日本経済に対する懸念増大や昨今の投資ブームを受けて、「米国株を買ってみたい」と考える人が増えています。
「外国への投資なんて、なんだか難しそう」と思われるかもしれませんが、米国株はかなりオーソドックスな金融商品のひとつです。日本国内株式への投資経験さえない初心者でも苦労なく取引できます。
そこで、今回は、米国株の買い方10ステップをわかりやすく解説します。あわせて、米国株取引における注意点、初心者におすすめの銘柄や取引方法、米国ETFという選択肢などについても紹介するので、最後までご一読ください。
米国株の買い方・売り方の流れ
まずは、米国株取引の一連の流れ(手元のお金が米国株取引を経て戻ってくるまでの流れ)について詳しく見ていきましょう。証券会社ごとに細かい名称・ルールは異なりますが、次のような買い方・売り方の流れで手続きを進めるのが一般的です。
- 1.米国株の取扱いがあるネット証券で口座を開設する
- 2.証券総合取引口座に入金する
- 3.外国株取引口座に資金振替する
- 4.購入したい米国株銘柄を検索して決める
- 5.購入資金のために日本円から米ドルに為替振替する(or円貨決済)
- 6.米国株の買い取引を行う
- 7.タイミングを見計らって売り取引を行う
- 8.米ドルから日本円に為替振替する
- 9.外国株取引口座から証券総合取引口座に資金振替する
- 10.証券総合取引口座から出金する
1.米国株の取扱いがあるネット証券で口座を開設する
まずは、米国株銘柄を取り扱っている証券会社に口座開設を申込みましょう。証券会社の口座開設手続きや口座維持費は無料です。
口座開設手続きでは、本人確認書類(運転免許証や各種健康保険証など)・マイナンバーの提出が求められるのが一般的です。証券会社によってはネット完結・最短1時間程度ですべての申込み手続きを完了できます。
2.証券総合取引口座に入金する
口座開設手続きが完了したら、証券総合取引口座に運用資金を入金しましょう。
ほとんどのネット証券は各種銀行から無料で即時入金できる環境を整えていますが、業者によっては銀行振込みなどの方法が指定されていたり、入金元によって手数料額が異なったりすることもあるので、できるだけ手数料を節約できる入金方法を選択するのがおすすめです。
3.外国株取引口座に資金振替する
つづいて、証券総合取引口座から米国株を買うための資金を外国株取引口座へ振り替えます。証券総合取引口座と外国株取引口座は同時に申込みできるのが一般的です。
米国株の売り買い用に使用・管理する外国株取引口座については、特定口座と一般口座のどちらかを選択する必要があります。
譲渡損益の口座内での通算と年間取引報告書 | 普通分配金の口座内での損益通算 | 確定申告 | ||
---|---|---|---|---|
特定口座 | 源泉徴収あり | 証券会社が作成(納税処理あり) | 証券会社が作成(納税処理あり) | しなくても良い(損益通算や損失繰越が必要なケースは必要) |
源泉徴収なし | 証券会社が作成(納税処理なし) | 自分で作成する | 自分で申告(証券会社作成の年間取引報告書を利用して簡便に) | |
一般口座 | 自分で作成する | 自分で作成する | 自分で申告 |
ここから分かるように、税金関係の処理を考えると、米国株初心者には源泉徴収ありの特定口座がおすすめです。なぜなら、米国株取引で獲得した収益について課される所得税・住民税・復興特別所得税自動で徴収されるからです。
ただし、投資初心者の人のなかには、「かなり少額で米国株取引をスタートしたい」と希望する人も少なくないでしょう。原則として給与所得以外の利益が20万円までなら課税されないため、源泉徴収ありの特定口座を選択することによって還付手続きの手間が増えるケースもあるため注意が必要です。
証券会社によっては、途中から米国株取引用の口座種別を変更できる業者もあるので、どの性質の口座を開設するかはケースバイケースでご判断ください。
4.購入したい米国株銘柄を検索して決める
米国株を買う準備が整ったら、実際に取引する銘柄を決める段階です。各証券会社の取引画面では、企業名やティッカーコード(ティッカーシンボル)の入力項目が用意されているので、買いたい株式銘柄を検索しましょう。
とはいえ、はじめて米国株を買うという人の多くは、銘柄の選択でかなり迷うはずです。マイナー銘柄を選択しても投資実感を得にくいので、次のような視点で購入する米国株銘柄をご決断ください。
- 「この会社は成長しそうだ」という予感のする企業
- 普段から使用している製品を販売している企業
- ネームバリュー・ブランド力のある有名大手企業
- 1株あたりの株価が安くて少額資金で購入できる企業
- 証券会社が独自発表している「おすすめランキング」などで上位に掲載されている企業
なお、米国株初心者の方のために、米国株の人気銘柄及びティッカーシンボルを紹介します。銘柄検索の際にお役立てください。
米国株銘柄名 | ティッカーシンボル |
---|---|
Tesla, Inc.(テスラ) | TSLA |
Apple Inc.(アップル) | AAPL |
Amazon.com, Inc.(アマゾン・ドット・コム) | AMZN |
The Boeing Company(ボーイング・カンパニー) | BA |
NVIDIA Corporation(エヌビディア・コーポレーション) | NVDA |
Mastercard Worldwide(マスターカード) | MA |
The Coca-Cola Company(コカ・コーラ) | KO |
Microsoft Corporation(マイクロソフト) | MSFT |
Archer Daniels Midland(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド) | ADM |
Biogen Inc.(バイオジェン) | BIIB |
Meta Platforms, Inc.(メタ・プラットフォームズ) | META |
The Walt Disney Company(ウォルト・ディズニー) | DIS |
Alphabet Inc.(アルファベット) | GOOGL/GOOG |
5.購入資金のために日本円から米ドルに為替振替する(or円貨決済)
初心者がよく忘れがちなポイントとして、「米国株は”米ドル”でしか購入できない」というルールが挙げられます。日本市場に上場している株式銘柄は日本円で、アメリカ市場に上場している銘柄は米ドルで、というのは当然の決まりごとです。
つまり、米国株を買うには米ドルを用意しなければいけないのですが、日本の証券会社を通して米国株取引を実施する場合には、「外貨決済・円貨決済」と呼ばれる2種類の方法から投資家自身が選択する必要があります。
円貨決済 | 外貨決済 | |
---|---|---|
概要 | 為替振替の手間をかけずに外国株取引口座の日本円からそのまま米国株を購入できる | 米国株を買う前に外国株取引口座の日本円を米ドルへ為替振替する |
米ドル準備の担当者 | 証券会社が代行してくれる | 投資家自身が米ドルを購入する |
為替手数料発生のタイミング | 米国株の購入時・売却時の2回 | 米ドルから日本円に外貨両替するとき1回 |
つまり、米国株を買うまでのステップを省略したいのなら「円貨決済」がおすすめ、米国株を買うときのコスト節約を重視するなら「外貨決済」が適していると考えられます。
証券会社によっては為替手数料無料キャンペーンなどを実施していたり、そもそも円貨決済に対応していなかったりなど、決済方法はさまざまです。自分の投資スタイルに適したサービスを提供している証券会社を見つけて、上手に米国株取引を進めましょう。
6.米国株の買い取引を行う
投資資金の準備が完了して購入希望銘柄が決定したら、いよいよ米国株の買い注文を出すステップです。
取引画面における注文入力フォームに必要事項(ティッカーシンボル・注文数量・注文種別・価格指定・有効期限など)を入力しましょう。
7.タイミングを見計らって売り取引を行う
米国株を買った後は、どこで売却するのが適切かを分析したうえで、納得できるタイミングで売り注文を出しましょう。
買った後、売る前に保有している状況のことを「ポジション(建玉)」と呼びます(米国株式信用取引の場合には、空売りの後、購入する前の状態のことを意味します)。
全体的には中長期成長トレンドにあると言われる米国株式市場ですが、個別銘柄ごとに見れば時に下げ相場に見舞われることも少なくないので、利益ばかりを追求せずに「損失を軽減する」という視点も忘れないようにしてください。
8.米ドルから日本円に為替振替する
米国株を売った後は、米国株取引口座に米ドル単位で売却額が入金されます。
売却代金を出金するには、まず米国株取引口座内で米ドルから日本円に為替振替をする必要があります。
9.外国株取引口座から証券総合取引口座に資金振替する
米国株取引口座内で日本円への両替が終われば、証券総合取引口座に出金希望額の日本円を資金振替します。
10.証券総合取引口座から出金する
証券総合取引口座に入金された日本円は、指定銀行に出金することができます。
ただし、米国株購入資金の入金段階と同じように、証券会社ごとに提携銀行や手数料などを定めているのが実情です。普段から使っている銀行と相性の良い証券会社を選ぶと一連の取引をスムーズに進められるでしょう。
米国株に投資するメリット・デメリット
それでは、米国株の買い方を理解したところで、なぜ今アメリカ市場への投資に目を向けるべきかについて考えていきましょう。
米国株に投資するメリット・デメリットという切り口でご説明します。
米国株を買うメリットは5つ
これは、アメリカ市場の代表的な指数である「ダウ平均株価」の長期的なトレンド推移を示したものです。明らかに成長トレンドにあることが分かります。
今、このような成長傾向の強い米国株を買うメリットは次の5点です。
- 米国株は1株単位で買うことができる(日本国内株は1単元100株単位でしか購入できない)
- 少額資金で投資の楽しさに触れられる
- 配当機会は年4回、1回あたりの配当額も高い(高配当銘柄も比較的多い)
- アメリカ市場全体が日本市場に比べて成長トレンドにある
- 為替差益による収益も期待できる
つまり、米国株は「少額から投資経験を積めるだけではなく、株主への還元意識の高さから配当にも期待できる」点が最大の魅力だといえるでしょう。
不安定な世界情勢にあっては、投資が盛んで基礎体力があるマーケットにこそ成長可能性を見出しやすいものです。アメリカという世界経済の中心圏への投資によって、大切な資産を上手に運用してください。
米国株を買うデメリットは7つ
このように、基本的には将来的な成長について蓋然性が認められるアメリカ経済市場ですが、米国株を買うことには次の7点のデメリットが存在することを忘れてはいけません。
- 日本円のままでは買えない(米ドルに交換する必要がある)
- 投資先の企業と馴染みが薄い(情報が入ってきにくい、投資への興味がわきにくい)
- 配当金還元が高い代わりに、株主優待制度が存在しない
- 日本株取引に比べてコストが高くなるリスクがある(為替手数料・取引手数料など)
- アメリカ市場における取引は日本時間の深夜~早朝(仕事や家事が忙しいとリアルタイム取引できない)
- 確定申告や外国税額控除などの手続きが面倒(手間をかけないと二重課税の負担を強いられる)
- 「米国株を買うこと」と「アメリカ市場に日本円が流出すること」は同義なので、間接的に日本マーケットの活動阻害要因になり得る
米国株だけに当てはまることではありませんが、外国株に投資をするということは、そのマーケットにおける風土・文化・ルール・制度に従わざるを得ないということです。日本に居ながら日本株式に投資するよりもさまざまなハードルをクリアしなければいけないのは当然のことでしょう。
したがって、米国株を買って資産形成を目指すのなら、円滑な取引を実現するために、投資市場の動向だけではなく、さまざまな取引ルールなどについても学ぶ姿勢が大切だと考えられます。米国株の取引上の注意点については「VTIとVOOはどっちがおすすめの米国ETF?上場投資信託の特徴やリスク分散のメリットを解説」でも詳しく解説しているのでご参照ください。
米国株を買うときに気になるQ&A
さいごに、これから米国株の購入を検討している投資初心者からよく寄せられる疑問をQ&A形式で紹介します。
- 米国株投資初心者におすすめの買い方
- 米国株取引と英語力の相関関係
- 米国株投資に必要な自己資金
- 投資初心者が忘れてはいけない米国株投資の注意事項
- 米国株を買うときのおすすめ証券会社
- 投資初心者にとっての個別銘柄と米国ETFの優劣
米国株初心者におすすめの買い方はありますか?
米国株初心者が取引を開始するときには次の5つのポイントを意識するのがおすすめです。
日本国内株式投資との比較において、「米国株は稼ぎやすい」「米国株は短期間での株価高騰が期待できる」と言われることが少なくありません。
確かに、日本に比べて投資が盛んで市場規模も大きいため、米国株取引なら短期間で巨額の収益を獲得できる可能性は低くないでしょう。実際、SNSなどをチェックすると、数千万~数億円の増益に成功したという投資家も多く見られます。
とはいえ、株式相場の変動は流動的で画一的なルール性を有するものではないので、誰でもいきなり成功できるはずがありません。万が一、最初の取引でいきなり高額な収益を獲得できたとしても、それはただ「ギャンブルに勝っただけ」です。
したがって、米国株初心者が意識するべきなのは、「中長期的に取引を継続して可能な限り収益を得るための知識・経験・ノウハウを得ること」だと考えられます。「短期間で高額を稼ぐ」ではなく、「時間をかけて自分の資産を少しずつ拡大する」という正攻法で投資生活を送りましょう。
米国株取引は英語力があった方が有利ですか?
まず、「米国株取引は英語力がある方が有利」という事実を押さえておきましょう。
なぜなら、あくまでも米国株は英語圏であるアメリカを中心に取引されるものなので、英語による情報源がはるかに多く、また、英語ソースのニュースの方が拡散スピードが速いからです。また、アメリカ株式市場に上場している株式銘柄のなかには、英語版の公式HPしか用意していない企業も少なくないという点も理由として挙げられます。
米国株取引を少しでも有利に進める4つのコツ
- 株式市場や個別銘柄の株価に影響し得る情報には「できるだけ速く」触れる
- 過去データや最新の情報には「できるだけたくさん」触れる
- 収集して重要視するソースは「できるだけ信頼性の高いもの」を選ぶ
- 英語圏由来の情報だからこそ「的確かつ迅速なファクトチェック能力」を習得する
米国株投資のために英語を勉強するのはありですか?
米国株投資のために英語を勉強すること自体は間違いではありません。なぜなら、先ほどお伝えしたように、英語力があった方が「情報」という投資にとって不可欠の要素をピックアップしやすいからです。
とはいえ、「米国株取引をスタートする前に充分な英語力を獲得しなければいけない」「学校で英語の成績が悪かったから、米国株取引のために単語帳や文法書を購入しよう」などのような偏った考え方に至るべきでもないでしょう。というのも、後述するように、高度な情報化社会のおかげで、今では日本に居ながら英語力がない投資初心者でも満足に米国株取引ができる環境が整っているからです。
したがって、米国株取引のために嫌な思いをしてまで英語の勉強をする必要はないと考えられます。「せっかく外国株投資をするのだからついでに英語も勉強してみよう」「仕事や旅行で役立ちそうだから米国株投資をきっかけに英語に触れてみよう」など、軽い気持ちで英語に触れるだけで充分です。
日本語だけで納得のいく米国株取引をするコツ
それでは、英語を勉強する時間がない人や英語が苦手な人がスムーズに米国株取引関連の情報収集をするポイントを紹介します。
- 1.証券会社から配信される情報をチェックする
- 証券会社はそれぞれ独自のニュース配信を実施していることが多い。客観的なニュース配信だけではなく、経済関係の専門家やベテラン投資家の意見などにも触れられるので、常時チェックしたい情報を発信している証券会社を選ぶのがおすすめ。したがって、1社だけで口座開設をするのではなく、米国株取引に力を入れている複数業者を併用することが推奨される。
- 2.米国株情報収集に役立つサイトを活用する
- 米国株式市場の動向などについて専門的な情報を発信しているWebサイトが多数存在する。たとえば、以下の厳選サイトなら日本語や日本語字幕で最新の米国株式情報をチェック可能。
・Bloomberg(ブルームバーグ)
・Investing.com
・THE WALL STREET JOURNAL(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
・finviz(FINANCIAL VISUALIZATIONS)
・REUTERS(ロイター) - 3.SNSや動画配信サイトで情報収集する
- TwitterやYouTubeを閲覧すると、米国株取引についてのコンテンツが溢れている。有名投資家やニュースサイトの公式アカウントなどをチェックすれば最新のトレンドを把握しやすい。ただし、投資詐欺などに騙される可能性もゼロではないので、情報ソースの確度に対して慎重であるべき。
- 4.米国株投資の場面でよく目にする英単語程度は記憶する
- 日本語サイトだけの情報で満足できないという人は、一定範囲で英語圏のニュースサイト・取引コンテンツを参照するのがおすすめ。そのとき、米国株投資系の情報を理解しやすくするために、よく使われる英単語程度は知っておこう。たとえば、次のようなフレーズ・英単語は米国株取引では必須のターム。
・stock/share(株式)
・bond(債券)
・investment trust(投資信託)
・commodity(商品)
・futures(先物取引)
・revenue(売上)
・expense(費用)
・profit(利益)
・dividend(配当金)
・outperform/underperform(~よりパフォーマンスが優れている/劣っている)
米国株は何株買うのがおすすめですか?アメリカ株を1株だけ買うメリットは何ですか?
日本株とは異なり、米国株は1株単位~購入できます(日本株は単元株制度が採用されているため、多くの銘柄で最低購入数「1単元=100株式」が採用されています)。
つまり、米国株は1株式分の資金さえ用意すれば取引できるので、「少額資金で外国株に挑戦したい」という人におすすめです。
そして、投下資本を少額に抑えられるということは、株価下落時の損失額を軽減する効果を期待できます。特に、「アメリカ株式市場は日本株式市場よりも株価の上昇・下落が激しい」ですし、「取引時間が深夜~早朝なので、寝ている間に保有ポジションが大幅含み損に至る」というリスクを孕むものです。
したがって、米国株には「低予算・低リスクでアメリカ市場取引を経験できる」というメリットがあるといえるでしょう。
少ない資金で大手米国企業の株式を保有できる
このように、米国株取引をするメリットとして「1株単位で株主になれる」という点が挙げられますが、これは同時に、「1株から世界を代表するアメリカの巨大企業に出資できる」ということを意味します。
たとえば、日本を代表する企業に”トヨタ自動車”がありますが、株価は1,994.5円、最低取引単位100株なので、トヨタ自動車に投資をするには約20万円の自己資金が必要です。また、UNIQLOを運営する”ファーストリテイリング”は株価78,060.0円、最低取引単位100株であることから、ファーストリテイリングの株主になるには約800万円の初期投資が求められます(参考株価は2022年10月4日時点のもの)。
つまり、「世界で活躍する日本企業に投資したい」と希望しても、最低でも数十万円、場合によっては数百万円の余裕がなければ株式投資できないというのが実情です。
これに対して、以下で紹介するように、アメリカ市場に上場している巨大企業の銘柄なら、人によってはお小遣いの範囲から購入できます。少額投資で世界的な企業の株主になれますし、何より投資が楽しく身近な存在に思えるようになるので、投資初心者こそ米国株取引がおすすめだといえるでしょう。
Apple Inc.(AAPL/アップル) | 142.4500米ドル |
---|---|
Microsoft Corp.(MSFT/マイクロソフト) | 240.7400米ドル |
Alphabet Inc.(GOOGL/アルファベット クラスA) | 98.6400米ドル |
Amazon.com Inc.(AMZN/アマゾン・ドット・コム) | 115.8800米ドル |
Tesla Inc.(TSLA/テスラ) | 242.4000米ドル |
米国株初心者がアメリカ株を買うときの注意点はありますか?
数ある外国株のなかでも、米国株は初心者が手を出しやすい金融商品のひとつですが、投資である以上、最低限の慎重さが求められます。
米国株初心者がアメリカ株を売り買いするときの注意点は次の2点です。
- 逆指値注文できる証券会社で口座開設する
- 初心者段階では米国株信用取引には手を出さない
米国株初心者は売り買いの注文方法から吟味しよう
米国株を実際に売り買いするときには「注文方法」がポイントになります。というのも、米国株取引の手法にはさまざまな注文方法が存在し、それぞれにメリット・デメリット・投資初心者への適性などが異なるからです。
特に、日本国内株式とは異なり、証券会社によっては注文方法が大幅に制限されている点も注意点として挙げられるでしょう。
- 指値注文
- 指値注文とは、米国株を売り買いするときに価格を指定する注文方法のこと。指定した金額よりも不利な条件で約定することはない(指定価格よりも高額な買い約定、指定価格よりも低額な売り約定)。
- 成行注文
- 成行注文とは、米国株を売り買いするときに価格を指定しない注文方法のこと。指値注文よりも優先的に取引が成立するため、確実に売り買いしたいときや約定までのスピードを重視するときにおすすめ。ただし、値幅制限がない米国株式市場では、想定外の価格で約定するリスクがある。
- 逆指値注文
- 逆指値注文とは、米国株を売り買いするときに価格を指定する注文方法のうち、不利な条件(トリガー条件)を事前に設定する方式のこと(指定価格よりも高額な買い約定、指定価格より低額な売り約定)。含み損の拡大を防ぐための手段として有効。
- トレールストップ注文
- トレールストップ注文とは、米国株チャートの上昇幅・下降幅に合わせて、事前に設定したトリガー条件が自動で修正される注文方法のこと。ポジション保有の判断に相場トレンドを自動で組み込める点にメリットがある。
- 条件付き注文
- 条件付き注文とは、2種類の注文方法を同時に出す方法のこと。組み合わせの内容によって、連続注文・OCO注文・OFD注文・IFO注文などに分類される(証券会社によって名称が異なる)。
まず、米国株初心者は、指値注文・成行注文を中心に取引をスタートするのがおすすめです。たとえば、指値注文なら「約定価格が想像と乖離して困る」という事態を回避できますし、成行注文ならチャートを見ながらすぐに売り買いを簡潔できるため、非常にわかりやすく米国株取引に馴染めるでしょう。
そして、取引に慣れてきた段階で逆指値注文を取り入れて「ポジションを一定期間保有すること」に挑戦するというのが一般的な流れです。これによって、米国株を一定期間保有して資産形成を目指すことと、万が一の相場変動に備えてリスクヘッジすることが実現します。
米国株だけに限らず、投資全般において当てはまることですが、常にリターンとリスクの両面を意識するのがポイントです。単純な売り買いだけではリターン・リスク両方の可能性を増大させてしまうので、逆指値注文などのテクニカルな方法を併用しながらリスク軽減策をとるのが賢い投資スタイルでしょう。
証券会社によっては指値注文・成行注文しか用意していない場合があるので、米国株投資の知識がついて次のステップを目指すのなら、逆指値注文などの上級者用の注文方法に対応している業者で取引することをおすすめします。
投資初心者なら米国株式信用取引は見送るのがベター
近年の投資ブームに拍車をかけている要因として、2022年7月に解禁された米国株式の信用取引が挙げられます。このタイミングに合わせて、マネックス証券・SBI証券・楽天証券などの大手ネット証券会社が米国株信用取引の取扱いをスタートし、銘柄数も順次拡大中です。
信用取引とは、投資家が証券会社に委託保証金(現金や金融商品等)を提供する代わりに差し入れた担保額以上の資金を借り入れて株式等の売り買いを行う投資手法のことです。信用取引には以下のようなメリット・デメリットが存在しますが、米国株初心者の段階ではデメリットを回避できない可能性が高いのでおすすめできません。
- 米国株式信用取引のメリット
- ・レバレッジ制度を利用して自己資金以上の米国株取引が可能(少額投資で高額リターンを目指しやすい)
・信用売り(空売り)すれば相場の下落トレンドでも収益を目指せる - 米国株式信用取引のデメリット
- ・レバレッジが原因で少額投資なのに高額損失を強いられるリスクがある
・米国株式には値幅制限(ストップ高・ストップ安)がないので含み損の急拡大リスクがある(一部、サーキットブレーカー制度あり)
「堅実に取引をすれば米国株式の信用取引も安全」と言われますが、本質はハイリスク・ハイリターンであることは間違いありません。つまり、リスクを回避するノウハウをもたない米国株初心者には危険だということです。
したがって、米国株取引を始めたばかりの段階では信用取引には手を出さないことをおすすめします。また、少し慣れて米国株式信用取引にチャレンジする場合でも、余剰資金での投資・損切りラインの徹底を心掛けましょう。
なお、信用取引の特徴である空売りが成果を発揮する”下げ相場”については「上げ相場と下げ相場とは?相場の判断基準から利益を出す方法まで解説」で詳しく解説しています。将来的に米国株式の信用取引に手を出すときのためにご参照ください。
米国株取引のおすすめ証券会社はどこですか?
米国株を売ったり買ったりするには証券会社で口座開設する必要がありますが、おすすめ証券会社は投資家それぞれの取引スタイルや考え方次第で変わってきます。
たとえば、「米国株の取扱い銘柄数が多い証券会社が良い」と考えるなら、SBI証券・サクソバンク証券がおすすめです。
また、注文方法の多様性に注目するのなら、マネックス証券で口座開設するのが適切でしょう。
さらに、株取引でポイント還元を期待するなら楽天証券、充実した米国株市場情報を期待するならauカブコム証券、1,000円単位の少額投資からスタートしたいならPayPay証券というように、各証券会社がそれぞれ独自の強みをアピールしています。
もちろん、米国株取引を行う証券会社を1社だけに限定する必要はありません。たとえば、「ニュースサイトはA社、分析ツールはB社、実際に取引するのはC社」というような使い分けは禁止されていませんし、実際に多くのトレーダーが複数業者を併用して効果的な投資生活を送っています。
したがって、まずは1社気になる証券会社で口座を開設してデモトレードなどで経験を積み、自分の投資スタイルの方向性が固まってきた段階で他業者の使い勝手や魅力を咀嚼反駁、最終的に自分と相性の良い証券会社を厳選していくのがおすすめの流れです。
なお、米国株取引におすすめの証券会社については「米国株取引のおすすめ証券会社8選!選び方のポイントや投資時の注意点も解説」で紹介しています。あわせて、口座開設するべき証券会社の比較ポイントも解説しているので、あわせてご参照ください。
投資初心者でも米国ETFを取引できますか?
米国株初心者のなかには、「米国株を買ってみたいが銘柄の選び方が分からない」という悩みを抱える人が少なくありません。せっかく投資に興味があるのに実践できないことほどもったいないことはないでしょう。
「米国株の個別銘柄を選ぶのが難しい、不安だ」という人におすすめの金融商品として”米国ETF”というものが挙げられます。ETFとは上場投資信託のことで、米国ETFはアメリカ市場におけるさまざまな連動指数等によって価格が変動するのが特徴です。
アメリカ株式の個別銘柄と米国ETFの違いは次の通りです。「個別銘柄投資が基本、ETFは上級者用」というのは単なる誤解でしかなく、むしろ、初心者こそ米国ETFを通しての投資経験でアメリカ市場全体を見通す視野を養うべきともいえるので、ご興味の方はぜひ投資をご検討ください。
- 米国個別株式の特徴
- ・特定企業に投資することによって株主(オーナー)になれる
・企業の業績や評判などによって株価が上下する(分散投資のETFに比べて下落リスクが高い) - 米国ETFの特徴
- ・特定企業ではなくファンドに投資する
・特定のインデックスなどに連動して資産価値が変動する
・実質的には投資対象企業に分散投資するのと同義なのでリスクヘッジとしての機能性が高い(個別銘柄と比較すると短期間での高収益は目指しにくい)
・リスクが少なく成長トレンドなので長期保有に適している(あくまでも現段階の状況)
・一般投資信託とは異なり上場しているのでリアルタイムでの取引が可能
・一般投資信託よりも低コストで投資できる
なお、個別株と投資信託の違いについては「個別株と投資信託どっちがいいの?メリット・デメリットとおすすめの投資方法を解説」でも詳しく解説しています。アメリカ市場の投資対象でお悩みの初心者はぜひご参照ください。
米国株式の買い方は簡単!興味がある銘柄に投資しよう
証券会社における口座開設手続きにはじまり、銘柄検索・売り注文・買い注文・為替両替など、米国株取引はいくつものステップを踏まなければいけないものの、実はそこまで難しいものではないということをご理解いただけたと思います。
効率的な取引・確度の高い投資判断・非情な損切りラインの設定など、中級者・上級者としての道を歩むなら絶えずアメリカ市場投資についての勉強・経験は欠かせませんが、初心者でも自分の身の丈に合った投資スタイルを確立できるのが米国株取引の魅力です。
投資は常にチャンスが転がっていますし、取引開始時期が遅れるほど習得できる経験値が少なくなってしまいます。口座開設手続きなどはネットですぐに完了できるので、ぜひご興味を抱かれたこのタイミングで投資生活をスタートしてください。