iDeCoとふるさと納税は併用が1番お得!節税効果はどのくらいあるの?

株の基礎知識

大きな節税メリットを受けながら老後資金を積み立てられるiDeCoと、節税と併せて返礼品を受け取れるふるさと納税を一緒に活用することで、それぞれのメリットを最大限に活用できます。

今回は、iDeCoとふるさと納税を併用した場合の節税効果や、併用する際の注意点などを紹介します。

この記事の要点はこちら
  • iDeCoとふるさと納税の併用で節税効果大!
  • iDeCoにふるさと納税にも上限額がある
  • ふるさと納税の上限額をシミュレーションで確認

iDeCoとふるさと納税を併用するとお得な理由

iDeCoとは、2001年10月に厚労省がスタートした制度で、大きな節税メリットを受けながら老後資金を準備できる私的年金制度です。

一方、ふるさと納税は任意の自治体に寄付をすることで、所得税や住民税の還付を受け、さらに寄付をした自治体からさまざまな返礼品を受け取れる制度で、住民税を納税しているすべての人にメリットがあります。

この二つの制度を併用することで、節税を最大化しながら大切な資金を積み立てたり、嬉しい返礼品を受け取ることができます。

ふるさと納税で税金が控除される仕組み

私たちが納めている所得税や住民税は、年収から各種控除を差し引いた所得額に対して課税される仕組みです。

この控除を差し引いて算出される所得を、課税所得といいます。

つまり、控除できる金額が大きいほど課税所得は小さくなり、納税額も小さくなります。

ふるさと納税をすると、寄附金控除という形で課税所得を小さくできますので、その分納税額を小さくできるという仕組みです。

次に、ふるさと納税によってどのように税金が控除されるか、詳しく解説します。

ふるさと納税による控除額の計算

総務省のポータルサイトでは、次のような図で控除額の計算について解説しています。

出典:総務省

控除額計算の要点は、次の3つです。

  • ふるさと納税した額の2,000円は自己負担で残りが控除額
  • 控除額のうち一部を所得税から、残りを住民税から控除
  • 所得税、住民税のそれぞれ計算式がある

まず、ふるさと納税した額のうち、2,000円は自己負担であることを覚えておきましょう。

2,000円を差し引いたふるさと納税額のうち、一部は所得税からの控除となります。

所得税から控除される金額は、次の計算式で求められます。

(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率

所得税率は所得の大きさによって異なり、次の表の通りです。

所得額 所得税率
1,000円 から 1,949,000円まで 5%
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10%
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20%
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23%
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33%
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40%
40,000,000円 以上 45%
3万円をふるさと納税し、所得税率が5%の場合の控除額は、(3万円-2,000円)×5%で1400円です。

次に住民税からの控除ですが、住民税からの控除額は基本分と特例分の二つに分かれます。

基本分の計算式は、以下の通りです。

(ふるさと納税額-2,000円)×10%
3万円をふるさと納税した場合の住民税の控除額(基本分)は、(3万円-2,000円)×10%で、2,800円となります。

特例分の計算式は以下の通りです。

(ふるさと納税額 – 2,000円)×(100% – 10%(基本分) – 所得税の税率)
3万円をふるさと納税し、所得税率が5%の場合の住民税の控除額(特例分)は、(3万円-2,000円)×85%で、2万3,800円となり、すべての控除額を合計すると、2万8,000円となります。

つまり、3万円をふるさと納税した場合の控除額は2万8,000円です。

このように、3万円から自己負担額の2,000円を差し引いた金額(2万8,000円)が、ふるさと納税をすることで税金から控除される金額となります。

なお、特例分の上限額は住民税所得割額の20%と決められているので、この額を超えてふるさと納税をした分については、控除を受けられません。

住民税所得割額とは、課税所得の10%です。

課税所得が200万円であれば、20万円が住民税所得割額となります。

自分の住民税所得割額を知りたい方は、毎年6月頃に送られてくる「住民税決定通知書」を確認しておきましょう。

iDeCoで税金が控除される仕組み

iDeCoには以下のように、大きな節税メリットが3つあります。

  • 掛け金の全額所得控除
  • 運用益の非課税
  • 受取時の退職所得控除や公的年金控除

この中でも、ふるさと納税と併用することで受けられる節税メリットは、掛け金の全額所得控除です。

例えば、月々2万円、年間で24万円をiDeCoで積み立てると、所得から24万円を差し引くことができます。

所得が小さくなるので、その分所得税や住民税の納税額も小さくなるという仕組みです。

なお、iDeCoの掛け金の上限額は、職業などによって異なります。

iDeCoの掛け金については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

iDeCoを利用するとふるさと納税の限度額は下がる?

iDeCoを利用すると、ふるさと納税の限度額は下がります

これを理解するために、まずはふるさと納税の限度額の計算方法を解説します。

ふるさと納税の限度額はいくら?

ふるさと納税は、所得税や住民税の還付を受けられる上に、寄付した自治体から返礼品を受け取れるお得な制度ですが、寄付できる金額には限度額があります。

ふるさと納税の限度額には計算式があり、所得の大きさによって異なりますので、まずは以下の表を確認してください。

収入 家族構成
独身or
共働き
夫婦 共働き+
高校生1人
共働き+
大学生1人
夫婦+
高校生1人
共働き+
高校生+
大学生
夫婦+
高校生+
大学生
300万円 28,000 19,000 19,000 15,000 11,000 7,000
325万円 31,000 23,000 23,000 18,000 14,000 10,000 3,000
350万円 34,000 26,000 26,000 22,000 18,000 13,000 5,000
375万円 38,000 29,000 29,000 25,000 21,000 17,000 8,000
400万円 42,000 33,000 33,000 29,000 25,000 21,000 12,000
425万円 45,000 37,000 37,000 33,000 29,000 24,000 16,000
450万円 52,000 41,000 41,000 37,000 33,000 28,000 20,000
475万円 56,000 45,000 45,000 40,000 36,000 32,000 24,000
500万円 61,000 49,000 49,000 44,000 40,000 36,000 28,000
525万円 65,000 56,000 56,000 49,000 44,000 40,000 31,000
550万円 69,000 60,000 60,000 57,000 48,000 44,000 35,000
575万円 73,000 64,000 64,000 61,000 56,000 48,000 39,000
600万円 77,000 69,000 69,000 66,000 60,000 57,000 43,000
625万円 81,000 73,000 73,000 70,000 64,000 61,000 48,000
650万円 97,000 77,000 77,000 74,000 68,000 65,000 53,000
675万円 102,000 81,000 81,000 78,000 73,000 70,000 62,000

同じ年収でも限度額に差があるのは、家族構成や配偶者の年収によって所得控除額に差があるためです。

この表の場合、「夫婦」は配偶者に年収がない場合、「高校生」は16歳から18歳の扶養親族、「大学生」は19歳から22歳の特定扶養親族を指します。

扶養親族が多いほど控除額も多くなりますので、ふるさと納税の限度額は小さくなります。

なお、この表では住宅ローン控除や生命保険料控除などの所得控除は加味していませんので、あくまでも目安としてご覧ください。

iDeCoとふるさと納税を併用した場合のメリット

既にお伝えしたとおり、iDeCoもふるさと納税も所得税や住民税の額を減らすことができる制度です。

どちらも併用することで納税額を減らすことができるうえに、ふるさと納税は寄付した自治体から返礼品を受け取る事もできます。

受け取れる返礼品は、自治体の特産物などで、寄付する金額によって異なります。

返礼品は「ふるさとチョイス」や「さとふる」などで確認できますので、お気に入りの返礼品を探してみましょう。

iDeCoとふるさと納税を併用するときに気をつけること

iDeCoとふるさと納税を併用するときには、ふるさとの納税の限度額に気をつけましょう

iDeCoは、掛け金の全額を所得控除できます。

その分所得が低くなるので、ふるさと納税の限度額が下がるケースがあります。

限度額を超えた分のふるさと納税は自己負担になりますので、iDeCoの所得控除を加味したシミュレーションなどで、限度額を確認してからふるさと納税の金額を決めましょう。

ふるさと納税の限度額を調べるシミュレーションは、ふるさと納税サイトの「さとふる控除上限額シミュレーション」や「ふるさとチョイス控除上限額シミュレーション」で利用できます。

iDeCoとふるさと納税を併用した場合の還付・控除限度額のシミュレーション

実際に、iDeCoとふるさと納税を併用したときの還付額や控除限度額のシミュレーションをしてみます。

ここでは、2つのケースで確認してみましょう。

年収500万円の会社員の場合

次のような会社員がiDeCoとふるさと納税を利用したケースを考えてみます。

  • 年収500万円の会社員
  • 独身
  • iDeCoで24万円/年を積み立て

iDeCoによる還付額のシミュレーションは、iDeCo公式サイトで簡単に確認可能です。

必要事項を入力して、「計算する」をクリックしましょう。

次のページで、1年間の軽減額を確認できます。

このケースの場合、所得税と住民税を併せて55,200円の還付を受けられることがわかります。

次にふるさと納税の上限額ですが、ふるさとチョイスのシミュレーションで確認してみましょう。

「かんたんシミュレーション」と「詳細シミュレーション」がありますが、iDeCoによる所得控除を加味した上限額を確認するためには、「詳細シミュレーション」を利用します。

「詳細シミュレーション」を利用するときは、お手元に源泉徴収票を用意しておくとスムーズです。

まず、収入額と家族構成を入力します。

次に、社会保険料や小規模企業共済等掛け金の金額を入力しましょう。

今回入力している社会保険料は、あくまでも参考数値です。

iDeCoの年間の掛け金は、小規模企業共済等掛け金の金額に入力します。

社会保険料や生命保険料の控除額は源泉徴収票に記載されており、源泉徴収票のどの部分を見ればよいのかは、各入力項目の横にある「?」マークをクリックすると表示されますので、確認しながら入力してください。

各項目を入力すると、ふるさと納税の上限額が算出されます。

このケースですと、5万6,012円がふるさと納税の上限額です。

 

さらに、「自治体への合計寄附金額」を入力すると、所得税、住民税でそれぞれいくらの節税効果があるのかを確認することもできます。

また、この上限額内で寄付をした場合に受け取れる返礼品も表示されます。

どこの自治体に寄付するか検討してみましょう。

年収700万円個人事業主の場合

次に、以下のようなケースでシミュレーションをしてみます。

  • 年収700万円の個人事業主
  • 専業主婦と5歳の子あり
  • iDeCoで60万円/年の積み立て

同じようにiDeCoの節税効果をiDeCo公式サイトで確認します。

このケースだと、iDeCoによる1年間の節税効果は、16万1,270円です。

個人事業主は、iDeCoの上限額が最も大きく設定されており、その分節税効果も大きくなります。

次に、ふるさとチョイスの詳細シミュレーションで、ふるさと納税の上限額を確認します。

配偶者の収入がある場合は、入力してください。

次に、家族構成を入力します。

15歳以下の扶養家族は、所得控除がありませんのでふるさと納税の上限額に影響しません。

その他の入力項目に該当する扶養家族は、一人につき所得控除がありますので、正確に入力しましょう。

次に、社会保険料や小規模企業共済等掛け金の金額を入力します。

個人事業主の場合、源泉徴収票がありませんので、確定申告書で確認しながら入力しましょう。

これから確定申告する方や個人事業主になって1年目の方などで、確定申告書が手元にない場合は、ひとつずつ担当者に連絡するなどして確認する必要があります。

このケースだと、ふるさと納税の上限額は7万9,578円です。

ふるさと納税よりもiDeCoの方が節税効果は高い?

節税効果は年収や家族構成、その他の所得控除額などによって大きく異なります。

紹介した2つのケースのシミュレーションでもおわかりの通り、どちらの方が節税効果が高いとは一概には言えません

ただ、ふるさと納税は地方自治体に寄付をして、その分の納税額を減額してもらうような制度ですから、厳密には節税とは言わないという声も上がっています。

ふるさと納税では返礼品をもらえるので、単純に納税するよりもお得ではありますが、純粋な節税効果として考えると、iDeCoの方が効果的と言えるかもしれません。

iDeCoを利用できるおすすめの金融機関3つ

iDeCoの利用でおすすめの金融機関を3つ紹介します。

  • SBI証券
  • マネックス証券
  • 楽天証券

SBI証券

出典:SBI証券

SBI証券は、ネット銀行など多くのインターネット金融サービスを提供するSBIホールディングス傘下のネット証券会社です。

SBI証券はiDeCoの加入者が最も多く(2021年7月時点)、低コストで豊富な商品を提供しています。

「SBI-iDeCoロボ」が自動で運用商品選びをサポートしてくれますので、運用が初めての方にとっても、iDeCoを始めやすい環境と言えるでしょう。

その他、iDeCoについての知っておきたい話やニュースなどをコラム形式で読める「iDeコラム」など資産運用について学べるコンテンツが充実しています。

また、2019年にふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」と提携を開始したことにより、ふるさと納税に関するコンテンツも公開しており、便利なシミュレーションなどを利用可能です。

マネックス証券

マネックス証券は、インターネットで金融サービスや投資教育を提供する総合ネット金融会社として、多くの投資家から支持を得ているマネックスグループが運営するネット証券会社です。

マネックス証券は、ネット上の口コミや評判が非常に高く、利用者からも好評を得ています。

手数料はいずれも最低水準で設定されており、低コスト商品を中心に27本の運用商品を提供しています。

マネックス証券の商品選びは、5つの質問に答えるだけで、最適な運用商品を提案してくれる「ロボアドバイザー」がサポートしてくれますので、初めての方も安心です。

また、サポート体制も充実しており、平日は20時まで土曜日も17時まで対応してくれるので、仕事などで平日や日中は時間がないという方も問い合わせしやすい環境です。

楽天証券

出典:楽天証券

楽天証券は、楽天市場や楽天モバイルなどのインターネット事業を中心に展開する楽天グループが運営するネット証券です。

低水準の手数料はもちろんのこと、国内外の株式や債券、不動産投資が可能なREIT、定期預金、保険などバランスのとれた32本の商品を提供しています。

初めての方でも始めやすいように、無料のウェブセミナーやスタートガイドも用意されており、iDeCoを学ぶコンテンツも豊富です。

特に楽天証券の「積み立てかんたんシミュレーション」は、資産形成の目標額や利回り、運用期間を入力するだけで、月々の掛け金を逆算してくれます。

毎月の掛け金の設定に悩んでいる方や、目標額を達成するためにどのような運用商品を選べばよいのか悩んでいる方にとって、非常に便利なツールとなるでしょう。

iDeCoとふるさと納税の併用についてのQ&A

iDeCoとふるさと納税の併用について、よくある質問に回答しています。

iDeCo・住宅ローン控除・ふるさと納税は併用できる?

併用できます。

ただし、iDeCoや住宅ローン控除を利用することで、ふるさと納税できる上限額が下がりますので、必ずシミュレーションなどで上限額を確認しておきましょう。

iDeCoとふるさと納税を併用したら確定申告をしなければいけないですか?

iDeCoは確定申告せずに、年末調整で申告ができます。

年末調整の際に、「小規模企業共済等掛金控除」の欄に年間に支払った掛金の額を記入しておきましょう。

年末調整のない個人事業主の方や、年末調整でiDeCoの掛金を申告できなかった方は、確定申告が必要です。

ふるさと納税の場合、「ワンストップ特例制度」により確定申告をせずに控除を受けられます。

ワンストップ特例制度は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して、寄付する自治体に送るだけで完了します。

以下のURLからダウンロードできますので必要な方は、利用してください。

まとめ

今回は、iDeCoとふるさと納税の併用について詳しく解説しました。

どちらもお得なメリットがたくさんありますので、存分に活用しましょう。

ふるさと納税を活用する際は、無駄な自己負担を避けるためにも、しっかりと上限額を確認しておくことが大切です。

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