米国株取引のおすすめ証券会社を徹底解説!選び方のポイントや投資する際の注意点も解説

米国株取引のおすすめ証券会社を徹底解説!選び方のポイントや投資する際の注意点も解説 株の基礎知識

昨今の投資ブームのなかで注目を集めるのが「米国株」です。米国株式個別銘柄や米国ETFなど、日本株投資では得られないメリットが得られる点が魅力として挙げられます。

ただ、投資初心者にとって外国株に手を出すのはなかなか勇気がいるものです。「米国株の方が利益が出やすいと聞くけれど、英語が苦手だし相場が不安定だと聞くし、どうしても手を出しにくい」と感じるのも当然のことでしょう。

そこで、今回は、投資初心者でも安心して米国株取引ができるおすすめ証券会社8選を紹介します。あわせて、米国株取引のメリット・デメリットや投資における注意点・税金面の課題についても解説するので、さいごまでご一読ください。

米国株取引の証券会社の選び方ポイント4点

まずは、米国株取引用の証券会社選びの比較ポイントを4点紹介します。

  1. 取引手数料:1取引で発生する手数料額
  2. 為替手数料:外貨両替時に発生する手数料額
  3. 取扱銘柄数:各証券会社で取引できる銘柄の違い
  4. 注文方法の種類:各証券会社における取引手法の違い

どこの証券会社で口座を開設しても同じ取引・同じ収益が期待できるというわけではありません。希望通りの投資ができるように、各証券会社の設定条件を丁寧に比較しましょう。

1:取引手数料

米国株・国内株にかかわらず、株式の取引が成立した場合には1取引につき証券会社所定の取引手数料が発生します(取引不成立の場合には取引手数料は発生しません)。

たとえば、米国株を購入した場合には【株数 × 買付価格 + 取引手数料】の金額を支払う必要がありますし、米国株を売却した場合には【株数 × 売却価格 – 取引手数料】の金額しか受け取ることができません。

つまり、取引手数料が高い証券会社・プランを選択すると余計なコストの負担を強いられてしまいますし、他方で、取引手数料が低額・無料の証券会社と取引をすれば費用負担を軽減しながら投資活動に注力できるということです。

「約定価格に比べると些細な取引手数料を気にするだけ労力・時間の無駄だ」と高を括っていると、中長期的取引を継続しているうちに想像以上のコスト負担で損をするだけなので、証券会社選びの際には各社の取引手数料をかならずチェックしましょう。

2:為替手数料

米国株取引における為替手数料とは、日本円と米ドルを交換・両替するときに発生するコストのこと。たとえば、海外旅行で日本円を現地外貨に両替するとき、為替レートから為替手数料が差し引かれた”両替レート”が適用されるのと同じようなものです。

日本国内株を日本円で購入するときには為替手数料は発生しません。なぜなら、日本国内株は日本円ベースで値動きするものだからです。

これに対して、米国株は米ドル基準で値段が付けられるものなので、日本円保持者が米国株取引を行うためには「日本円を米ドルに交換してから米国株を購入する(米国株を売却して手にした米ドルを日本円に戻す)」というプロセスが不可欠となります。そして、ここにおける「日本円を米ドルに交換する(米ドルを日本円に戻す)」というステップで課されるのが為替手数料です。

日本円を主軸に資産を形成している人が米国株取引をするときには、「円貨決済・外貨決済」という視点をもつのがポイントです。

  1. 日本円を米ドルに交換する
  2. 米ドルで米国株を購入する
  3. 米国株の売却益を米ドルで受け取る
  4. 米ドルを日本円に戻す

つまり、一連の米国株取引のなかで、①④の2回、通貨交換のプロセスを経るため、いわゆる「円貨決済」ならば最大2回の為替手数料が発生するということです。これに対して、米ドルによる「外貨決済」の方法で米国株取引を実施すれば①④のプロセスを省略することによって為替手数料の負担を回避することができます。したがって、効率的な米国株取引を希望する方は、わざわざ毎回円貨決済をするのではなく、外貨決済を可能にするために普段から米ドルで資産運用をするなどFX取引も視野に入れるのがおすすめです。

証券会社ごとに為替手数料は異なりますし、なかには為替手数料を無料に設定している証券会社も存在します。

「手数料負担をできるだけ軽減したい」「為替手数料のことまで考えて逐一取引をするのが面倒だ」という人は、ユーザーに有利な為替手数料を設定している証券会社を選びましょう。

なお、米国株取引とあわせてFXにも手を出したいという人は「FX取引の注文方法を初心者向けに解説!初心者向け7種類をわかりやすく紹介」をご参照ください。

3:取扱銘柄数・種類

証券会社ごとに取引できる銘柄が異なるのが実情です(個別銘柄だけではなく、米国ETFの取り扱い内容にも違いがあります。なお、ETFについて詳しく知りたい方は「米国ETFとは?投資するメリットやデメリット・手数料や税金なども解説」をご参照ください)。

したがって、取引を希望する米国株がすでに存在するのなら当該米国株銘柄を扱っている証券会社を選ぶ必要がありますし、できるだけ投資の選択肢を広げたいのなら取扱銘柄数・種類の豊富な証券会社で口座を開設するべきでしょう。

4:注文方法の種類

米国株取引の証券会社を選ぶときには、各社が定めている注文方法もチェックしましょう。

次のように、米国株の注文方法ごとにメリット・デメリットがあるため、ユーザーの希望・習熟度などに応じて、利用したい注文方法を用意している証券会社を選ぶのがおすすめです(特に、証券会社によっては逆指値注文に対応していない業者があるので注意が必要です)。

成行注文
成行注文とは、米国株を売り買いするときに値段を指定しない注文方法のこと。「早く確実に売買したい」という希望を叶えるには最適の注文方法だが、値幅制限がなく株価変動の激しい銘柄や低流動性銘柄については、予想とは異なる価格で約定するリスクがある。チャートを見ながらタイムリーに取引できる点でわかりやすい。
指値注文
指値注文とは、価格を指定して米国株を売り買いする注文方法のこと。「指定価格よりも高値で買う」「指定価格よりも安値で売る」という不利な約定取引を回避できる点でメリットが大きい。希望通りのイメージで取引をしたい米国株初心者におすすめ。
逆指値注文
逆指値注文とは、「指定したトリガー条件より米国株の株価が安くなった売る」「指定した基準条件より米国株の株価が高くなったら買う」という自動発注方式の注文方法です。「安くで売る、高くで買う」という点が矛盾しているようにも見えるが、損失拡大を防ぐ場面で有効なリスクヘッジ。
その他の注文方法
トレールストップ注文(逆指値注文のトリガー条件を相場トレンドを反映して自動修正できる注文方法)、OCO注文(2種類の注文を一度に出して、一方が約定した段階で他方が自動キャンセルになる注文方法)など、証券会社ごとにさまざまな注文方法サービスを提供している。特に、深夜帯に米国株式市場をリアルタイムでチェックできない人に条件付注文はメリットが大きい。

米国株初心者におすすめの注文方法は、成行注文・指値注文のいずれかです。

たとえば、相場を見て「今すぐ買いたい」と思ったら成行注文、その後、「〇〇円になったら売りたい」と考えたなら指値注文という流れが一般的です(もちろん、購入価格自体を指定したいのなら、買い段階から指値注文を選択するのも賢い方法です)。

とはいえ、ポジションを保有した状態で常に株価チャートをチェックしつづけるのは簡単ではないでしょう。特に、米国株取引は日本時間の深夜帯に市場が動きますし、日本株よりも短期間で価格が上下するという性質がある点から目を背けるべきではありません。

したがって、「寝ている間に株価が急落して損失が拡大した」という事態を回避するためにも、逆指値注文に対応している証券会社を選ぶのがおすすめです。

米国株取引のおすすめ証券会社8選

それでは、米国株取引におすすめの証券会社8選を紹介します。

老舗証券会社から新規に米国株取引をスタートした業者まで豊富なラインナップになっているので、ここまでで紹介した比較ポイントを参考に、ご自身の投資スタイルに適した証券会社での口座開設をご検討ください。

  1. マネックス証券
  2. SBI証券
  3. DMM株
  4. Rakuten 楽天証券
  5. PayPay証券
  6. 松井証券
  7. auカブコム証券(旧カブドットコム証券)
  8. サクソバンク証券

1.マネックス証券

証券会社名 マネックス証券株式会社
米国株取扱い数 5,000超(個別株式・ETF・ADRの合計)
取引手数料 約定代金の0.45%(税込:0.495%)
最低手数料0米ドル(無料)
最大20米ドル(税込:22米ドル)
為替手数料 買付時:0銭
売却時:25銭
注文方法 ・指値注文
・成行注文
・逆指値注文
・トレールストップ
・連続注文(OSO注文)
・OCO(OCOs)注文
・OCO(ツイン指値)注文
・チャート注文
分析ツール ・トレードステーション米国株 スマートフォン
・ウェブブラウザ型取引画面
NISAの可否

マネックス証券の米国株は取引手数料0米ドルから取引できる低コスト金融商品です。取引銘柄は5,000超で随時増加中なので、中小規模の株式銘柄にも積極的に投資できるチャンスが広がっています(中国株の取引にも力が入っています)。

また、時間外取引に対応してくれたり、逆指値注文・トレールストップ注文などの多様な注文方法を展開していたりと、投資家にとって使いやすい環境が整っているのも魅力的です。

さらに、アメリカのTradeStation社が開発した米国株取引専用ツール「トレードステーション米国株 スマートフォン」は、27種類のテクニカルチャートを搭載しており(Android版は26種類)、高いユーザビリティを発揮します。

初心者向けレポート・最新の投資情報が随時発信されているので、マネックス証券は米国株初心者におすすめの証券会社といえるでしょう。

2.SBI証券

SBI証券

出典:SBI証券

証券会社名 株式会社SBI証券
米国株取扱い数 6,000超(個別株式・ETF・ADRの合計)
取引手数料 約定代金の0.45%(税込0.495%)
最低手数料:0米ドル
上限手数料:20米ドル(税込22米ドル)
為替手数料 片道25銭(住信SBIネット銀行経由で3銭)
注文方法 ・指値注文
・成行注文
・逆指値注文
分析ツール ・米国株スクリーナー
・米国株アプリ
NISAの可否

SBI証券の最大の魅力は、米国株取扱い数6,000超で投資家に幅広い選択肢が与えられている点です。大型銘柄だけではなく、中小型銘柄やIPO銘柄も多数扱っているので、マイナー銘柄を狙って収益を目指しやすいでしょう。

また、2022年9月13日からは「米国株式信用取引」サービスをスタート。レバレッジ2倍で少額資金でも大きな利益を狙えますし、空売りで株価下落時にも収益チャンスを獲得てきます。

さらに、中国株・韓国株・ベトナム株など、取扱い外国株式銘柄も豊富なので、SBI証券は「アメリカの有名企業以外に応援できる中小企業を見つけたい」「米国株以外の外国株にも手を出したい」という人におすすめの証券会社だといえるでしょう。

3.DMM株

DMM株

出典:DMM株

証券会社名 株式会社DMM.com証券
米国株取扱い数 2,585(個別株式・ETF・ADRの合計)
取引手数料 約定金額にかかわらず一律0円
為替手数料 片道25銭
注文方法 ・指値注文
・成行注文
・IFDONE注文
分析ツール ・DMM株 PRO+
・DMM株 STANDARD
・スマホアプリ「DMM株」
NISAの可否

DMM.com株を利用する最大のメリットとして、約定金額にかかわらず取引手数料が一律無料という点が挙げられます。また、2022年以降は、2月に米国株373銘柄・ADR5銘柄・ETF47銘柄を、6月に米国ETF60銘柄を、9月には米国株約500銘柄を順次追加しており、米国株サービスに力を入れ始めている点も魅力的です。

また、DMM株では米国株式も信用取引の担保として利用できるので、資金効率のアップ・投資選択肢の拡大・長期保有資産を短期資産運用に活用可能というメリットが得られます(保証金換算率は前々営業日最終価格の60%)。

確かに、マネックス証券やSBI証券に比べると現段階における取扱い銘柄数は少ないですが、DMM株は「証券会社が力を入れている金融商品に相乗りしたい」「取引のたびに手数料をとられるのが億劫だ」という人におすすめだと考えられます。

4.Rakuten 楽天証券

証券会社名 楽天証券株式会社
米国株取扱い数 4,661(個別株式・ETF・ADRの合計)
取引手数料 約定代金2.22米ドル以下:0円
約定代金2.22米ドル超~4,444.45米ドル未満:約定代金の0.495%(税込)
約定代金4,444.45米ドル以上:22米ドル(税込)
※米国ETFの買付手数料は無料
為替手数料 片道25銭
注文方法 ・成行注文
・指値注文
・逆指値注文
分析ツール ・スマートフォンアプリ「iSPEED」
・PC用「マーケットスピード」
NISAの可否

楽天証券の超割コースでは、取引手数料の1%(大口優待なら2%)がポイント還元されます。「楽天ポイントコース」なら楽天グループでの買い物などに、「楽天証券ポイントコース」ならJMBマイルに交換してJALの特典航空券などへの引き換えも可能です。取引手数料無料を謳っているDMM株に比べると損に見えますが、米国株取引額次第では楽天証券のポイント還元を狙った方がお得なケースもあるでしょう。

また、米国株式の信用取引・米株積立などの派生サービスにも注力していますし、随時「為替手数料キャッシュバック」などの投資家が歓迎するようなキャンペーンも実施中です。

したがって、楽天証券は「買い物やスマホなど、普段から楽天経済圏にいる人」「ポイ活が好きな人」におすすめの証券会社といえるでしょう。

5.PayPay証券

PayPay証券

出典:PayPay証券

証券会社名 PayPay証券株式会社
米国株取扱い数 149(個別銘柄のみの数字)
取引手数料 23:30~6:00:基準価格の0.5%
上記以外の時間帯:0.7%
為替手数料 片道35銭
注文方法
分析ツール ・PayPay証券アプリ
・つみたてロボ貯蓄
NISAの可否

PayPay証券には、「1株単位ではなく1,000円単位で米国株を購入できる」という特徴があります。これは、一般の証券会社とは異なり、PayPay証券がアメリカ市場から仕入れた株式を投資家が購入する(相対取引)方式を採用しているからです。

また、他の証券会社と比べて取扱い銘柄数は少ないですが、ニューヨーク証券取引所・NASDAQで取引されている主要銘柄を中心に厳選されたラインナップになっているので、大型米国株の取引を考えている人にとっては大きなデメリットではありません。

したがって、PayPay証券は「お小遣い感覚で米国株取引を始めたい」「初心者だから株価チャートをこまめにチェックするのは難しそう」という人におすすめの証券会社といえるでしょう。

6.松井証券

松井証券

出典:松井証券

証券会社名 松井証券株式会社
米国株取扱い数 1,058(個別株式・ETF・ADRの合計)
取引手数料 約定代金の0.45%(税込0.495%)
約定代金222円以下の場合は手数料無料
上限手数料20米ドル(税込22米ドル)
為替手数料 25銭(買付・売却時)
0銭(配当金受取時)
注文方法 ・指値注文
・成行注文
分析ツール ・マーケットラボ
・ネットストック・ハイスピード
・株価ボード
・松井証券 米国株アプリ
・株touch
・アクティビスト追跡ツール
NISAの可否

松井証券は、充実したサポート体制や安心システムに定評がある老舗の証券会社です。慣れない米国株取引で分からないことがあっても、原則24時間「松井証券顧客サポート」に電話連絡できます。そして、ネットインフラも充実しており万全のセキュリティ体制が構築されているのも魅力です。

また、約定代金222円以下の場合には手数料無料なので、少額から米国株に挑戦したい人が”手数料負け”のリスクに晒されるのを回避できるように配慮されています。

ただし、逆指値注文が利用できないため、米国株のポジションを保有した状態でチャートから離れるのは危険です。基本的に、自分が相場をチェックできるタイミングで決済まで行きつくのがベターでしょう。

したがって、松井証券は「米国株取引が初めてで不安だ」「安心できる環境で分かりやすくガイドして欲しい」という人におすすめの証券会社と考えられます。

7.auカブコム証券(旧カブドットコム証券)

証券会社名 auカブコム証券株式会社
米国株取扱い数 1,532(個別株式・ETF・ADRの合計)
取引手数料 約定代金の0.45%(税込0.495%)
最低手数料0円~上限手数料20米ドル(税込22米ドル)
為替手数料 片道20銭
注文方法 ・指値注文
・成行注文
・Uターン注文
・逆指値注文
・トレーリングストップ注文
分析ツール ・kabuステーション
・EVER チャート
・カブコール
・保証金シミュレーター
・kabuカルテ
・kabuスコープ
NISAの可否

auカブコム証券はMUFGグループの一員で、万全の経営基盤を備えた証券会社です。2022年2月より米国株の取扱いがスタートしました。大手金融グループならではのニュース配信・投資情報が期待できるので、auカブコム証券は「最新の米国株情報に触れたい」という投資家におすすめの証券会社です。

また、逆指値注文・トレーリングストップ・Uターン注文を利用すれば、深夜帯の米国株取引でも自動売買できるのが魅力のひとつ。ポジションを保有した状況でも相場急変に対応できるので、安心して継続的な投資が可能となります。

取引銘柄数の増加や外貨決済機能導入などを目指している成長最中の証券会社なので、将来的なサービス拡充を期待して今の段階から口座を開設しておくのも賢い選択でしょう。

8.サクソバンク証券

証券会社名 サクソバンク証券株式会社
米国株取扱い数 6,000超
取引手数料 取引金額×0.20%(税込)
最低取引手数料:5.0米ドル(税込)
上限取引手数料:15.0米ドル(税込)
為替手数料 片道0.25%
注文方法 ・成行注文
・指値注文
・逆指値注文
・逆指値(指値)注文
・逆指値(トレイリング追随型)注文
・OCO注文
・IFD-OCO注文
分析ツール ・SaxoTraderGO
・SaxoTraderPRO
NISAの可否

サクソバンク証券は、米国株だけでも6,000銘柄以上、アジア・中国株については2,500銘柄以上、欧州株2,000銘柄以上、外国ETFは約380銘柄というように、国内最多水準の11,000以上の取扱い銘柄を誇る証券会社です。米国株初心者にはハードルが高いかもしれませんが、ある程度経験を積んできた投資家にとっては、「幅広い選択肢から最適の投資行動をとれる」という意味において最良のパートナーになるでしょう。

また、サクソバンク証券は日本国内で唯一米国株式の配当金再投資(DRIP)を提供しているので、米国株式への長期投資を想定しているユーザーにおすすめです。

さらに取引ツールにも抜かりなく、専用アプリは50超のインジケーターを搭載、最新アルゴリズムがチャートパターンのテクニカル分析を実施してくれるので、投資予測だけではなく、新しい投資アイディアの発掘・リスク管理の視野が広がるでしょう。

以上の理由より、サクソバンク証券は米国株中上級者におすすめの証券会社と考えられます(もちろん、米国株初心者でも上昇志向が強く勉強熱心なら口座を開設して差支えありません)。

初心者が米国株に投資するときの注意点8つ

銘柄の成長可能性や株式市場の賑わいなど、米国株取引には日本株にはない魅力が存在します。

ただ、米国株初心者が投資を始めるときには以下8つの注意点を踏まえるのがポイントです。

  • 米国株のメリット・デメリット
  • 米国株と日本株の違い
  • 米国株個別銘柄と米国ETFの違い
  • 米国株取引とNISAの関係
  • 米国株以外の外国株取引について
  • 米国株取引で複数の証券会社を併用する意義
  • 米国株取引と税金・確定申告の関係
  • 米国株式市場について

かつて”投資後進国”の烙印を押された日本ですが、ようやく多くの人がさまざまな投資に興味を抱きはじめました。

だからこそ、”ブーム”という雰囲気に流されていい加減な投資をしないためにも、「投資にはリスクやデメリットがあるものだ」ということをしっかりと理解して、自分に適した投資行動をとることをおすすめします。

米国株取引にメリット・デメリットはありますか?

すべての金融商品にはメリット・デメリットが存在します。

米国株取引にも次のような特徴があるので、投資の判断の際の考慮要素としてお役立てください。

米国株取引のメリット
・1株から購入できるので少額資金で投資をスタートできる(世界的大企業にも投資可能)
・米国株市場全体が成長トレンドなので収益を見込みやすい
・四半期ごとに配当をもらえる銘柄が多い
・高配当銘柄が比較的多い
・為替差益による収益も目指せる
米国株取引のデメリット
・為替リスクで損をする可能性が否めない
・成長期待が高いとはいえ市場の将来的な動向は不明
・アメリカ現地時間は日本の深夜~早朝なので取引しにくい
・英語圏の経済事情について情報収集するのに労力がかかる
・外国税額控除制度を利用しないと二重課税の対象になる(回避するには確定申告必須)
・特定銘柄の株価が急変動すると「ストップ安・ストップ高」の仕組みで取引が制限される(サーキットブレーカー)
・米国株式市場に資金が流入するので日本国内市場の応援にはならない

切り口によってメリット・デメリットの表現方法は変わってきますが、米国株に投資するメリットは「少額投資から成長可能性の高い有名アメリカ企業に投資可能で、株主に対する高配当も期待しやすい」とまとめることができるでしょう。

もちろん、株主に対する還元率が高いということは企業の内部留保が少ないことを意味しており、そのため、米国株式市場全体の”経営基盤の脆弱性”を指摘する声も少なくはありません。

とはいえ、投資が盛んなアメリカ市場は日本経済よりも”元気”な状況なので、慢性的なチャートの横ばい・若干の下降傾向がつづく日本株式市場に辟易している投資家にとって、米国株への投資は魅力的に映るはずです。

二重課税の問題や取引時間帯などについてのデメリットはあるものの、許された時間・資金の範囲で、ぜひ米国株という選択肢を前向きにご検討ください。

米国株と日本株との違いは何ですか?

米国株と日本株はどちらも「株式」という共通点を有しますが、取引方法などに関して以下3点の違いがあります。

相違点 日本株 米国株
決済方法 日本円による売り買い 円貨決済or外貨決済(証券会社の規約による)
取引時間 9:00~11:30、12:30~15:00 現地時間の9:30~16:00
※日本時間の23:30~6:00
(サマータイム実施時:22:30~5:00)
取引単位 原則100株単位(1単元)~ 1株単位~

ここから分かるように、日本に所在しながら米国株投資を行う場合には、夜中~早朝に取引を行う必要があります。日中、仕事・家事・育児などに労力を割いている人にとって米国株取引はハードルが高いです。

ただ、米国株取引には日本株のような単元株制度が存在しないので、原則として1株から投資できるというメリットが挙げられます。つまり、日本株取引よりも少額資金で取り組みやすいので、米国株は「少額の自己資金しか用意できないが投資に興味がある」という人におすすめだといえるでしょう。

米国株個別銘柄と米国ETFとの違いは何ですか?

米国株個別銘柄とは「特定企業が発行している株式銘柄」のことです。これに対して、米国ETFとは「米国の証券取引所に上場している”投資信託”(米国上場投資信託)」のことを意味します。

つまり、米国株個別銘柄も米国ETFも「一般市場で自由に取引できる」という点で共通していますが、米国株個別銘柄が「株式」なのに対して、米国ETFは「投資信託」という点において違いがあると指摘できるでしょう。

なお、個別銘柄と投資信託の違いについての一般論は「個別株と投資信託どっちがいいの?メリット・デメリットとおすすめの投資方法を解説」で詳しく解説しているのでご一読ください。

米国株の個別銘柄に投資する意味

米国株の個別銘柄に投資するということは、投資家自身が「どの企業の株式を購入するか」を決める必要があるということです。

そして、個別銘柄の価値(株価)は、当該特定企業の業績・評判・業界における立ち位置などの事情で激しく上下するという特徴があります。

つまり、米国株の個別銘柄に投資をすると、損得の結果は完全に当該企業の動向に委ねられるということです。

したがって、米国株の個別銘柄に対する投資は(米国ETFとの比較においては)「ハイリスクハイリターン」な取引だといえるでしょう。業績好調な個別銘柄の企業に投資をすれば短期的に大きな利益を獲得できる反面、予期せぬ出来事で株価が暴落すると一瞬で大幅な損失を被りかねません(もちろん、株式投資では損失額が出資額以上になることはありません)。

米国ETFに投資する意味

先ほども紹介したように、米国ETFとは上場「投資信託」のことです。投資家がファンドに資金を提供して、集められた資金が何かしらのルールに基づいて運用され、得られた利益が投資家に還元されるという仕組みになっています。

米国株個別銘柄との大きな違いは、大部分の米国ETFはインデックス運用が実施されており、あらかじめ決められた指数(インデックス)に連動して運用成果が発揮されるという点です。

投資信託の運用方法は、インデックス運用アクティブ運用に大別されます。インデックス運用はあらかじめ採用した指数に連動するだけなのに対して、アクティブ運用は客観的な数値基準を超える成果を目指す運用方法です。インデックス運用の場合には指数がはっきりしているので値動きが読みやすいですが、その反面、アクティブ運用ほどの目覚ましい収益は得にくいという特徴があります。

つまり、米国ETFでは株式・債券・リートなどについてある程度幅のある「グループ」が投資対象に採用されるため、特定企業の業績等に運命を託す個別銘柄とは異なり、米国ETFでは実質的に少額分散投資と同様の効果が得られることになります。

このように、米国ETFに投資をすれば、個別銘柄取引が有するリスクへの対応策がとれるだけではなく、リアルタイムの市場取引が許されているという点で投資家に与えられる自由度が高いというメリットが得られます(一般投資信託は1日1回基準価額での取引が可能なだけです)。

今回紹介した証券会社では、米国株の個別銘柄だけではなく米国ETFも取扱いがあるので、幅広い選択肢から自分に合った投資対象を見つけましょう。

なお、米国ETFについては「米国ETFとは?投資するメリットやデメリット・手数料や税金なども解説」で詳しく紹介しています。どうぞご参照のうえ、投資活動にお役立てください。

NISA枠で米国株取引はできますか?

NISAの対象になる金融商品 ・株式投資信託
・国内株
・外国株
・国内ETF
・海外ETF
・ETN(上場投資証券)
・国内REIT(J-REIT)
・海外REIT
・新株予約権付社債(ワラント債)
NISAの対象にならない金融商品 ・非上場株式
・預貯金
・債券
・公社債投資信託
・MMF、MRF
・eワラント
・上場株価指数先物
・FX(外国為替証拠金取引)
・金、プラチナ など

米国株は「外国株」に分類されるのでNISAの対象です。

したがって、NISA枠で米国株取引を行えば、5年間、売却益・配当金・普通分配金などについて発生する税金が非課税扱いになります。

米国株以外の外国株も取引できますか?

日本に居ながら投資できる外国株は「米国株」だけではありません。証券会社ごとにさまざまな外国株が取扱い銘柄に挙げられているので、興味がある国や造詣の深い株式に積極的に投資することをおすすめします。

たとえば、米国株以外の人気外国株として、次のようなものが挙げられます。

中国株
テンセント・ホールディングス(騰訊控股有限公司/Tencent Holdings Ltd)シャオミ(小米集团/Xiaomi Corporation)ビーワイディー(比亜迪股份有限公司/BYD Company Limited)中国銀行(Bank of China Limited)アリババグループ(阿里巴巴集团控股有限公司/Alibaba Group Holding Limited)などを代表とする世界的大企業に投資できるのが魅力。短期的な値動きの変動幅が大きいため、短期的な投資スタイルで収益を狙う人におすすめ。日本株よりも高配当を期待できる。取引通貨は人民元・香港ドル。情報を入手する困難さがある点や中国政策が株式市場に影響を与える点に注意する必要がある。
シンガポール株
DBSグループ・ホールディングス(DBS Group Holdings Limited)シンガポール航空(Singapore Airlines)シンガポール・テレコム(Singapore Telecommunications Limited)などが人気のシンガポール株は、金融知識レベルや高度な経済成長率で注目を集めている外国株。決済手段はシンガポールドルで、日本と時差が1時間しかなく、日本時間の日中に相当、リアルタイムの取引をしやすい点で魅力的。ただし、日本株と同じように単元株制度が導入されているのである程度のまとまった資金を用意する必要がある。
タイ株
BTSグループ(BTS Group Holdings Public Company Limited)PTT公開株式会社(PTT Public Company Limited)などに投資できる。今後の成長に期待できる新興国なので、中長期的な投資志向が強い人におすすめ。原則100株単位での購入や年2回配当など、日本株取引との共通項が多い。

他にも、韓国株・ベトナム株・インドネシア株・マレーシア株など、日本株にはない魅力を有する外国株は多数存在します。個別銘柄からETFなどの多様性も見られるので、この機会にぜひ投資をご検討ください。

ロシア株については、昨今のウクライナ情勢の影響で、取引の停止・銘柄の制限・取引時間帯の制限など、不透明な状況となっています。リスクヘッジの観点からは手を出さないのがおすすめです。

米国株取引では利用する証券会社は1社だけですか?複数業者を利用してもよいですか?

1つの証券会社口座を開設するだけで投資家の目的・ニーズを満たせるのなら、わざわざ複数の証券業者を契約をする必要はありません。

とはいえ、投資生活を順調に過ごすことができると、次第に幅広い選択肢を求めるようになるものです。

米国株取引について複数証券会社で口座開設すると次のようなメリットが得られるので、視野を広げる余裕があるタイミングで口座開設をご検討ください。

  • 証券会社ごとの特長・取引ツールなどをフル活用できる
  • 実際に使うことで自分との相性が判明する
  • 取引手数料無料サービスなどのお得なキャンペーンを併用できる
  • IPOの当選率が高くなる
  • 契約自体は無料、口座維持費もかからないので、コスト面の心配はない

ただし、複数の証券口座を併用するデメリットが唯一生じる場面として、「A証券会社における取引がプラス、B証券会社における取引がマイナスの場合」、損益通算をして払い過ぎた源泉徴収分の還付を受けるためには確定申告が必要になるというケースが挙げられます。

投資で生じた損益と税金の問題は決して無視できるものではないので、詳しくは次項をご参照ください。

米国株取引と税金の関係とは?

米国株取引では、「株式の売却益に対する課税(譲渡益課税)」と「配当金への課税(配当課税)」が問題となります。それぞれ税率は次の通りです。

税率
譲渡益課税 20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)
配当金課税 源泉分離:30.315%(米国分10%+日本国内分20.315%)
申告分離:20.315%(日本国内分のみ)
総合課税:投資家本人の所得による

つまり、源泉徴収ありの特定口座を開設して当該口座内で米国株の取引を行った場合、配当金課税における源泉徴収で米国・日本の二重課税問題が生じることになります。源泉徴収されているために確定申告自体は任意ですが、このままでは二重課税状態を解消することができません。

そこで、米国・日本における二重課税を回避するために「外国税額控除」という制度が国内で用意されています。

外国税額控除制度とは、外国で徴収された課税額を日本国内の所得税・住民税から差し引く制度のことです。確定申告の際に明細書等を提出することによって国内課税額について還付を受けられます。

したがって、米国株取引などに手を出す場合には、基本的にすべての人が確定申告をした方が得になるということを覚えておきましょう。

外国税額控除や繰越の方法、確定申告の際の手続きについては「No.1240 外国税額控除(国税庁HP)」をご参照ください。

米国株式市場にはどのようなものがありますか?

日本に株式市場があるように、アメリカにも上場株式等の取引フィールドが用意されています。

米国の株式市場 ・ニューヨーク証券取引所(NYSE:New York Stock Exchange)
・ナスダック(NASDAQ:National Association of Securities Dealers Automated Quotations)
日本の株式市場 ・東京証券取引所(プライム・スタンダード・グロースの3区分)
・名古屋証券取引所(プレミア・メイン・ネクストの3区分)
・札幌証券取引所(本則市場とアンビシャスの2区分)
・福岡証券取引所(本則市場とQ-Boardの2区分)

元々は、ニューヨーク証券取引所は「ウォール街を拠点とする伝統的な金融の中心地」、ナスダックは「ITやテクノロジーという時代の隆盛を反映した新興企業の引き受け先」という位置付けでした。

ただ、現在では、Apple Inc.、Microsoft Corp.、Amazon.com Inc.、Alphabet Inc.、Tesla Inc.など、アメリカを代表する世界的な巨大企業の多くはナスダックに上場したままで、2つの証券取引所の境界線はかなり曖昧な状況です。

したがって、米国株取引では、個別銘柄が所属している取引所の区分にこだわる必要はないと考えられます。

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米国株取引の代表的なメリットとして、少額投資で1株から売買できること・アメリカ市場全体が成長トレンドにあること・四半期ごとに配当が得られることなどが挙げられます。流動性の低い日本株式市場と比較すると、「投資で資産を形成したい」という投資家の希望を叶えやすい点で魅力的です。

今回ご紹介したおすすめ証券会社で取引をスタートすれば、世界を代表するアメリカ企業への投資を切り口として全世界的な経済トレンドに習熟できるはずです。その結果、日本国内企業に投資をする際にも、当該企業の世界におけるポジションが分かりやすくなりますし、今までは気付きにくかった中小企業の新ビジネスに対してセンサーが張りめぐらされるでしょう。

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