つみたてNISAの銘柄は、ラインナップが多い会社では170本以上用意されています。
銘柄によって運用パフォーマンスは大きく異なるので、銘柄選びはとても重要です。
そこで今回は、銘柄を選ぶ際のポイントや初心者向けのおすすめ銘柄を紹介します。
- 長期積立投資を理解する
- アクティブファンドよりインデックスファンドを選ぶ
- 国内株式より海外株式がおすすめ
つみたてNISA初心者が銘柄を選ぶときのポイント3つ
初めてつみたてNISAを始める方が、銘柄を選ぶ際に注目すべき3つのポイントについて紹介します。
- 長期的に成長していく投資先を選ぶ
- アクティブファンドよりもインデックスファンドを選ぶ
- 国内株式よりも世界株式を選ぶ
それぞれ解説します。
1. 長期的に成長していく投資先を選ぶ
つみたてNISAは、長期間に及ぶ積立投資です。
最終的に自己資産の評価額をプラスにするためには、長期的に成長する銘柄に投資することが最重要といえるでしょう。
その理由は、つみたてNISAで行うドルコスト平均法という投資方法にあります。
定期的に定額を積み立てていく投資方法をドルコスト平均法といい、長期的に積み立てるからこそ効果を発揮する投資方法です。
定額を積み立てる場合、価格が上がれば購入できる口数は少なくなり、価格が下がれば購入できる口数は多くなります。
最終的な資産額は、その時点での価格 × 保有している口数なので、多くの口数を保有している方が有利です。
また、ドルコスト平均法では価格が下がったときに多くの口数を購入することになるので、購入平均単価を下げることができ、積み立てスタート時点よりも低い価格でも収支がプラスになります。
つまり、ドルコスト平均法による投資では、価格が下がる暴落局面さえメリットになる可能性があるのです。

出典:アクサ生命
ただし、ドルコスト平均法によって利益を得るためには、最終的に価格が上向いている必要があります。
例えば下の図において、Cのように価格が推移すると元本割れします。

出典:アクサ生命
つまり、一度価格が下落してから上昇してこない銘柄では利益にならないので、長期的に成長し価格が上昇していく銘柄であることが重要ということです。
つみたてNISAで銘柄を選択するときには、短期的な成長ではなく、長期的な成長を見込める銘柄に絞りましょう。
2. アクティブファンドよりもインデックスファンドを選ぶ
投資信託の商品には、インデックスファンドとアクティブファンドがあります。
インデックスファンドは、日本の日経平均やTOPIX、米国のダウ工業平均やS&P500など各国の代表的な株式指数に順ずるパフォーマンスを目指すファンドです。
アクティブファンドは、インデックスファンドを上回るパフォーマンスを目指して作られたファンドです。
アクティブファンドはファンドマネージャーが銘柄を選定しており、信託報酬が高く設定されています。
またアクティブファンドを正しく評価するためには、ファンドマネージャーがどのような目的でそのファンドを作ったのか、ファンドの中身の銘柄はどのような銘柄なのかなど、チェックしなければならない項目が多岐にわたります。
そのため、投資初心者がアクティブファンドを正しく判断することは非常に難しいと言えるでしょう。
インデックスファンドであれば、世界の経済成長の恩恵を受けられるので、細かく中身を精査する必要がなく、投資初心者にもおすすめです。
3. 国内株式よりも世界株式を選ぶ
つみたてNISAでは、国内株式だけでなく、海外の株式にも投資できます。
株式インデックスであれば、国内株式よりも世界の株式の方がパフォーマンスが良く、利益を得やすいので、世界株式に人気が集まっています。
下のグラフは、先進国株式インデックス、米国株式インデックス、日本株式インデックスの2018年7月から2022年2月までを比較したものです。
日本株式の伸びが最も悪く、米国株式が最も伸びていることがわかるでしょう。
なお、基準価額は表示期間初日を10,000として指数化しています。

出典:SBI証券
つみたてNISAのおすすめ銘柄4つ
つみたてNISAで購入可能な銘柄の中から、おすすめできる銘柄は以下の4つです。
- 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
- 番外編:レオス-ひふみプラス
それぞれ簡単に解説します。
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

出典:SBI証券
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、多くの証券会社で扱っている銘柄です。
米国株式のS&P500に連動するように作られているインデックスファンドで、世界経済の中心となっている米国の成長とともに資産が増えていくので、長期的に安定した資産運用が可能と考えられます。
信託報酬が0.0968%以内/年間と低水準なのも魅力です。
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

出典:SBI証券
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、日本を含む先進国や新興国の株式インデックスファンドですが、目論見書を確認すると、主要な投資先はほとんどが米国資産であることがわかります。

出典:SBI証券
ただし全世界の株式に投資するファンドなので、米国の経済が不調なときには、このファンドの中で資産配分を変更し、米国経済が長期的な不調に陥っても、他国の株式でカバーすることを目指しています。

出典:SBI証券
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス

出典:SBI証券
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは、日本を除く米国をメインとする22カ国に投資するインデックスです。
設定来の基準価額(上図)を見ると、全世界株式よりも価額の伸びが良いことがわかります。

出典:SBI証券
投資先の上位10社はすべて米国企業であり、ここでも現在の経済大国が米国であることが確認できます。

出典:SBI証券
番外編:レオス-ひふみプラス

出典:SBI証券
最後に紹介するのは、アクティブファンドです。
初心者にはおすすめしませんが、投資に慣れてきて、インデックスファンドよりも大きな利益を狙いたい人は検討してみましょう。
ひふみプラスは、主に国内外の主要株式を扱うファンドで、基本的に割安と考えられる株に集中して長期投資をします。
株式の上昇が期待される局面では株式に多く投資し、下落が想定される局面では、株式への投資を減らすことで、資産を守りながら増やしていく運用方針です。
この銘柄は販売開始から2022年2月現在までで基準価額を350%も上昇させており、アクティブファンドの中では人気上位を継続しています。
また、下の表のように国内株式への資産配分が大きいことも特徴です。

出典:SBI証券
なお、アクティブファンドはインデックスファンドよりも信託報酬が高く、ひふみファンドの信託報酬は1.078%以内/年となっています。
つみたてNISAが購入できる証券会社を紹介
証券会社を選ぶときは、以下の3つのポイントに注目してみましょう。
- 購入したい商品がある
- 手続きはしやすい
- 最低積立金額が少ない
以上の3つのポイントを踏まえて、つみたてNISAを始めるときにおすすめできる証券会社は以下の6つです。
- 楽天証券
- SBI証券
- 松井証券
- auカブコム証券
- マネックス証券
- 野村證券
それぞれ紹介します。
楽天証券

出典:楽天証券
楽天証券は、2021年個人資産運用 顧客満足度調査 ネット証券部門(調査:J.D.パワー)で1位を獲得した、利用者からの評価が高いネット証券会社です。
ネットですべての手続きが完結するので利用しやすく、つみたてNISAで扱っている商品数は170以上(2022年2月14日時点)と非常に豊富です。
最低積立額は100円で、積立頻度は毎日と毎月から選べます。
SBI証券

出典:SBI証券
SBI証券は、ネット銀行最大手のSBIグループが運営しているネット証券です。
SBI証券では、170以上の取扱商品から選ぶことができます。
商品数が常に豊富なので、投資に慣れてきてアクティブファンドに移行したいときにも、希望に沿う商品を見つけられるでしょう。
積立金額は100円から設定が可能で、毎日・毎週・毎月の積み立てから選択できます。
クレジットカードによる積み立てもできますので、毎回の積立金額でポイントを貯めたい方にもおすすめです。
松井証券

出典:松井証券
松井証券は、大正7年に創業した証券会社の老舗でありながら、国内で最も早く本格的なインターネット取引を開始したネット証券のパイオニア的存在でもあります。
その他証券取引において、いくつも業界初の取り組みをスタートし、証券業界を牽引してきました。
松井証券のつみたてNISAも170以上(2022年2月14日時点)の銘柄を取り扱っていて、最低100円からの積み立てが可能です。
また、サポート体制がしっかりしていて、細かな疑問にもその都度対応してくれます。
ロボアドバイザーが自分に最適な積み立てを提案してくれたり、「投信アプリ」で積み立ての設定や変更、確認ができる点も、初心者が始めやすい環境と言えるでしょう。
auカブコム証券

出典:auカブコム証券
auカブコム証券は、MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)のネット証券会社で、メガバンクのインフラを背景に、安心・充実のサービスを提供しています。
auカブコム証券のつみたてNISAは、150以上(2022年2月14日時点)の商品を扱っており、毎月100円からの積み立てが可能です。
毎月の積み立てたい金額・期間を選択すると、運用益や非課税となる金額が簡単に計算できる「つみたてNISAかんたんシミュレーション」や、直感的に洋服の色を選択するだけで、色彩心理からおすすめの商品を提案してくれる「FUND DRESS」など、ユニークなツールを提供しています。
マネックス証券

出典:マネックス証券
マネックス証券は、総合的な投資サービスを提供するネット証券で、投資教育にも力を入れています。
2022年1月4日時点で、開設口座数は216万口座になっており、毎年口座数を増やしている人気の会社です。
マネックスのつみたてNISAは、取扱商品が152本(2021年10月28日時点)あり、100円以上1円刻みで積立金額を設定できます。
積み立て頻度は毎日または毎月から選択が可能で、つみたてNISAで投資信託を持っているだけで「マネックスポイント」が貯まります。
マネックスポイントは、Amazonギフト券やdポイント、JALやANAのマイルのほか、さまざまな特典との交換が可能です。
野村證券

出典:野村證券
野村証券は、創業から90年以上の実績を誇る、証券会社の老舗です。
大手総合商社として証券記者をリードしてきた野村証券ならではの投資関連情報が非常に豊富で、これから投資をスタートしようとしている方をサポートする体制も整っています。
野村証券のつみたてNISAは、月々1,000円からで、商品数が7種類と少ないのですが、野村証券が数ある商品から厳選した商品ラインナップとなっています。
商品が多すぎて迷ってしまう方にとっては、選びやすいともいえます。
購入できる商品はインデックスファンドが5種類、アクティブファンドが2種類です。
外国株式、国内株式などバランスよく商品が取りそろえられています。
つみたてNISAの銘柄についてのQ&A
つみたてNISAの銘柄についてよくある質問に答えます。
つみたてNISAの銘柄はいくつ買えばいいの?
分散投資という言葉もあるように複数の銘柄を購入した方が良いと思っている方もいるかもしれませんが、基本的には一つの銘柄を購入すれば良いです。
なぜなら、ファンド自体がさまざまな投資先に分散投資しているからです。また、多くの銘柄を保有することで管理も複雑になってしまいます。
長期的に成長が見込める銘柄を一つ選択し、放置するくらいの意識がちょうど良いかもしれません。
後からつみたてNISAの銘柄は変更できる?
変更できます。
変更したいときには、現在積み立てている銘柄の積み立てをストップし、新たに積み立てたい商品で購入設定します。
ただし、銘柄の変更は慎重に行いましょう。
先に解説したとおり、暴落局面でも積み立てを継続することで長期的に利益を得られる投資方法であることを忘れてはいけません。
また、つみたてNISAでは、今まで購入してきた銘柄を売却せずに保有したまま積み立てる銘柄を変更することも可能です。
保有し続けることで利益成長の恩恵を受けられますので、売却すべきかどうかはよく検討してから判断しましょう。
まとめ
今回はつみたてNISA初心者向けに、銘柄の選び方やおすすめの銘柄について紹介しました。
自分の運用目的や投資経験なども考慮した上で、経済的にも心理的にも負担にならない銘柄選びが大切です。
また、つみたてNISAはあくまでも長期的な運用であることも忘れずに、銘柄を選定しましょう。