FXの口座開設自体に危険性はありません。証券会社が設定している審査基準をクリアすれば、誰でも無料で口座開設できます。
ただし、口座開設後のFX取引にはいくつもの注意事項が存在します。FXの危険性を正確に理解して取引を進めなければ、「FXなんてやめておけばよかった」「FXが原因で人生終わった」というように、果てしない後悔に苛まれかねないでしょう。
そこで、今回は、FX口座を開設する危険性や安全なFX取引の進め方を解説します。あわせて、安心してFX取引できるおすすめ証券会社も紹介するので、さいごまでご一読ください。
FXの口座開設だけなら危険性はゼロ
投資未経験者が抱くよくある誤解として、「FXで人生終わったという声をよく耳にする。したがって、FX業者で口座開設をすると危険なことに巻き込まれる」というものが挙げられます。しかし、これは間違いです。
そもそも、FX取引自体は適法な金融商品取引なので合法性に疑いはありません。また、FX取引に潜む危険性は予期できるので、リスクヘッジを伴う適切な資産運用を実施すれば過度なリスクに晒されることもないでしょう。つまり、FX取引の危険性はある程度除去できるものですし、FX取引用の口座開設をすること自体には何の危険性もないということです。
まずは、FX業者で口座開設すること自体に危険性が存在しない理由を、以下3つの観点から詳しく見ていきましょう。
- 口座開設手続きに透明性はあるか
- 口座開設審査で提出する必要書類に不審な点はあるか
- 口座開設審査の結果が何かしらの波及的な問題を生じるか
FXの口座開設手続きに危険性はない
FXの口座開設は各証券会社が定める手続きに則って行われるので危険性はありません。
一般的なFX口座の開設手続きは以下の通りです。
- FX取引をする証券会社を選ぶ
- FX業者の公式HPから口座開設申込みページに進む
- 口座開設申込みページで必要事項を入力する(氏名・住所など)
- 証券会社から求められる必要書類を提出する
- FX業者で実施される口座開設審査の結果を待つ
- (審査合格後に)口座のログインID・パスワードを受け取る(メール・郵送など)
- 証券会社のマイページにログインして取引スタート
このような一連の口座開設手続きにおいて、投資家サイドの費用負担はありません。また、最短即日ですべての口座開設手続きが完了するFX業者も存在するので、「今すぐFXを始めたい」という希望も叶えられるでしょう。
なお、投資初心者が証券会社でFX取引用口座を開設する流れについては「FXの口座開設の方法まとめ!初心者向けおすすめFX会社比較ランキング5社を紹介」で解説しているので、あわせてご一読ください。
FXの口座開設審査で提出を求められるのは本人確認書類だけ
口座開設手続きで提出を要するのは「証券会社が明示している書類」だけに限られているので、その他の余計な情報提供を強いられることはありません。また、提出した必要書類は口座開設審査時等などに使用されるだけなので、個人情報がその他の場面に流用される危険性はないでしょう。
FXの口座開設で提出を要する必要書類は以下の通りです。
本人確認書類 | ・運転免許証 ・各種健康保険証又は共済組合員証 ・パスポート ・各種福祉手帳(顔写真付き) ・年金手帳 ・特別永住者証明書 ・在留カード ・印鑑登録証明書 ・住民票の写し又は住民票記載事項証明書 ・その他官公庁から発行・発給された本人確認書類 など |
---|---|
マイナンバー関係書類 | ・個人番号カード(マイナンバーカード) ・マイナンバー通知カード ・マイナンバー付住民票 ・マイナンバー付住民票記載事項証明書 |
18歳以上20歳未満の学生 | ・法定代理人であることを証明する書類(住民票・戸籍謄本写しなど) ・法定代理人の本人確認書類(運転免許証など) ・未成年者の取引に関する同意書 ・婚姻証明書(20歳未満の既婚者の場合) |
FX業者ごとに提出書類は異なる点に注意が必要です。記載漏れ・提出忘れなどの瑕疵がある状態だと口座開設審査に落ちる危険性が生じます。
なお、一般の投資家と比較すると、20歳未満の口座開設手続きは若干複雑になるので、詳しくは「大学生でもFX口座は作れる?大学生がFXトレーダーになるメリット・始め方・失敗しない方法を解説!」を参考にしてください。
FXの口座開設審査の結果は公開されない
まず、口座開設審査落ちの結果が社外に公表・通知されることはないので、家族や第三者に審査履歴・審査状況を知られる危険性はありません。
また、クレジットカードの入会審査やカードローンの借入審査とは違って、そもそもFXの口座開設には審査落ちの危険性はほとんどないと言われています。なぜなら、各FX業者の口座開設審査基準は非公開とされているものの、口座開設審査に落ちるのは以下のような状況に置かれている人だけだからです。
- 提出書類や入力内容に不備・漏れがある
- 投資予定額に対して年収・資産総額・投資経験が不足している
- 証券会社に対する申請内容で嘘をついている(収入・職業など)
つまり、自分の身の丈に合ったFX投資を希望して適切に手続きを履践している限り、口座開設審査に落ちる危険性はほとんどゼロに近いということです。
万が一審査に落ちたとしても、別の証券会社に再度申込みをすれば良いだけなので、ご安心ください。なお、FX用の口座開設審査の詳細や審査落ちへの対処法については、「知らないと損!FX口座開設の審査のポイントや落ちた時の対処法を解説」で紹介しているので、あわせて参考にしてください。
FXが怖い理由とは?やめとけばよかったと後悔する取引の危険性10ポイント
「FXの失敗は怖い」と言われるのは「FX取引自体の危険性」が原因です。証券会社でFX用の口座開設をすることにはリスクは存在しません。
つまり、FXという金融商品取引を万全の状態で継続するには、FX取引自体に潜む危険性を把握する必要があるということです。
ここからは、FX取引自体の危険性を以下10ポイントの観点から詳しく見ていきましょう。
- 相場変動による損失リスク(為替差損)
- レバレッジ取引で巨額の損失を被るリスク
- スワップポイントで損をするリスク
- スプレッド負担を軽減できないリスク
- 通貨ペアの選択を間違えるリスク
- 自動売買取引に依存するリスク
- 両建てで利益を生み出せないリスク
- 希望通りに約定できないリスク
- ギャンブル的な志向に陥るリスク
- 証券会社が破綻するリスク
1.為替相場の変動によって損失が生じる危険性
FX(Foreign exchange)とは外国為替取引・外国為替証拠金取引と称される金融商品取引のことであり、通貨同士の相対的な価値の変動を予測して利益を生み出すものです。つまり、FXの取引のタイミングを適切に掌握できれば為替相場の変動によって利益(為替差益)を得ることができますが、他方で、為替相場の変動予測を見誤ると損失(為替差損)を被る危険性があるということを意味します。
たとえば、「1米ドル=140円」の為替レートで米ドルを購入した後、相場が円安方向に動いて「1米ドル=150円」になったとき、米ドルを日本円に戻せば「1ドルあたり10円の為替差益」を受け取ることができます。これに対して、為替チャートが円高方向に動いて「1米ドル=135円」になると、米ドルを日本円に戻したタイミングで「1ドルあたり5円の為替差損」が生じます。
つまり、FX取引の根幹である「為替相場の変動」がメリット・デメリット両面を含むものであることを踏まえると、為替差損というFXの危険性を回避・軽減するには、いかに「為替相場の変動予測を適切に実施できるか」がポイントになるということです。
したがって、為替差損をできるだけ減らして中長期的なプラス収益を達成するために、投資経験を積むことで自分なりの相場分析方法やトレード手法を確立しましょう。
2.ハイレバレッジ取引で預託証拠金以上の損失を被る危険性
「FX取引は危険だ」と言われる理由としてレバレッジ制度が挙げられます。
レバレッジ(Leverage)とは、証券会社に差し入れた保証金を担保として預託証拠金の最大25倍の取引を可能にするルールのことです。手元の資金が少額でもレバレッジを利用すれば高額のFX取引ができる点に特徴があります。
FXのレバレッジは「巨額の利益を生み出せる」という意味で多くの投資家を魅了するものですが、同時に、「レバレッジが原因で巨額の損失を被る危険性がある」というデメリットに注意が必要です。たとえば、1米ドル100円のレートで10万円分の米ドル(1,000ドル)を購入し、その後、1米ドル95円まで円高が進んだ場合に生じる為替差損について考えてみましょう。
レバレッジ | 実質取引総額 | 為替差損 |
---|---|---|
なし | 100,000円 | 5,000円 |
2倍 | 200,000円 | 10,000円 |
5倍 | 500,000円 | 25,000円 |
10倍 | 1,000,000円 | 50,000円 |
25倍 | 2,500,000円 | 125,000円 |
たとえば、最大25倍のレバレッジを設定した場合では、初期費用10万円を超える為替差損が生じることになります。また、レバレッジを10倍に抑えたとしても、初期費用の50%相当の含み損が発生しており、資産総額が大幅に目減りする危険性があるといえるでしょう。
レバレッジが生み出す高額利益ばかりに気を奪われると、想定外の為替変動で簡単に資産が消滅しかねません。このようなFX取引の危険性を回避するなら、レバレッジと上手に向き合いながら欲を出し過ぎずに取引を進めるべきでしょう。
なお、レバレッジの効用については「レバレッジとは?その効果とリスク・取引に向いている人や向いていない人を解説」で詳しく紹介しているので、あわせて参考にしてください。
3.スワップポイントで不利になる危険性
FX取引のベーシックな儲け方は「安く買って、高く売る(高く売って、安く買う)」という”売り買い”による手法ですが、別の収益手法として「スワップポイント」というものが挙げられます。
スワップポイントとは、FXの取引対象である通貨ペア間の金利差を調整するために発生するお金のことです。FXでは各国が発行している通貨を取引対象にしていますが、各通貨に適用される金利が異なるため、ポジション保有日数に応じて金利差を均す必要が生じます。
ここで注意するべきなのは、FX取引の内容(選択する通貨ペア)によって、スワップポイントが有利にも不利にも働く可能性があるという点です。
たとえば、金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買ったとき、投資家にとってスワップポイントは有利に働きます。金利の高い通貨のポジションを保有している期間、毎日金利差分のお金を受け取ることができます。これに対して、金利の高い通貨を売って金利の低い通貨を買ったとき、ポジションを保有している期間は毎日スワップポイントを支払わなければいけません。つまり、為替差益を狙う前の段階でスワップポイント分だけ損失を計上する必要があるということです。
したがって、FX取引には、どれだけ為替差益獲得に成功してもスワップポイントのマイナスが響いて利益が目減りする危険性があると考えられます。スワップポイントや為替相場の変動具合などを総合的に考慮してFX取引対象通貨ペアを選択するべきでしょう。
なお、スワップポイントについては、「スワップポイントとは?FX初心者向けにおすすめ業者や注意点を解説!」でも紹介しているので、あわせてご一読ください。
4.スプレッド負担を軽減できない危険性
FX取引では「スプレッド」と呼ばれる実質的な取引手数料が発生するので、投資家側が損をする危険性があります。
スプレッドとは、証券会社が設定している通貨ペアごとの売値(ASK)・買値(BID)の差のことです。スプレッドが狭い方が投資家にとって有利で、スプレッドが広い方が投資家にとって不利に働きます。
そして、FXのスプレッドには以下のような特徴があるため、投資家自身の選択次第ではスプレッド負担が不利に作用する点に注意が必要です。
- 通貨ペアによってスプレッドは異なる
- 証券会社によってスプレッドは異なる
- FX業者のなかには一定通貨ペアについてスプレッド無料などのキャンペーンを実施している
つまり、各FX業者が設定するスプレッドを比較せずにいい加減に証券会社を選んだり、わざわざスプレッドの高い通貨ペアを選択したりすると、実質的な取引手数料負担が重くなって、FX取引で利益を出すハードルが高くなるということです。
したがって、スプレッドという危険性を孕む要素をできるだけ軽減するなら、FX業者選び・通貨ペアの選択を丁寧に行う必要があると考えられます。なお、スプレッドの見方や業者ごとの取引手数料については、「FXのスプレッドとは?各FX会社を比較して違いの理由を解説!資産運用の基礎を身に付けよう!」を参考にしてください。
5.リスクの大きい通貨ペアを選択する危険性
FXでは取引対象の通貨ペアを選択しなければいけませんが、取引対象通貨ペアの選択を見誤ると損失を被る危険性が生じます。
なぜなら、通貨ペアには以下のような性質があるため、過度な収益可能性を追求するには同等以上のリスクと隣り合わせになるからです。
- 通貨によって総取引量が異なる
- 通貨によってボラティリティが異なる
- 通貨を発行している国によって政治動向・経済的安定性が異なる
- 通貨ペアによってスワップポイント・スプレッドが異なる
- マイナー通貨ほど為替相場に影響を与えるイベント情報を入手しにくい
たとえば、「FXで一発逆転したい」と考える短絡的な投資家の多くは、ボラティリティの大きいマイナー通貨をFXの取引対象に選択しがちです。
しかし、マイナー通貨は想定外の事情により相場が急変動する危険性が高いですし、日本に居住する何のパイプもない人間では”想定外の事情”を事前に察知することさえできません。
これでは、「投機的な感性でマイナー通貨に投資をして、気が付かないうちに何故か為替チャートが不利に値動きをし、結果として、よく分からない間に資産がほとんどなくなってしまう」というような典型的”な負け組パターン”に陥ってしまうでしょう。
したがって、マイナー通貨の危険性を回避するには、投資家本人が自信をもって取引できる通貨ペアを吟味することが重要だと考えられます。なお、FX取引における通貨ペアの選び方については「FXの通貨ペアはどれがおすすめ?通貨ペアの選び方や特徴・難易度を解説」もご参照ください。
6.自動売買取引に依存してFXの知識を習得できない危険性
FXは投資家本人が自由に取引手法を決定できますが、そのなかでも、自動売買取引への依存度が高くなるとFXスキルを習得できないという危険性に注意が必要です。
FXの自動売買取引(システムトレード)とは、事前に設定した取引ルール(アルゴリズムなど)にしたがってFX取引をオートメーション化できる手法のことです。感情に左右されずに24時間いつでも取引チャンスにフォーカスできるので、家事や仕事で忙しい投資家の注目を集めています。
しかし、自動売買は投資家自身が頭を使わなくても勝手に取引をしてくれるので、「為替相場の動向を見定めて注文判断をする」というFX取引の基本作業の修練を積むことができないという危険性を避けられません。また、為替相場を左右するすべての要素をAI設定に取り込むのは不可能なので、突発的な事象で相場が急変動しても対応できなリスクも生じます。
したがって、自動取引の危険性を回避するには、AIや証券会社の宣伝文句を過度に信用するのではなく、投資家本人が頭を使って自分なりの取引ルールを確立するのが重要だといえるでしょう。なお、自動売買取引の詳細については、「FX自動売買のメリットとデメリットは?ツールの種類や稼ぐためのコツも解説」をご参照ください。
7.ポジションを両建てする危険性
FX取引でのリスクを過度に恐れる投資家にとって注意しなければいけないのが「両建ての危険性」です。
両建てとは、同一通貨ペアについて売りポジション・買いポジションを同時に保有するという投資手法のことです。決済するまでは価格リスク変動による損失を回避しやすい点で、リスクヘッジに有用な手法といえるでしょう。
ただし、両建てをすると2倍のスプレッド負担が発生しますし、差し引きの結果スワップポイントがマイナスになる危険性もあります。つまり、両建てをしている安心感が油断を招き、中長期的に見れば負債しか生みださない袋小路に追い込まれる可能性が高いということです。
FX取引において常にリスク回避を意識するのは重要ですが、失敗をおそれ過ぎると自ら収益可能性を放棄することになりかねません。せっかく投資にチャレンジするのですから、利益を生み出せる投資スタイルの確立を目指しましょう。なお、ポジション両建てで利益を生み出す方法については、「FXの両建て手法に必勝法はある?メリットやデメリット・おすすめFX会社を紹介」を参考にしてください。
8.希望通りに約定できない危険性
FXには意図した通りに約定できない危険性があります。
まず、約定できたとしても、注文発注時の表示価格と実際の約定レートに差が生じる現象(スリッページ)を避けられません。これは、トレーダーの発注情報が証券会社に届くまでの僅かなタイムラグの間でも、為替相場は時々刻々と変化しているからです。
また、為替市場の流動性自体が停滞している場合、システムトラブルなどが発生した場合などでは、約定自体ができなくなる危険性も否定できません。たとえば、損切りのタイミングで約定が通らないと、ロスカットの危険性が高まるでしょう。
したがって、希望通りの約定が通らないリスクを回避するには、サポート体制の充実した証券会社を選んだり、複数のFX取引ツールを併用したりするなど、トレーダー側の慎重さが求められます。
9.ギャンブル感覚でFXにのめりこむ危険性
FXへの依存度が高くなると、ギャンブル感覚で取引にのめりこむ危険性があります。
そもそも、FXは純然たる投資商品であり、パチンコ・競馬などのギャンブルとは異なります。必勝法と呼ばれるものは存在しませんが、投資経験とノウハウを動員すれば勝率を高めることができます。
しかし、FXとの向き合い方を間違えると、1回の取引に高額資金を投入して今までのプラスが吹き飛んでしまったり(コツコツドカン)、常にポジションを保有して射幸心に煽られなければ不安を抱いてしまったり(ポジポジ病)するなど、不健全な状態におちいってしまうでしょう。
したがって、FXにチャレンジするときには、自制心と向上心をもって真摯な姿勢で取引に向き合うべきでしょう。なお、FXと正しく付き合う方法については、「【結論】FXはギャンブルではない!FXを投資として成功させるためのポイント4つ」をご参照ください。
10.証券会社が破綻するリスク
滅多に起こることはありませんが、証券会社自体が経営破綻する危険性もゼロではありません。
国内FX業者は顧客との取引を保全するためにそれぞれカバー取引を実施していますが、カバー取引の方法はFX業者によって異なるため、取引先信用リスクを100%回避するのは難しい状況です。証券会社自体が破綻すると、最悪の場合にはポジションが宙に浮いたまま決済できなくなったり、証券口座から出金できなかったりする危険性も生じます。
したがって、FXを始めるときには、信用力のある証券会社を選ぶようにしましょう。
FXで人生終了しないコツ!取引リスクを回避する方法7つ
FXでの失敗を避けて満足できる投資生活を送るには、FX取引の危険性をひとつずつ回避する慎重さが不可欠です。
以下7点の回避策はすべての投資家が注視するべきポイントなので、FX取引にチャレンジする限りは常に意識をし続けましょう。
- FX取引手法の確立
- 身の丈に合った投資額・レバレッジ
- 損切りへの習熟
- 通貨ペアの吟味
- 複数FX業者の併用によるリスクヘッジ
- 最新の経済情報収集方法の確立
- 信用力の高いFX業者をパートナーに選択
1.自分なりの取引スタイルを見つける
FX取引の結果はすべて投資家本人に降りかかります。したがって、結果に対する責任を全うし、投資にチャレンジした自分の判断を次に活かすために、自分なりのFX取引スタイルを確立するべきでしょう。
FX取引は、根本的な志向性・注文方法・分析手法・トレードスタイルの観点で自由に組み合わせられます。1つの手法にこだわるのではなく、できるだけ多様な手法を経験するのがおすすめです。
FX取引の基本的な考え方
FX取引では「為替相場を予測する」作業が不可欠です。ある程度取引経験を積む段階になると、自分の経験をベースに臨機応変に相場動向を読むことになりますが、FX初心者段階では順張り・逆張りのいずれかに軸を置くと取引に慣れやすいでしょう。
なお、順張り・逆張りの前提となるトレンドの在り方については、「上げ相場と下げ相場とは?相場の判断基準から利益を出す方法まで解説」をご参照ください。
FXの順張りとは
順張りとは、為替相場のトレンド動向を尊重する考え方です。
たとえば、為替レートが上昇基調にあるなら、「今後も上昇し続けるだろう」と予測して注文を出します。他方で、為替レートが下降基調にあるなら、「今後も下落が続くだろう」という予測を前提に注文方法を検討します。
もちろん、為替レートは上下を繰り返すものなので、トレンド尊重型の順張りが常に当てはまるわけではありません。
したがって、順張り志向でFXにチャレンジするときには、「トレンドの初期段階を見逃さないこと」「トレンドの継続期間を見誤らないこと」が重要になります。
FXの逆張りとは
逆張りとは、為替相場のトレンドに逆らう取引をするという考え方です。
そもそも、為替相場は一方方向に動き続けるのではなく、どこかのタイミングでかならず上昇・下降が終わります。たとえば、上昇トレンドから下降トレンドに切り替わる時点で売り注文を出せば利益を最大化しやすいでしょう。逆に、下降トレンドから上昇トレンドへの転換ポイントで買い注文を出せば底値で外貨のポジションを保有できます。
したがって、逆張り型でFXにチャレンジするときには、「トレンドが終わる時期を予測できるようになること」が結果を左右することになります。
FXのトレードスタイル

出典:みんなのFX
FXを始めるにしても、どのようなペース感で取引をするかは投資家によって異なります。たとえば、毎日日中からFXにチャレンジできる人、平日仕事が終わってから夜中に取引を行う人、毎日為替チャートをチェックする余裕はないがFXを始めたい人など、いろいろな事情があるでしょう。
FXは取引に使える時間・期間によって利益の目指し方が変わってきます。ライフスタイルなどを総合的に考慮しながら、自分なりのトレードスタイルを早期に確立しましょう。
FXのスキャルピングとは
スキャルピングとは、1日のうちに何度も取引を繰り返して単発的な利益を積み重ねるトレードスタイルのことです。数秒~数分単位で売り買いを繰り返すため、相場のトレンド予測が成功の鍵を握ります。
ただし、常に相場をチェックしながら取引を重ねる必要があるので、為替チャートをチェックする余裕がない投資家には不向きです。スキャルピングのメリット・デメリットについては、「FXのスキャルピングで稼ぐ手法とは?会社選びのポイントやおすすめ5社を解説!」も参考にしてください。
FXのデイトレードとは
デイトレードとは、1日に数回のペースで売り買いをするトレードスタイルのことです。数十分~数時間単位の取引なので、スキャルピングのように為替チャートに張り付く必要はありませんし、1回あたりの取引ではスキャルピング以上の利益を目指せます。
ただし、スキャルピングほどではないにしても、取引機会のたびにスプレッド負担が発生する点に注意が必要です。なお、デイトレードの詳細については、「FXのデイトレードの始め方!投資初心者が口座開設すべきFX会社も紹介」をご一読ください。
FXのスイングトレードとは
スイングトレードとは、数日スパンでポジションを保有して利益を目指すトレードスタイルのことです。為替チャートを常にチェックする必要はないので、仕事をFXを両立したいという人に適しています。
ただし、ポジション保有期間が長いために大きめの利益を狙える反面、相場をチェックしていない間にチャートが意に反した動きをする危険性があるので、トレンド予測に長けた人でなければ損失を被るおそれがあるでしょう。なお、スイングトレードとの付き合い方については、「FXのスイングトレードとは?稼ぐための4つのコツとおすすめの手法を解説」もご参照ください。
FXのポジショントレードとは
ポジショントレードとは、数カ月~年単位でのポジション保有を前提とするトレードスタイルのことです。ある程度のまとまった資金を投入してスワップポイントでの利益を目指す投資家に適しています。
ただし、ポジション保有期間が長いということは、エントリー前の相場分析の難易度が高いということです。スワップポイント以上に含み損が発生する危険性があるので、FX初心者段階ではおすすめできません。
FXの分析方法
為替差益・スワップポイントのいずれを狙うとしても、FXで利益を上げるためには為替相場の動向を分析する作業が欠かせません。
相場の分析手法も実に多様ですが、自分の能力値で処理できる範囲での分析方法を学ぶのがおすすめです。
FXのファンダメンタルズ分析とは
ファンダメンタルズ分析とは、金融政策・経済指標・要人発言などを相場分析のコアにする分析方法です。短期的な為替動向ではなく、中長期的なトレンド予測に役立つと言われています。
ただし、ファンダメンタルズ分析は客観的なデータに基づくものではなく、「金融政策等を市場がどのように判断するか」という主観的な分析に依拠する点に注意が必要です。つまり、FX取引の経験値が不十分だと、ファンダメンタルズ分析はただの「勘」になってしまうということです。
したがって、ファンダメンタルズ分析は、ポジション保有期間を長めに設定するFX中級者以上におすすめと考えられます。なお、ファンダメンタルズ分析の特徴や注意点については、「FXのファンダメンタルズ分析とは?テクニカル分析との違いと情報分析を解説」をご参照ください。
FXのテクニカル分析とは
テクニカル分析とは、テクニカル指標などの客観的な解析ツールを参考にする分析手法です。ファンダメンタルズ分析よりもデータに基づいたトレンド予測ができるので、曖昧さを回避したい投資家におすすめです。
ただし、以下のように、テクニカル分析自体にもさまざまな手法が存在しますし、為替相場が分析通りに動くという確約もありません。複数のテクニカル指標を臨機応変に併用して優先順位を付けるのが重要なので、1つの指標に妄信しないようにご注意ください。なお、テクニカル分析については、「FXのテクニカル分析とは?初心者におすすめな7種類の手法と注意点を解説」もあわせてご一読ください。
トレンド分析 | ・移動平均線(MA) ・MACD ・ボリンジャーバンド ・一目均衡表 ・DMI ・パラボリック ・エンベロープ |
---|---|
オシレーター分析 | ・RSI ・ストキャスティクス ・サイコロジカルライン ・RCI ・移動平均線乖離率 |
フォーメーション分析 | ・ダブルボトム&ダブルトップ ・ヘッドアンドショルダーズ ・三角保合い ・ソーサートップ&ソーサーボトム ・ラインフォーメーション ・スパイクフォーメーション |
ローソク足分析 | 酒田五法など |
その他 | ・出来高移動平均線 ・フィボナッチ・リトレイスメント活用法 ・ヒストリカル・ボラティリティ |
FXの注文方法
FX取引の危険性を回避するには、業者ごとに設定している多様な注文方法に慣れる必要があります。
FX初心者段階で確実に習得するべき注文方法は、成行注文・指値注文・逆指値注文の3種類です。
FXの成行注文とは
成行注文とは、取引の成立を最優先にする注文方法のことです。約定の成立を最優先にするので、必ずしも表示通りのレートで取引が成立するとは限りません。
とはいえ、為替チャートを見ながらリアルタイムで取引できるので、FX初心者にとって分かりやすい注文方法と言えるでしょう。
FXの指値注文とは
指値注文とは、希望する売値・買値を指定して発注する注文方法のことです。今よりも有利なレートを指定する方法で、「〇〇円になったら売り注文を出す」「〇〇円になったら買い注文を出す」という希望条件を事前に設定します。
ただし、為替相場が予想外の動きをしたときに損失が拡大する危険性がありますし、逆に、有利な取引チャンスを逃すおそれもあるので注意が必要です。
FXの逆指値注文とは
逆指値注文とは、事前に売値・買値を指定する点では指値注文と同じですが、「今よりも不利なレートを指定する」点で特徴のある注文方法です。
為替相場は常に変動しており、投資家の判断とは異なる動きをすることも少なくありません。そのような時に発注のタイミングが遅れると、損失が拡大する危険性があります。逆指値注文を事前に設定することで、損切りのリスクヘッジに役立ちます。
したがって、逆指値注文は、含み損発生時に冷静な判断ができない投資初心者が身に付けておくべき注文方法と言えるでしょう。
2.少額初期費用と低レバレッジを意識する
FX取引が有する損失拡大の危険性を回避するには、初期費用を少額に抑えて低レバレッジを意識するのがポイントです。
たとえば、1米ドル100円の為替レートで米ドルを購入し、その後、1米ドル90円まで円高が進んだケースについて考えてみましょう。初期費用額・レバレッジに応じて、含み損は次のように変わります。
初期費用/購入通貨単位 | レバレッジ なし |
レバレッジ 2倍 |
レバレッジ 5倍 |
レバレッジ 10倍 |
レバレッジ 25倍 |
---|---|---|---|---|---|
100円/1通貨単位 | 10円 | 20円 | 50円 | 100円 | 250円 |
100,000円/1,000通貨単位 | 10,000円 | 20,000円 | 50,000円 | 100,000円 | 250,000円 |
1,000,000円/10,000通貨単位 | 100,000円 | 200,000円 | 500,000円 | 1,000,000円 | 2,500,000円 |
ココから分かるように、初期費用とレバレッジが低いほど損失拡大の危険性を抑えられるという関係にあります。
したがって、投資経験を積んで自信をもって取引できるまでの間は、過大なポジション保有・ハイレバレッジ取引は避けるべきでしょう。なお、少額投資のメリット・デメリットについては、「FXを始めるには資金はいくら必要?3万円の少額からトレードできるFX会社を紹介」も参考にしてください。
3.損切りに慣れる
損失拡大の危険性を回避するには、損切り判断に慣れるのも重要です。損切りとは、投資家の保有ポジションが含み損を生じている段階で、決済注文を出して損失を確定することです。
為替チャートを読み間違えてマイナスが生じているとき、「もう少し我慢すればプラスに反転するかもしれない」と期待するのは危険です。なぜなら、為替相場は投資家の希望通りに動くものではないですし、場合によっては、今以上に損失が拡大する危険性もあるからです。
FX取引を中長期的に成功させるには、「もう少し待てばプラスに戻るかもしれない」という期待感と「もう少し処理が遅れるとマイナスが拡大するかもしれない」という危機感を天秤にかけたとき、躊躇なく後者を選択して損切りをする必要があります。感情や誘惑に左右されることなく、冷静に取引できるようになりましょう。
4.通貨ペアは定期的にチェックする
取引の危険性を除去してできるだけ有利な条件で取引を進めるには、取引対象通貨ペアを厳選する作業を忘れてはいけません。
たとえば、ボラティリティの大きさに惹かれてマイナー通貨に手を出してしまうと、為替相場が急変動する危険性を回避できないでしょう。また、わざわざスプレッド負担の重い通貨ペアを選択してしまうと、為替差益が目減りしてしまいます。さらに、通貨ペアの選択を見誤ると、ポジション保有期間に応じてスワップポイントの支払義務が生じかねません。
したがって、FX初心者段階で勉強を重ねて取引をするときには、ボラティリティの小さいメジャー通貨同士の通貨ペアを選択するのがおすすめです。
5.複数のネット回線・口座開設でリスクヘッジ
証券会社の破綻リスクや希望通りに約定できない危険性を回避するには、複数のネット回線・FX業者を併用してリスクヘッジするべきでしょう。
そもそも、FX取引を行うときに、複数の証券会社を同時に活用するのは一般的なことです。証券会社ごとにキャンペーンや取引所条件が異なるので、より有利な状況で取引に注力できます。また、各社の情報配信サービスも同時利用できるので、相場予測の確度も高まるでしょう。
ただし、複数の証券会社を併用すると、確定申告の手間が増えたり、口座開設手続きが煩雑になったりするなどのデメリットが生じるので注意が必要です。なお、複数口座を所持するメリット・デメリットについては、「知らないと損!FXの口座を複数持つとお得な理由とメリット・デメリット」を参考にしてください。
6.最新の情報収集に努める
為替相場は常に変動し続けるので、取引の危険性を回避・軽減するには、最新の情報収集に注力する姿勢が重要です。また、FX取引に必要な知識・スキルも積極的に習得するべきでしょう。
一般的に、最新の情報収集の方法・スキルの習得方法として、次のようなものが挙げられます。
- 証券会社が配信しているニュースサービスをチェックする
- SNSやニュースサイトでトレンドを把握する
- デモトレードでFX取引の流れに慣れる
- 米国雇用統計やGDPなどの公式データを随時確認する
- 自分の取引履歴をメモして反駁する
なお、有料の情報商材や投資セミナーは詐欺まがいのものばかりなので費用をかける必要はありません。「完全保存版!FXのおすすめ勉強法・最速で勝つための全知識」をご確認のうえ、信頼できる情報ソースについて整理しておきましょう。
7.信頼できるFX業者で口座開設する
FX取引の危険性を回避するには、信頼できる証券会社で口座開設するのが重要です。
信頼できるFX業者を見極めるポイントは次の8点です。
- 約定力や約定スピードに定評があるか
- 24時間体制のサポート体制が充実しているか
- 初心者向けコンテンツが充実しているか
- スプレッド・スワップポイントなどのキャンペーンを実施しているか
- 取引ツールの数は多いか、使いやすいか
- 取扱い通貨ペア数が豊富か
- 少額初期費用でもFX取引を始められるか(最小取引単位1,000通貨以下が目安)
- 口コミやレビューは好評か
過去の投資歴や用意できる資金総額など、投資家によって事情はさまざまです。ご自身のニーズに適した証券会社を選びましょう。
FXの危険性を回避しやすいおすすめ証券会社
FX取引の危険性をできるだけ排除したい初心者におすすめの証券会社は以下の通りです。なお、おすすめ証券会社の詳細については、「FX初心者におすすめの口座を徹底解説!業者選びの比較ポイントや投資の勉強方法まで解説します」をご覧ください。
初期費用を抑えたい | ・au カブコム証券 ・外為どっとコム ・マネーパートナーズ(Money Partners) ・みんなのFX ・外為オンライン |
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スプレッド負担を軽減したい | ・DMM FX ・GMOクリック証券(FXネオ) ・外貨ex byGMO |
マイナー通貨に挑戦したい | ・SBI FXトレード ・ヒロセ通商(LION FX) ・JFX株式会社(MATRIX TRADER) |
取引ツールの使いやすさを重視したい | ・楽天証券(Rakuten FX) ・インヴァスト証券(トライオートFX) ・松井証券(MATSUI FX) |
FXは将来性がある金融商品!危険性を意識して賢く取引しよう
FX取引には危険性がありますが、適切な予防策を徹底すれば、安全な環境での資産運用を達成できます。
そのためには、信頼できる証券会社を取引パートナーに選ぶだけではなく、投資家本人がFXスキルを積極的に習得する姿勢が重要です。
投資ブームが到来した今は将来に向けて資産形成するチャンスなので、ぜひ条件に合うFX業者に口座開設を申込みましょう。