2019年に老後2000万円問題という言葉が話題になり、投資をしたほうがいいかもしれないと考える人も増えてきたのではないでしょうか。
国も「貯蓄から投資へ」のスローガンを掲げ、国民の投資へのシフトを後押ししています。
あなたが今まで投資をしたことがなければ、「株を買うのにはまとまったお金が必要そう」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
株式への投資は少額からでも可能です。
この記事では少額からでも可能な投資方法や、実際に有名企業の株を買うにはどれくらいお金が必要かなど、これから投資を始める方に向けてわかりやすく解説します。
「投資をしたいけど、どれに投資をしていいかわからない」という方は是非参考にしてください。
- 単元未満株を購入すれば、投資資金は1000円前後から
- 投資信託やETFなら少額からでも投資が可能
- 米国株なら1株からでも購入できる
いくらから始める?投資方針別のおすすめ投資方法
投資は原則として、「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」です。
株式への投資は少額からでも可能ですが、まずはあなたがどのような投資方針にしたいのかを十分検討してから投資を開始しましょう。
投資初心者は少額投資から始めることをおすすめします。
投資額やリスクに応じた投資商品にはこのようなものがあります。
・単元未満株
・投資信託・ETF
【リスクをとってもリターンは大きく、株主優待にも興味あり】
・個別株
単元未満株
日本国内の株式は100株を1単位(単元)として購入しますが、単元未満株は1株から購入できる株式です。
単元未満株は、証券会社によって名称が異なります。この記事の最後でも単元未満株取引におすすめの証券会社を紹介します。
- S株:SBI証券、ネオモバ
- いちかぶ:LINE証券
- ワン株:マネックス証券
単元未満株の最大のメリットは、少ない資金で個別企業に投資ができることです。
例えば、ユニクロで有名なファーストリテイリング(9983)は、2022年6月15日現在では株価が60,000円を超えています。
通常は100株単位(1単元)の購入となるため、600万円以上の資金が必要ですが、単元未満株で購入すれば、10万円以下の資金で購入することが可能です。
ただし、単元未満株の購入には以下のようなデメリットもあります。
- 銘柄が限られる
- 手数料などのコストが割高になる
投資信託・ETF
投資信託は、運用の専門家が株式や債券など様々な商品の運用を行い、利益を投資家に分配する金融商品です。
ETFは上場投資信託と呼ばれています。一般的な投資信託との違いはその名の通り上場しているかしていないかで、ETFは証券取引所を通じて取引されるため、株式と同じような注文が可能です。
投資信託・ETFには、日経平均やNYダウのような指数(インデックス)に連動することを目指す「パッシブ運用」と、パッシブ運用を上回る成果を目指す「アクティブ運用」があります。
「アクティブ運用」の商品よりも専門家が投資戦略を考えたりや銘柄選定をする時間がかからないため、「パッシブ運用」の商品は信託報酬などのコストが低くなります。
投資信託やETFは保有しているだけで運用コストがかかるため、高い成果を上げる商品を選ぶことと同時に、運用コストが低い商品を選ぶことが重要です。
1つの商品で分散投資が可能
投資信託やETFは1つの商品の中に複数の銘柄が運用されているので、手軽に分散投資ができます。
例えば「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」という投資信託商品は、日経平均の値動きに連動します。
商品 | 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim国内株式(日経平均) |
基準価額 | 12,138円 |
純資産 | 21,093百万円 |
信託報酬(税込み/年) | 0.154%以内 |
信託財産留保額 | なし |
※2022年6月16日現在
日経平均は日本の代表的な225社で構成される為、この投資信託を購入すると、日経平均の225社に分散投資をすることと同じ効果があります。
国内市場で米国インデックス商品の購入も可能
米国のGAFAなどを筆頭に、近年米国経済が大きく成長したこともあり、米国株へ投資する投資家が増えてきました。
そのため、「これから米国株に投資したい」と考えている人も多いかもしれません。
投資信託を利用すれば、国内市場で米国インデックスに連動する商品に投資することも可能です。
国内市場で米国インデックスに連動する投資信託購入するメリットはこの3点です。
- 大きな成長が期待できる米国経済へ投資ができる
- 配当の二重課税を気にしなくてよい
- つみたてNISAが利用できる商品もある
大きな成長が期待できる米国経済へ投資ができる
「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はS&P500という米国で人気のインデックスに連動する投資信託です。
商品 | 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500) |
基準価額 | 17,677円 |
純資産 | 1,189,873百万円 |
信託報酬(税込み/年) | 0.0968%以内 |
信託財産留保額 | なし |
※2022年6月16日現在
S&P500指数はニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場および登録されている米国の代表的な企業約500銘柄から計算されており、米国市場の約80%の時価総額を占めています。

(TradingView作成)
上のチャートはS&P500指数の2021年からの推移です。
2022年以降はロシア問題や米国政策金利上昇の影響により下落基調ですが、過去10年でみても指数が3倍程度になっており、米国経済がほぼ右肩上がりで成長していることがわかります。
このほかにも、米国の主要なインデックスに連動している商品が国内市場でも購入可能です。
配当の二重課税を気にしなくてよい
米国株や米国ETFを取引すると分配金がもらえる銘柄が多く、それを目的に投資をしている人もいるかもしれません。
ただし、米国株の配当は米国と日本の両方で課税されるという二重課税の問題があります。確定申告をすることで外国税控除を受けることができますが、初心者にはハードルが高いですね。
国内市場で米国インデックス商品へ投資すればこのような手間がかからないこともメリットです。
つみたてNISAが利用できる商品もある
米国インデックスに連動している商品でもつみたてNISAを利用できる商品があります。上で紹介した「三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」もその1つです。
つみたてNISAを利用すれば、米国経済が今後も成長して大きな利益が出たときも値上がり益が非課税になるメリットが生かせます。
米国ETFは国内ETFより経費率が低め
もちろん、米国市場で米国ETFを購入するメリットもあります。
米国ETFは国内で購入できるETFに比べ、経費率が低く運用コストを抑えることができます。
下はS&P500に連動している米国ETF「バンガード S&P 500 ETF(VOO)」の情報です。
商品 | バンガード S&P 500 ETF(VOO) |
基準価額(米ドル) | 344.51 (2022/06/13) |
純資産総額(百万米ドル) | 260,775.52 (2022/05/31) |
経費率 | 0.03% |
分配利回り | 1.61% |
※2022年6月16日現在
国内ETFでS&P500インデックスのETFに投資をすると、0.06%程度の経費率がかかります。VOOは経費率が0.03%なので経費率は半分です。
もちろん、米国ETFを購入するにはドルの調達コストなどもかかるため、この経費率だけを単純に比較することはできませんが、米国ETFの経費率の低さは魅力的です。
個別株
個別株のメリットは、分散投資をする投資信託よりも大きなリターンを狙うことができることです。
また、国内銘柄では「株主優待」を実施している企業もあり、自社の優待券やQUOカードなどの特典をもらうことができます。(株主優待は日本独自の文化なので米国株にはありません)
個別株に関しては日本と米国で扱いが違う部分もあるので、いくらから購入ができるのかなどを解説します。
米国株は日本株とは売買単位が違う
日本と米国では購入できる株数が違います。
日本株は100株を1単位(1単元)とするため、株価が1万円だとすると、100万円の資金が必要です。一方、米国株は1株から購入が可能なので株価通りの値段で購入することができます。
有名企業の株はいくらで購入できる?
それでは、実際に有名な企業の株はいくらで購入できるのか確認してみましょう。
※下で紹介している購入可能価格は取引手数料や為替手数料を考慮していません。
国内株
①トヨタ自動車(7203)
トヨタ自動車は、言わずと知れた国内時価総額最大の世界的企業です。
4輪世界首位で、国内シェアは3割以上、直近でも経営は好調で今後も成長が期待できます。
ただし、発行済み株式数が多く、2倍、3倍の株価になることは難しいと考えられます。
株価 | 2080円(6/15) |
発行済み株式数 | 16,314,987千株(1/31) |
予想配当利回り | 2.24% |
購入可能価格 | 208,000円 |

(TradingView作成)
②オリエンタルランド(4661)
オリエンタルランドは「東京ディズニーランド・シー」を運営しています。
直近は新型コロナウイルスなどで厳しい経営が続きましたが、数字も回復しつつあります。それに伴い株価も上がってきていますが、現在は株価ほどには業績が戻っていないので、期待先行で株が買われている側面があります。
株主優待でディズニーランド、またはディズニーシーのワンデーパスポートがもらえます。(保有株式数によりもらえる枚数が違いますが、株主優待をもらうには最低でも180万円程度の資金が必要です)
株価 | 18,085円(6/15) |
発行済み株式数 | 363,690千株(1/31) |
予想配当利回り | 0.12% |
購入可能価格 | 1,808,500円 |

(TradingView作成)
海外株
①アップル(AAPL)
アップルはスマートフォン(iPhone)などで有名な企業です。純売上高全体のおよそ40%を米州が占めますが、残りは海外や他のさまざまな地域で生み出されています。
株価(米ドル) | 135.430(6/15) |
予想配当利回り | 0.7% |
購入可能価格 | 約17,000円(1ドル=130円で換算) |
下のチャートは、アップル(青線)と上で説明したS&P500指標(オレンジ線)の過去10年の比較です。
オレンジ線のS&P500でも約3倍の上昇率ですが、アップルは10倍近い上昇をしており、個別株のリターンの高さを感じます。
ただし、2022年以降を見てもわかる通り、下落幅も大きくなるため十分注意が必要です。

(TradingView作成)
②テスラ(TSLA)
テスラは電気自動車の開発や製造の会社ですが、CEOのイーロンマスク氏のほうが有名かもしれません。
ビットコインやTwitter、リモートワークへの発言など、様々な内容が取り上げられ、市場への影響も非常に大きいものがあります。
株価(米ドル) | 699.000(6/15) |
予想配当利回り | ー |
購入可能価格 | 約90,000円(1ドル=130円で換算) |
下のチャートを見てわかる通り、テスラは2020年~2021年だけで株価が10倍になっています。
ただし、上昇と下落の幅が非常に大きいため、投資初心者が手を出すのは難しい銘柄です。

(TradingView作成)
少額投資のメリット・デメリット
投資初心者は少額から投資をするのがオススメとお伝えしましたが、少額投資にもデメリットはあります。少額投資のメリットもデメリットも理解した上で投資を開始したいですね。
少額投資のメリット
投資が不安という人の多くは、「実際にやったことがない」からそう感じるのでしょう。少額で投資を始めることで投資に対する不安や疑問を解消できます。
手軽に始められる
手軽に投資を開始できるのは、少額投資の大きなメリットです。
「LINE証券」や「ネオモバ」のように、少額投資を推している証券会社はスマホアプリでの取引がしやすいことも多く、取引ツールの取引のしやすさとしても手軽に投資が可能です。
始めは少額でいろんな投資を試して、自分にあった投資商品や投資方法を探すのがよいでしょう。
分散投資がしやすく、リスクが小さい
少額で投資をするということは、損失がでても小さいということです。
さらに、投資先を様々な商品に分散すればリスクの分散にもなります。
NISAやiDeCoなどの優遇制度を利用すればさらにお得
NISAやつみたてNISA、iDeCoは国が整備している投資に便利な制度で、値上がりした時の利益が非課税になったり、所得控除ができたりするメリットがあります。
利益が非課税になるメリットは、「少額投資は利益が小さい」というデメリットを小さくしてくれます。
特につみたてNISAは長期投資に適している商品が対象になるので、コツコツ投資したい初心者の方にはおすすめです。
少額投資のデメリット
少額投資はメリットだけでなくデメリットもあるので理解しておきましょう。
利益も小さくなる
投資資金が小さいということは、それだけ利益も小さくなります。
仮に100万円投資した企業の株価が2倍になったら利益も100万円ですが、1万円の投資であれば2万円にしかなりません。
メリットでも解説したように、NISAのような制度を使うことで利益を少し増やすことはできますが(非課税になるので税金が引かれない)、大きなリターンを狙うのは難しいです。
コストが高くなると利益を圧迫する
投資資金が少ないと、投資資金に対する手数料などのコストの割合が大きくなります。
手数料は取引ごとに発生することが多いため、少額取引を何度も繰り返すとそれだけコストも大きくなります。
少額取引では利益も小さいため、頻繁に取引を繰り返して利益が出ているように感じても、それほど儲けていないということもよくあります。
これから取引をするなら?少額投資にもおすすめの証券会社
ここまで投資商品や少額投資について説明しましたが、実際に投資をするには証券会社に口座を開設しないといけません。
ただ、投資初心者の方はどこの証券会社を選べばよいか迷いますよね。
そこでこれから口座開設するのにおすすめの証券会社を紹介します。証券会社ごとに特徴が違いますので、自分の投資スタイルにあった証券会社を利用してください。
SBI証券
SBI証券は口座開設数も多く、総合的なサービス力に優れています。
最初は少額から投資したいけど、今後は個別株や米国株にも挑戦したいという人に向いています。
また、難しいことはわからないからとりあえず安心できる証券会社にしたいという人も、SBI証券を選んでおけば間違いありません。
米国ETFの購入に関して、「住信SBIネット銀行」との連携で外貨決済での米国ETF定期積立が完全に自動化できるようになりました。
外貨決済での米国資産購入は、円貨決済での購入よりも若干コストを抑えることができるためお得です。
国内株式手数料 | 【スタンダードプラン】最低55円~ 【アクティブプラン】1日約定代金100万円まで0円 |
つみたてNISA取扱数 | 183件 |
米国株取扱数 | 6,000銘柄超 |
米国株情報 | 米ドル定期自動入金やETF定期買付サービスあり |
単元未満株(S株) | 買付:実質無料(0円) 売却:0.55%(最低55円) |
公式サイト | SBI証券 |
※2022年6月16日現在
マネックス証券

出典:マネックス証券
マネックス証券もSBI証券と同様に総合的なサービスにすぐれた証券会社です。
国内株式手数料の定額コースで0円がないところが残念な部分です。
ただし、米国株への投資に優れています。2022年6月現在、米国株の買付時為替手数料が無料となっており、指定の9銘柄のETFは買付時売買手数料も無料です。
そして、マネックス証券の最大のメリットといってもよいのが、「銘柄スカウター」という分析ツールを利用できることです。
銘柄スカウターは過去10年分の財務状況などを簡単にチェックでき、理論株価なども確認できるので、分析が苦手な人にもおすすめです。
国内株式手数料 | 【取引ごとコース】最低55円~ 【1日定額コース】1日約定代金100万円まで550円 |
つみたてNISA取扱数 | 152件 |
米国株取扱数 | 5,000銘柄超 |
米国株情報 | 買付時為替手数料無料、米国版銘柄スカウター など |
単元未満株(ワン株) | 買付:無料(0円) 売却:0.55%(最低52円) |
公式サイト | マネックス証券 |
※2022年6月16日現在
LINE証券

出典:LINE証券
LINE証券は、SBI証券やマネックス証券と異なり、スマホ取引に特化しています。
難しいことはいいからスマホでサクサク取引したい、という人にとってはおすすめです。
また、LINE証券は様々なキャンペーンを行っています。例えば決算ナイトセールでは、決算発表後に当日の終値で株を購入できるので、うまく利用することでお得に取引できます。
LINE証券のいちかぶ(単元未満株)はコストが少し特殊です。
取引手数料は無料ですが、スプレッド方式をとっており、グループと取引時間によりコストが変わってきます。夜間帯で取引したら高コストになったということもあるので注意が必要です。

出典:LINE証券
単元未満株(いちかぶ) | 取引手数料:無料 スプレッド方式でコストがかかる |
公式サイト | LINE証券 |
SBIネオモバイル証券(ネオモバ)

出典:SBIネオモバイル証券
ネオモバは「2021年 J.D. パワー個人資産運用顧客満足度<スマホ専業証券部門>」で1位になっており、スマホで少額取引をしたい人におすすめのネット証券です。
また、ネオモバではTポイントで投資ができることもメリットです。
ネオモバでは、ネオモバ限定で利用できるTポイントが毎月200ポイント付与されます。
1カ月の約定代金が50万円以下の場合、サービス利用料は220円ですが、サービス利用料に手数料も含まれる為、付与ポイントを含めると約定代金50万円までは実質無料で取引可能です。
単元未満株(S株) | 取引手数料:無料(サービス利用料に含まれる) サービス利用料:約定代金50万円まで220円~ |
公式サイト | SBIネオモバイル証券 |
まとめ
これから投資を考えている人に向けて、少額からでもできる投資やおすすめの証券会社を紹介しました。
まずは少額から投資を始めて不安や疑問を解消しましょう。自分にあった投資スタイルを見つけてから金額を大きくしていくのがおすすめです。
この記事を読んで、少額からでもよいので投資生活をスタートしてください。