iDeCoで定期預金はあり!メリット・デメリットや節税効果を解説

株の基礎知識

iDeCoには投資信託の他に、元本確保型の定期預金があります。

投資信託ほどの運用益は期待できませんが、定期預金なら確実に老後資産を積み立てる上に、長期にわたる節税メリットは非常に大きな効果があります。

今回は、iDeCoの定期預金を選択するメリットやデメリット、iDeCoの定期預金がおすすめな人の特徴をまとめて解説しますので、運用が苦手な方はぜひこの記事を読んで、商品選択の参考にしてください。

この記事の要点はこちら
  • iDeCoには3つの税優遇メリットがある
  • iDeCoの定期預金なら将来設計がしやすい
  • 定期預金でも所得控除の効果は大きい

iDeCoとは?

iDeCoとは2001年からスタートした私的年金制度で、老後の資産形成を目的にした仕組みです。

私的年金ですので任意加入となっていますが、多彩な税優遇があったり、普通預金よりもよい利率で運用できる商品が揃っていたりと長期的な資産形成を目的とするならぜひとも活用したい制度と言ってよいでしょう。

国民年金基金連合会によると、2021年12月時点のiDeCo加入者数は約227万人で、2017年5月時点から約4倍に増加しており、注目度の高さがうかがえます。

iDeCoを利用するメリットとデメリット

iDeCoのメリットとデメリットをまとめて解説します。

iDeCoを始める前に必ず確認しておきましょう。

iDeCoを利用するメリット

  • 掛金が全額所得控除される
  • 運用益が非課税
  • 受取時も税優遇がある

iDeCoの最も大きなメリットは、3つの税優遇です。

まず積立時の掛金が全額所得控除されるので、所得を圧縮でき、所得税や住民税を軽減できます。

経費計上が難しい給与所得者にとっては重要な所得控除の一つです。

また、運用による利益は全額非課税となります。

通常の資産運用であれば、運用益には約20%が課税されますので、長期的な運用ということも加味すればiDeCoで運用するか通常の投資信託などで運用するかは大きな差になるでしょう。

最後に、受取時の税優遇です。

iDeCoの受け取りは年金、一時金、年金と一時金の併用を選択できますが、年金で受け取る場合は雑所得、一時金で受け取る場合は退職所得となります。

それぞれ公的年金等控除、退職所得控除の対象ですので、上手に利用すれば全額非課税で受け取れるケースもあります。

iDeCoを利用するデメリット

  • 原則60歳まで引き出せない
  • 受取期間に制限がある
  • 掛金に上限額がある

3つの税優遇でお得に老後の資金形成ができるiDeCoですが、デメリットと感じられる部分もあります。

まずiDeCoで積み立てた資金は原則60歳まで引き出せません。

また、受取期間にも制限があり、60歳から75歳までの間に受け取りを開始し、5年から20年の間で受け取り終わらなければなりません。

最後に、iDeCoは掛金の上限額が決まっており、職業(国民年金保険の被保険者区分)や企業年金などの加入状況によって異なります。

iDeCo掛金上限額

被保険者区分 職業 掛金上限額
第1号被保険者 個人事業主など 6.8万円/月(81.6万円/年)
 第2号被保険者 企業型DCのない会社員 2.3万円/月(27.6万円/年)
企業型DCに加入している会社員 2.0万円/月(24万円/年)
公務員、DB等加入者 1.2万円/月(14.4万円/年)
第3号被保険者 専業主婦など 2.3万円/月(27.6万円/年)

企業型DCとは企業型確定拠出年金のこと、DB等とは確定給付年金のことで、企業型確定給付年金や厚生年金基金、私学共済なども含みます。

税優遇を受けながら多くの老後資産を形成したくても、その額には限りがあるということです。

iDeCoで定期預金を選ぶメリット2つ

iDeCoで定期預金を選ぶ際のメリット・デメリットを紹介します。

  1. リスクなく所得控除を受けられる
  2. 確実に老後資金を作れる

それぞれ解説します。

1. リスクなく所得控除を受けられる

定期預金の最も大きなメリットは、リスクがないということです。

投資信託など変動の大きな商品を選択すれば、元本割れの可能性も否定できません。

長期資産形成において、分散・積立投資が有効とは言え、変動が大きいので投資に慣れていない人にとっては心労が大きいとも考えられます。

一方定期預金であれば元本は確保されているので、損失を被ってしまうリスクがありません。

リスクなく所得控除が受けられますので、定期預金の金利が低いとは言え、毎年の還付分は確実に受け取れます。

2. 確実に老後資金を作れる

iDeCoで積み立てた資金は原則60歳まで引き出せません。

つまり、積み立てた資金は例外を除いて確実に老後資金として計算できます。

また、定期預金であれば元本割れのリスクがないので、あらかじめ老後の生活を設計しやすいと言えます。

iDeCoで定期預金を選ぶデメリット3つ

iDeCoで定期預金を選ぶ際には、次の点に気をつけましょう。

  1. 市場のリターンを得られない
  2. インフレリスクに対応できない
  3. 低金利で長期間拘束される

それぞれ解説します。

1.  市場のリターンを得られない

iDeCoには定期預金の他に保険や投資信託といった商品もあります。

中でも投資信託は、債券や株式、REITなどに投資できるので、資本主義経済の成長によって利益を得られるリターンが期待できます。

一方で2022年現在の定期預金の金利は非常に低く、例えば三井住友信託の確定拠出年金用の定期預金金利は高くても0.032%です。

仮に金利0.1%だとしても、毎月2万円を30年間積み立てて得られる利息は、約12万円ですから、長期の資産形成であることを考えると、高いリターンとは言えません。

2. インフレリスクに対応できない

低金利の状況下では、長期間の積み立てであっても定期預金ではほとんど資産を増やすことはできません。

運用リスクはないものの、インフレに対応できないのは一般的な預金と変わらないデメリットと言えるでしょう。

インフレとはモノやサービスの値段が上昇することを言います。

下の図は、1947年から2020年までの物価の推移を表しています。

この図からわかる通り長期的に物価は上昇しており、横ばいに見える2000年以降も緩やかに上昇傾向です。

物価が上昇するということは、過去100円でできていた買い物が現在は100円で買えないということになります。

つまり、増えない預金で長期間現金を保有すると、将来的にはその資産が目減りするリスクがあるということです。

3. 低金利で長期間拘束される

繰り返しになりますが、iDeCoは原則60歳まで引き出しができないので、仮に生活の中でお金が必要になったとしてもiDeCoで積み立てているお金は使えません。

さらに、長期的に保有していても低金利の定期預金では資産が増えないので、その資産で長い老後生活を送ることを考えると、老齢年金も合わせてその金額で十分なのか、検討が必要です。

iDeCoの定期預金はこんな人におすすめ

iDeCoの定期預金がおすすめな人の主な特徴は以下の通りです。

  • 投資初心者の方
  • 所得控除だけ求めている方
  • 他で十分に運用している方

それぞれ解説します。

投資初心者の方

投資に関する知識のない方やどうしても投資に対するネガティブなイメージが拭えない方は、定期預金で積み立てることをおすすめします。

iDeCoには投資信託の商品がありますが、長期的に資産が増えるとしても長い投資期間の中で一時的に元本割れを起こすことも十分に考えられます。

一時的だとしても元本割れに耐えられそうにない方は、定期預金で積み立てていくと良いでしょう。

所得控除だけ求めている方

iDeCoの所得控除は、毎年還付が受け取れるので非常にお得な制度です。

所得控除だけでも長期的に考えれば、大きな金額になります。

例えば、年収500万円の会社員で、2.3万円/月を30年間にわたって積み立てた場合、年間の還付額は約5.5万円、30年間だと約165万円です。

運用益ではなく、所得控除だけを求めてiDeCoの定期預金を選択するのも、長期的な資産形成として考えれば、賢明な選択肢と言えます。

他で十分に運用している方

つみたてNISAや財形、積立型の保険などで既に長期的な資産形成を始めている方の中で、まだ余剰資金があり有利な形で積み立てていきたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。

そういった方は、確実に所得控除の還付を受けることを目的にiDeCoの定期預金を選択することもおすすめです。

iDeCoの定期預金を扱っているおすすめの金融機関3つ

iDeCoの定期預金を扱っているおすすめの金融機関は以下の3つです。

  • SBI証券
  • 松井証券
  • LINE証券

それぞれ紹介します。

SBI証券

出典:SBI証券

SBI証券は、ネット銀行など多くのインターネット金融サービスを提供するSBIホールディングス傘下のネット証券会社です。

SBI証券はiDeCoの加入者が最も多く(2021年7月時点)、低コストで豊富な商品を提供しており、「SBI-iDeCoロボ」が自動で運用商品選びをサポートしてくれますので、運用が初めての方にとっても、iDeCoを始めやすい環境と言えるでしょう。

SBI証券が用意しているiDeCoの定期預金は2つで、どちらも元本保証されており、預金保険制度の対象ですので、万が一金融機関が破綻しても安心です。

その他、iDeCoについての知っておきたい話やニュースなどをコラム形式で読める「iDeコラム」など資産運用について学べるコンテンツが充実しています。

松井証券

出典:松井証券

松井証券は、証券業を営んでから100年以上が経過する証券業界の老舗です。

非常に長い期間顧客に支持されてきた実績がある上に、日本で初めて本格的なインターネット取引を提供し始めたパイオニア的な存在でもあります。

松井証券も最低水準の手数料設定ですので、低コストで運用を続けられます。

松井証券が提供しているiDeCoの定期預金は、みずほ銀行の「みずほDC定期預金1年定期」の一つです。

また、松井証券のiDeCoシミュレーターは年齢や職業を選択するだけで上限額がわかり、年収や希望の利回りなどを入力すると節税効果や運用益まで確認できます。

簡単な入力項目ばかりで、視覚的にわかりやすい画面表示ですので、手間をかけずにスキマ時間で利用できるシミュレーターです。

LINE証券

出典:LINE証券

LINE証券は、LINE Financialと日本最大級の証券会社である野村證券を擁する野村ホールディングスが共同設立したネット証券会社です。

コミュニケーションアプリ「LINE」による知名度やスマホでできる投資といった手軽さなどから、設立以来利用者が順調に増加し、ネット証券業界では最速の100万口座突破を達成しました。

取扱商品は、国内株、海外株、債券、REIT、バランス型ファンド、定期預金などがあり、さまざまな目的に対応できます。

なお、LINE証券が提供しているiDeCoの定期預金は三井住友銀行の「三井住友銀行確定拠出年金定期預金(1年)」の一つです。

証券会社として長い歴史があり、大きな情報網を持つ野村證券の情報力を活用できる点は大きなメリットと言えるでしょう。

iDeCoの定期預金についてのQ&A

iDeCoの定期預金について、よくある質問をまとめました。

金融機関がつぶれてしまったら預けた資金はどうなりますか?

iDeCoで定期預金を利用して積み立てているときに金融機関が破綻してしまったとしても、利息も含めて最大1,000万円までの預金が保護されます。

ただし1つの金融機関で1,000万円までですので、iDeCo以外に預金がある場合には注意しましょう。

また運営を管理する金融機関と商品を提供している機関があり、破綻後の手続きが異なります。

運営を管理する金融機関が破綻した場合は、運営会社を変更する手続きが必要となり、商品を提供している金融機関が破綻した場合は、他の商品に積み立ててきた資金を預けかえる必要があります。

専業主婦(夫)もiDeCoのメリットを受けられますか?

iDeCoのメリットのうち、運用益の非課税と受取時の税優遇は受けられます。

ただし、所得控除についてはそもそも所得がある方にとってのメリットですので、収入のない専業主婦(夫)にとってそのメリットは受けられません。

まとめ

今回は、iDeCoで定期預金を選択する際のメリットやデメリットを紹介しました。

運用に対する知識のない方や、既に十分に運用していて節税しながらお金を貯めたい方などにとって、iDeCoの定期預金は非常に大きな節税効果があります。

老後にほしい金額なども十分に考慮した上で、定期預金も選択肢として検討してみましょう。

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