日本にいながら米国に投資できる米国ETFなら、通常の投資信託よりもコストを抑えた分散投資が可能です。
今回は、米国ETFで資産形成を考えている人向けに、米国ETFの特徴や買い方をわかりやすく解説します。
また、初心者向けのおすすめ銘柄も紹介しますので、ぜひ銘柄選びの参考にしてください。
- 米国ETFなら簡単に米国に投資できる
- 米国ETFはコストが安い
- 米国ETFの買い方はかんたん3ステップ
米国ETFとは
そもそもETFとは、Exchange Traded Fundの略で、日本語では上場投資信託と呼ばれています。
上場していない投資信託は、通常その日の終値で価格が決まるため指値や成り行きでの購入に加え、一日で繰り返し売買はできません。
一方上場投資信託であるETFは、株式市場がオープンしている時間帯であれば、リアルタイムの価格で売買ができ、指値注文や成行注文も可能です。
その中でも米国ETFは、米国の株価指数などの投資信託であり、成長性の高い企業が多い米国に投資できるという点で、注目されています。
米国ETFを投資初心者におすすめする理由
米国ETFは投資初心者にもおすすめの投資商品です。
その理由は、主に以下の3つです。
- 簡単に米国に投資できる
- 資産分散ができる
- 手数料が安い
1. 簡単に米国に投資できる
米国ETFは日本人が日本にいながら簡単に米国に投資できる方法の一つです。
今では多くの金融機関で取り扱っており、中でもネット証券ならスマホがあれば取引を開始できます。
米国は世界の中でもトップの経済大国であり、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)に代表されるような、世界で活躍する企業がたくさんあります。
2022年1月時点の世界時価総額ランキングTOP50にランクインしている米国企業は、34社です。

出典:STARTUP DB
今後も、新しい分野で業界をリードする企業が現れると予想されます。
一時的に調子が良い国ではなく、長期的に成長し続けられる国に投資を継続することが、投資で失敗しないために投資初心者にもできるとても大切な要素であることを覚えておきましょう。
2. 資産分散ができる
ETFは投資信託なので、自分で個別株を選ぶ必要がありません。
値上がりする個別株の選択は非常に難しく、売買のタイミングも重要です。
一方で投資信託は、証券会社のファンドマネージャーが運用商品を選択します。
また、投資信託の中でもインデックス型投信を選択すれば、米国の調子の良い上場株式全体に投資することが可能です。
そうすることで、米国経済全体に投資しているのと同じような投資効果が得られ、長期的な投資の継続によって運用益を見込める可能性が高まるので、売買タイミングに迷う必要もありません。
あらゆる株に分散投資できるという点も、投資初心者に米国ETFがおすすめされる理由の一つです。
3. 手数料が安い
一般的な投資信託に比べて、手数料が安く設定されている商品が多い点も、ETFの特徴です。
投資信託を購入すると信託報酬という商品別の手数料がかかりますが、購入時と売却時には手数料がかからない場合が多くなっており、主な手数料は運用中にかかるものです。
投資信託の信託報酬には、投資信託を管理する証券会社に支払う手数料が含まれていますが、上場しているETFは誰でも市場で取引できるので、証券会社に支払う手数料がかかりません。
そのため、ETFの方が手数料が低くなる傾向にあります。
米国ETFを購入する流れを3ステップで解説
実際に米国ETFを購入する流れを解説します。
米国ETFを購入する流れは、以下の3ステップです。
- 購入するETFを決定する
- 証券会社で口座を開設する
- ETFを購入する
それぞれの手続きを確認していきましょう。
1. 購入するETFを決定する
まずは購入するETFを決めます。
商品の選択は悩むところですが、投資初心者におすすめの米国ETFを3つ紹介しますので、参考にしてください。
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
米国の大手資産運用会社バンガードが販売している、米国を代表するS&P500に連動するETFです。
バンガードは1975年に米国で創業した世界を代表する資産運用会社で、バンガードが販売しているETFは他の同種類の商品と比べて経費率が低いことで知られています。

出典:楽天証券
S&P500への長期投資は、米国の経済成長に投資し続けることとほぼ同義であり、途中で大きな暴落があっても将来的には右肩上がりの経済成長が期待できるとされています。
信託報酬は0.0938%程度/年です。
NASDAQ-100ETF
NASDAQ(ナスダック)とは米国を代表する株式市場の一つで、主に新興企業が上場しています。
新興企業と言っても近年はテクノロジー系の企業が多く、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)に加えて、テスラなど世界でも時価総額ランキング上位に名前が挙がる企業が市場を牽引しています。
NASDAQ-100ETFはNASDAQに上場している100銘柄の指数に連動するパフォーマンスを目指した商品で、成長性の高い企業への分散投資が可能です。

出典:楽天証券
1985年からの指数を見ると、S&P500やNYダウよりも高いパフォーマンスを発揮しています。
なお、NASDAQ-100ETFの信託報酬は0.45%です。
iシェアーズ コア米国高配当株 ETF
iシェアーズとは、米国の資産運用会社BlackRockが販売するETFブランドの名称です。
BlackRockは1988年にニューヨークで創業し、世界のETF市場で約3割のシェアを誇ります。(2021年6月末時点)
iシェアーズ コア米国高配当株 ETFは健全な財務状況かつ平均より高い配当を継続して支払っている75銘柄に投資できる商品です。
構成銘柄の上位には、日本でも知られるエクソンモービルやジョンソンアンドジョンソンなどが名を連ねています。
また、iシェアーズシリーズは信託報酬が低いことでも知られ、iシェアーズ コア米国高配当株 ETFの信託報酬は0.08%です。
2. 証券会社で口座を開設する
購入したい商品が決まったら、証券会社で口座開設をしましょう。
口座開設の仕方を、楽天証券を参考に解説します。
まず、楽天証券の公式サイトから、口座開設ボタンをクリックします。

出典:楽天証券
メールアドレスの登録を求められますので、登録しましょう。
登録が終わると確認メールが届きますので、メール内のURLから開設手続きを再開します。
口座開設には、本人確認書類の提出が必要です。
それ以外の方も、ウェブから本人確認書類を提出できますので、書類を郵送せずに口座開設が可能です。
なお、「スマホで本人確認」のときはログインIDがメールで届きますが、ウェブアップロードの場合は郵送で届きますので、到着するまで5営業日ほどかかることを覚えておきましょう。
これで口座開設は完了です。
IDやパスワードを入力して、マイページにログインしてみましょう。
3. ETFを購入する
ETFを購入するには、まずは楽天証券が指定する口座に、普段利用している金融機関から資金を入金しましょう。
楽天証券への入金には、リアルタイム入金が便利です。
リアルタイム入金をするにはマイページにログインした後、「マイメニュー」から「入金」をクリックします。
普段利用している金融機関を選択します。
金融機関を選択したら入金額を入力し、注意事項確認のチェックボックスにチェックを入れます。
最後に「振込手続きをする」をクリックしたら、利用している金融機関のサイトに遷移しますので、そこから入金手続きを進めてください。
これで入金が完了します。
次に、実際にETFを選択して購入する手続きを解説します。
楽天証券のマイページトップから、「外国株式・米国株・海外ETF」を選択しましょう。
次のページに米国ETFの買付ボタンがありますので、クリックします。「買い注文」と「積立設定」を選択できますが、今回は投資初心者にもおすすめの「積立設定」のやり方を紹介します。
なお、証券会社によっては米国ETFの積立設定ができないこともありますので、事前に確認しておきましょう。
次の画面で、商品を検索します。
一覧から検討もできますが、今回は先程おすすめの商品で紹介した「iシェアーズ コア米国高配当株 ETF」を検索窓に入力します。
まずは決済方法の選択で、円で購入するか米ドルで購入するかを選択しますが、特にこだわりがなければ、円で購入して問題ありません。
円による購入と米ドルによる購入については、のちほど米国ETFの購入は円建てとドル建てどちらがおすすめ?で解説します。
次に、積立日の設定です。
毎月購入か毎週購入を選択し、毎月購入なら日にちを、毎週購入なら曜日を選択しましょう。
次に、積立条件の設定です。
金額指定での購入か株数指定での購入かを選択できますが、投資初心者には金額指定での購入をおすすめします。
金額指定での購入にすることにより、株価が高いときには少量購入し、株価が低いときに多量を購入するドルコスト平均法による投資が可能になります。
ドルコスト平均法は株価の暴落もメリットに変えられる可能性のある投資方法です。
次に、一回の注文金額、ボーナス設定、口座区分を選択します。
口座区分は、「特定」「一般」「NISA」から選択します。
特定口座は年間の損益を楽天証券が取りまとめてくれますので、特にこだわりがなければ「特定」を選択しておきましょう。
「一般」口座で利益が出た場合は、年間の損益を自分で取りまとめ確定申告をする必要があります。
楽天証券で一般NISA口座を開設している方は、「NISA」を選択することも可能です。
次のページで設定内容を確認して、「設定する」をクリックすれば積立設定が完了します。
楽天証券に資金を入力することを忘れないように気をつけましょう。
米国ETFが購入できるおすすめの証券会社4つ
米国ETFの買い方がわかったら、証券会社を選びましょう。
多くの証券会社がありますが、中でもネット証券がおすすめです。
特におすすめのネット証券を4社紹介します。
- SBI証券
- 楽天証券
- PayPay証券
- DMM株
それぞれ紹介します。
SBI証券

出典:SBI証券
SBI証券は、ネット銀行としても最大規模の運営をしており、経営に安定感があるネット証券の一つです。
SBI証券には買付手数料無料サービスがあり、対象の米国ETF9銘柄について買付手数料が無料になるので、コストを抑えた米国ETF投資ができます。
毎月自動で米国ETFを積み立てられるETF定期買付サービスを提供している他、豊富な銘柄検索機能やチャート分析機能を備えた米国株取引専用アプリで、時間や場所を問わずに取引が可能です。
楽天証券

出典:楽天証券
楽天証券は、楽天銀行や楽天市場、楽天モバイルなどでも知られる楽天グループのネット証券会社です。
楽天証券の米国ETF(ETN含む)は、355銘柄と非常に豊富で、銘柄選びに迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、テーマや地域で簡単に検索できる機能があり、目的の銘柄をすぐに見つけられます。
楽天証券も対象の9銘柄について買付手数料を無料としており、自動積立サービスもあるので、買付のタイミングに迷わず継続した積み立てが可能です。
また、楽天ポイントを使ったポイント投資が可能な点は、楽天ならではの特徴と言えるでしょう。
PayPay証券

出典:PayPay証券
PayPay証券は、「One Tap BUY」というサービス名称で、スマホで取引できる証券サービスを開始し、2021年2月に現在の名称になった証券会社です。
PayPay証券では米国ETFが25本用意されています。
PayPay証券では、1,000円以上1,000円単位で株を購入できます。
投資初心者にとって少額で投資をスタートできる点で、投資を始めやすい取引環境と言えるでしょう。
また、定額の自動積立をしたい方には、「つみたてロボ貯蓄」がおすすめです。
銘柄と購入金額、購入頻度を設定しておくと、自動で積み立ててくれます。
PayPay証券における米国ETFの売買手数料は、時間帯によって異なり、以下の通りです。
時間帯 | 手数料 |
---|---|
日本時間 23:30 ~ 6:00 (夏時間:22:30 ~ 5:00) |
「基準価格」に0.5%を乗じた価格 |
上記以外の時間帯 | 「基準価格」に0.7%を乗じた価格 |
PayPay証券は、手数料を「スプレッド」と表現していて、買付の際は上記の金額を加算した金額を、売却の際は上記の金額を減算した金額を「取引価格」としています。
DMM株

出典:DMM株
DMM株は、FXや株式投資などの金融関係だけでなく、幅広いサービスで知られているDMMグループが運営しているネット証券会社です。
DMM株の米国ETF銘柄は2022年3月23日時点で185銘柄あり、そのすべての銘柄において買付手数料が無料となっています。
取引ツールはパソコン版、スマホ版ともに充実しており、国内株式も海外株式も一つのツールで取引できます。
米国ETFの購入は円建てとドル建てどちらがおすすめ?
米国ETFは基本的に米ドルで買付されています。
それでも円で購入できるのは、証券会社が円を米ドルに両替してから買い付けているからです。
つまり、証券会社が円を米ドルに両替する際に両替手数料がかかります。
一方、自分で米ドルを用意すれば証券会社に両替手数料を支払う必要はありません。
そのため、米ドルで買い付けたほうが多少コストを抑えられますが、これは自分で米ドルを保有している場合の話です。
米ドルを保有していなければ、自分で円を米ドルに両替しなければなりません。
自分で両替する際には、両替手数料がかかります。
自分で両替手数料の安い証券会社や銀行などを探して米ドルを用意できるのなら、米ドル建てで買い付けたほうがコストは抑えられます。
その手間と米ドル建てにすることにより省けるコストを天秤に掛けて検討してみましょう。
米国ETFの買い方に関するQ&A
米国ETFの買い方に関するよくある質問にお答えします。
iDeCoやNISAで米国ETFを買うことはできますか?
iDeCoではETFを買うことはできません。
iDeCoで米国株に投資したいときは、投資信託を選択しましょう。
NISAでは、ETFを購入できます。
一般NISA、つみたてNSIAいずれも米国ETFの取り扱いがありますが、証券会社によっては扱っていない会社もありますので、口座開設前に取扱商品を確認しておきましょう。
米国ETFを希望価格で買うことはできますか?
できます。
ETFは上場投資信託なので、市場がオープンしている時間帯に希望価格に達したときに約定するように発注しておくことができます。
「指値注文」「逆指値注文」を利用することで、「価格が〇〇円ドルになったら買う」といった注文が可能です。
ただし、その価格に達しなかったら約定しません。
まとめ
今回は、米国ETFの買い方について詳しく紹介しました。
世界経済の長期的な成長に分散投資する方法は、投資初心者であっても売買タイミングに迷わず継続できる手段の一つです。
日本にいながら成長性の高い米国に投資できるETFを大いに活用し、資産を作っていきましょう。