありません。

リスクを抑える仕組みも整いつつ、高いリターンも期待できる不動産クラウドファンディングは面白い投資方法です。興味があれば不動産クラウドファンディングについて調べてみて下さい。

資金力別の投資方法

20代といっても、学生、新社会人、20代後半では投資に回せる金額もかなり変わってくるはずです。ここでは、入金資金が少ない学生や新社会人のような方と、比較的投資に回せる金額が多くなる20代後半の方でどのように投資したらよいかの例を紹介します。

学生や新社会人の投資方法

学生や新社会人の方で、投資をこれから始めるというのであれば、まずネット証券口座を開設しましょう。証券口座は複数証券会社で口座開設しても構いません。

最低1つは「SBI証券」や「楽天証券」のようなサービスが充実した証券会社の口座を開設しておくのが良いでしょう。

一緒にNISA口座(もしくはつみたてNISA口座)も開設しておきましょう。こちらは1人1口座しか口座を作ることができませんので、取引する証券口座で口座開設するのをおすすめします。

上で紹介した金融庁のNISA・ジュニアNISA利用状況調査によれば、20代のNISA(つみたてNISA含む)口座保有約155万口座のうち、一般NISA口座は約42万件、つみたてNISA口座は約113万件でした。20代ではつみたてNISA口座を保有している人の割合のほうが多いことがわかります。
※ちなみに30代もつみたてNISA口座のほうが割合が多く、40代以上だと一般NISA口座の割合が多くなります。20代、30代は長期投資に適した「つみたてNISA」のほうが人気のようです。
投資用の証券口座はもっているけど、NISA口座はまだ作っていないという人はすぐに作りましょう。年間投資枠で未使用分があっても翌年には繰越せませんので、年内分の投資枠は利用しておきたいところです。
NISA口座(つみたてNISA口座)の開設ができたら投資開始です。投資に回せるお金が少ないようであれば、NISA口座では非課税投資枠を使いきれないので、つみたてNISA口座を利用したほうがよいです。投資信託で毎月つみたてNISA口座を満額投資するようにしましょう(月換算すると毎月33,333円)。
投資信託は1つの銘柄に絞らず複数投資するのも良いでしょう。特に米国インデックスなどに連動する商品も組入れておくことをおすすめします。具体的な商品は「投資信託・ETF」の見出しで説明していますのでご覧ください。
個別株に投資したい場合は「単元未満株」での投資をおすすめします。株価が低い銘柄であれば単元株の取引でも問題ありません。投資資金の状況で決めてください。

20代中盤~後半の投資方法

20代後半になれば、ある程度お金に余裕が出てくることだと思います。すでに資金に余裕があり、さらに毎月の収入から投資資金がつくれるのであれば、少しハイリスク・ハイリターンの商品に手をだしても構いません。

とはいっても、まずはNISA口座です。NISAを利用していないのであれば確実に利用しましょう。

毎年120万円の非課税投資枠が利用しきれるのであれば、NISA口座を利用した投資も選択肢に入ります。運用益が大きくなるほどNISAの非課税メリットが大きくなります。

ハイリターンな商品を少し運用しつつも、やはり投資信託などの積立投資が王道です。NISA口座を利用している場合は投資信託をつみたてNISA口座で購入はできませんが、コツコツ積立て複利の効果を活かしていきたいところです。

また、投資とは異なりますが、20代後半はライフプランが人によりかなり違う年代だと思います。独身で自分のお金だけを考えればいい人、結婚した人(これからする人)、子供ができた人(これからできそうな人)など様々です。

今後必要なお金もかなり変わってくるはずですので、今後の計画をきちんと立て、預貯金の割合を含めた資産配分を考えることが最も重要な時期と言えるかもしれません。

20代の投資の失敗例

20代のように早い段階で投資を開始したほうが良いということを説明してきましたが、闇雲に投資すればよいわけではありません。ここでは20代での投資失敗例をいくつか紹介します。

すすめられた商品を鵜呑みにする

誰かに勧められた商品を鵜呑みにして購入するのは最も危険です。

これは、一般の人やSNSなどを信用するということもそうですが、銀行や証券会社などの営業マンが勧めてくる商品についても同様に完全に鵜呑みにしてはいけません。

銀行や証券会社は商売なので自分たちが稼ぐ必要もあります。そのため、顧客にとって投資家にとって一番よい商品をすすめてくるわけではないことを認識しておきましょう。

銀行の退職プランのような商品についても同様です。銀行で購入するファンドラップや投資信託はコストが高くなります。銀行は基本的にお金を預けておく場所だといえます。
勧められるままに購入するもう一つのデメリットは、投資の知識が身につかないことです。
自分で考えて投資することで投資の知識を身につければ、今後自分で投資チャンスを見つけ出すことができます。一方でいつも誰かに言われるまま投資商品を購入していると、結局投資してよいタイミングなのかわからず、機会を逃してしまいます。
助言を参考にするのは問題ありませんが、必ず自分で判断してから投資するようにしましょう。

ハイリスクな商品に集中投資する

当然ですが、ハイリスクな商品は株価が下落するリスクも高くなります。リスクを低くする分散投資は投資戦略の基本です。

ただ、特に投資資金が少ない中で低リスク低リターンの商品だけに投資していてもなかなか利益が増えないというのも事実です。ハイリスクな商品に投資するのがNGということではなく、そのような商品に集中投資することにリスクがあるということです。

ハイリスク・ハイリターンで積極的に運用益を狙っていく投資と、ローリスク・ローリターンな投資で着実に増やしていく投資をバランスよく運用することができれば比較的安全に効率よく資産を殖やしていくことができます。

投資資金の割合を大きくしすぎている

投資にお金を優先しているのは素晴らしいことですが、無理に投資資金に回しすぎるのもよいことではありません。

「お金を3つの用途に分けて考える」で説明したように、日常生活で使うお金や近い将来つかうお金まで投資に回してしまうと、なにかお金が必要になるようなときに対応できなくなります。

また、20代のような若いときにはいろいろな経験をしたほうがよいということもあるので、どれだけ投資にお金を回すのかはよく検討しましょう。

投資に優先してお金を回すのは素晴らしいことなので、検討の結果投資資金をゼロにはしないでくださいね。

20代から投資を始めて、今後に備えましょう

20代から投資を始めれば、長期投資で複利の効果を活かすことができ、投資の知識や技術を学ぶ時間が多くなります。

早く始めれば始めるほど今後の投資生活が有利になるので、投資をまだ始めていない人は是非早めに投資を始めてください。

米国株などはこの数年で投資環境が整ってきましたし、NISAの制度も今後変化していくかもしれません。投資を続けていくときには常に様々なことにアンテナを張って学び続けていきましょう。

結局のところ、長期投資をすることと、投資を学び続けることが運用を成功させる近道となります。

この記事を読んで若い人たちが投資を始めるきっかけになることを願っています。

タイトルとURLをコピーしました