南アフリカランド/円をスワップポイント目的で買うのは危ない?今後の見通しと運用のポイント

FXの基礎知識

外国為替による運用、いわゆるFXでは2種類の運用パターンが存在します。

キャピタルゲイン投資インカムゲイン投資です。

キャピタルゲイン投資とは、積極的に売買を行うことで利益を獲得していく運用パターンです。

一方インカムゲイン投資とは、スワップポイントと呼ばれる金利差収入をコツコツ積み上げていく運用パターンです。スワップポイントについては後述します。

今回は、コツコツ着実に利益を積み上げたいインカムゲイン投資志向の方に向けて、スワップポイントを多く受け取れる「南アフリカランド/円」の運用ポイントを発信していきます。

  • 南アフリカランド/円って何?
  • 南アフリカランド/円を運用する上でのポイントは?
  • 南アフリカランド/円の今後の見通しは?
  • 南アフリカランド/円の運用に適しているFX業者は?

このような疑問を持っている方にこそ、読んで頂きたい内容となっております。

南アフリカランド/円とは

南アフリカランド/円とは、南アフリカの通貨であるランドの円に対する価値です。

FXの世界では略して「南アランド/円」、もしくは英語で「ZAR/JPY」と表記されます。

 

出典:みんかぶFX(2021/04/08時点)

南アランド/円の見方ですが、チャートを見ると直近は7.5円前後になっています。

つまり1ランドは7.5円ほどの価値があるということです。

ランドの価値が上昇すれば、1ランドを得るために必要な円はより多くなりますから、チャートは上方向に動きます。逆も然りですね。

南アフリカランド/円の特徴

南アランド/円の特徴は以下の4つです。

  • 高スワップ通貨(高金利通貨)
  • 資源国通貨
  • 少額保証金で運用できる通貨
  • 値動きが大きい通貨

一つずつ詳しく解説していきます。

1.高スワップ通貨(高金利通貨)

南アランド/円の代表的な特徴として、高金利通貨であることが挙げられます。

金利の高低は各国の政策金利で確認できるのですが、主要国の金利は以下の通りです。

国名 政策金利
米国 0.25%
英国 0.10%
ユーロ 0.00%
日本 -0.10%
南アフリカ 3.50%
※2021/04/08時点

ご覧いただくと分かるように、直近の主要国の政策金利はかなり低水準にあるのに対し、南アフリカは3.50%と比較的高水準です。

政策金利は、その通貨を1年間保有していた場合にもらえる利子とも言えるので(預金金利が政策金利を参照しているため)、米ドルでは1,000ドル保有して2.5ドルがもらえますが、ランドであれば1,000ランドで35ランドも利子で受け取ることができます。

そして政策金利は、FXでもらえるスワップポイントにもそのまま反映されます。

スワップポイントについて

そもそも通貨ペアとは、2つの異なる通貨の組み合わせを表しています。米ドル/円であれば、円に対する米ドルの価格のことです。

米ドル/円の金利差も同様の見方をします。米ドル/円の金利差とは、円金利に対する米ドル金利のことであり、米ドル金利の方が円金利より高ければその差分が金利差収入として利益になります。

この利益分がスワップポイントです。スワップポイントは毎日受け取ることができます。

しかしこれは、あくまで米ドル/円を保有している場合、つまり買スワップが適用される場合に金利差収入が発生します。

反対に米ドル/円を売り建てている場合では、売スワップが適用され、金利差分を支払うことになります。金利の低い通貨で金利の高い通貨を売り建てているからです。

他の主要通貨ペアと比較しても南アランド/円でもらえるスワップポイントはかなり高水準です。

コツコツ利益を積み立てるインカムゲイン投資を行うのであれば、南アランド/円は有力な投資先の一つと言えるのです。

2.資源国通貨

ランドのもう一つの特徴として、資源国通貨であることが挙げられます。

南アフリカは金やプラチナなどの鉱物資源が豊富であり、資源大国とされています。つまり、南アフリカ経済は資源価格と密接に関連しているのです。

ここで重要なのは、資源価格(主に金)がランド価格にも影響を与える点であり、資源相場にも注目する必要が生じてくることです。

資源価格が上昇すれば産出国である南アフリカ経済にとってポジティブであり、ランド高に繋がります。逆も然りです。

3.少額保証金で運用できる通貨

FXで運用する通貨ペアを選ぶ際には、必要保証金にも注意しないといけないのですが、南アランド/円ではその金額が少額で済みます。つまり、比較的少ない資金からでも運用を始めることができるのです。

必要証拠金とは、ポジションを取るためにその取引額に比例して最低限必要となる預託金のことです。預託金額以上の取引を行う場合には、証拠金を預託する必要があります。

取引を始めるために必要となる保証金は、先進国通貨では最低でも5万円程であるのに対して、南アランド/円は2.5万円程で済みます(2020/11/19時点)。

1,000万円以上の運用資金が用意できるのであればこの違いは些細なものですが、少ない軍資金からコツコツ始めるのであれば、スタートするハードルは低いに越したことはありません。

そういう意味では、南アランド/円は初心者に優しい通貨ペアだと言えるでしょう。

レバレッジとは

証拠金を担保にして、口座にある金額以上の取引を行える仕組みです。レバレッジ5倍であれば証拠金の5倍の取引が可能になるのです。現行の金融商品取引業等に関する内閣府令では、個人は最大レバレッジ25倍までとされています。

4.値動きが大きい通貨

日々の値動きが大きいことも、南アランド/円の特徴と言えます。

出典:Bloomberg(2020/11/19時点)

上の比較チャートは青色が米ドル/円赤色がユーロ/円、そしてオレンジ色が南アランド/円になります。

他の2通貨はチャートが水平、つまり値動きが小さいのに対して、南アランド/円は上下に大きく振れているので値動きが大きいことが分かります。

この比較チャートの示唆するところは2つあり、一つは値動きが大きいのでキャピタルゲインを狙いやすい、そしてもう一つはリスクを分散する必要があることです。

FXで利益を狙うにはキャピタルゲインとインカムゲインの2種類があることはお伝えしました。

南アランド/円はインカムゲイン投資に向いているとお伝えしましたが、値動きの幅は利益を狙える機会と解釈できるので、キャピタルゲインにも向いています。

しかし、値動きが大きいということは、リスクも大きいといえます。これは事実です。

とは言え、リスクは分散投資を行うことで軽減できます。分散投資の具体的な方法については後述しますが、時間を分けて購入することで平均取得単価を下げたり、銘柄分散を行ったりすることで個別リスクを排除する方法などがあります。

スワップポイント目的の運用ポイント

スワップポイントを目的とした運用、つまりインカムゲイン投資をする際のポイントは大きく3つあります。

「時間分散」「銘柄分散」「機会費用の軽減」です。

先述した通り、南アランド/円は変動が大きい通貨ペアなので、リスクの軽減が必要になってきます。

しっかりと利益を積み上げていくために、3つのポイントを相場に合わせて行っていく必要があるのです。

時間分散を行う

時間分散とは、時間を分けて投資することです。

100万円を一気に投資するのではなく、25万円を4回に分けたり、10万円を10回に分けたりして投資をすることです。

時間分散の最大の目的は、平均取得単価を下げることです。平均取得単価とは、商品を取得した際の1単位あたりの単価です。通常は売買手数料などの取得費用込みで計算されますが、今回は考慮しないものとします。

例えば、南アランド/円が8円の時に1,000ランド、5円の時に2,000ランド取得したとします。

この場合、3,000ランドを取得するために要した投資金額は18,000円(8,000+10,000)になり、平均取得単価は6円になります(18,000÷3,000)。

投資金額 平均取得単価
1回目:1,000Z A R×8円=8,000円 8円
2回目:2,000Z A R×5円=10,000円 5円
合計:3,000Z A R=18,000円 6円(1回目より2円引き下げに)
最初は8円で取得しているため、南アランド/円が8円以上にならないと利益にならなかったですが、平均取得単価を引き下げたことで、6円を上回れば利益が出るようになりました。より利益が出やすい状態になったのです。

時間分散を行うことで、高値で取得してしまうリスクを軽減できます。

銘柄分散を行う

銘柄分散も代表的なリスク軽減策の一つです。

銘柄分散とは、投資先を複数持つことで、各投資先の個別リスクを軽減することを目的としています。

個別リスクとは、各商品が持つ固有のリスクのことです。ランドで言えば、南アフリカの経済動向や資源価格相場など、ランド特有の変動要因が挙げられます。

ここで、ランドの個別リスクと関係のない米ドルやユーロを保有することで、ランドの個別リスクを軽減できます。

南アフリカの経済情勢が悪化した場合、同国の通貨であるランドは下落するでしょうが、米ドルへの影響はほとんどありません。そのため、複数の通貨ペアを持つことで、個別リスクによる資産全体の価値下落を限定することができるのです。

値上がり益の機会損失に注意

スワップポイント目的のインカムゲイン投資は、長期的な保有を前提としています。

そこで注意して頂きたいのは、値上がり益の機会損失です。

出典:Bloomberg

例えば2020年4月末、南アランド/円が5.6331円の時に1,000南アランド/円を取得したとします。

そして2020年10月22日には、南アランド/円は6.4293円まで上昇していますから、およそ14%の上昇です。

もし10万円分投資していたら14,000円の利益が獲得できますが、インカムゲイン投資なので売却することはできません(現実にはできますが、目的に反します)。

そこで、資金の一部を南アランド/円と似た動きをする商品に投資しておけば、両商品が上昇しても、南アランド/円を残しつつ、もう一方の売却でしっかりと利益を獲得できます。

南アランド/円と似た動きをする商品

金・プラチナ相場に連動するETFや、日興アセットマネジメントが運用する「資源ファンド・南アフリカランドコース」が代表的な代替先です。

南アフリカランド/円の今後の見通し

次に、南アランド/円の今後の見通しについてお伝えしていきます。見通しを立てる上で今後重要になる点は「経済指標」「スワップポイントの水準」の2つです。

直近の経済指標は回復基調

南アランド/円の見通しを立てる上で、南アフリカ経済の動向を把握しておくことは極めて重要です。

経済動向は各種経済指標で確認できます。

同国の代表的な経済指標に「製造業P M I」「小売売上高」があります。

出典:Investing.com「南アフリカ 小売売上高」

両指標とも南アフリカ経済の動向を示す重要な指標ですが、足元では回復基調にあります。

つまり、コロナウィルスの影響で傷ついた南アフリカ経済が立ち直りつつあることを示しているのです。

順調に回復している経済指標はその国の通貨が買われる材料になるので、今後、南アランド/円は上昇していく可能性が高いと言えます。

スワップポイントの減少に注意

インカムゲイン投資を行うのであれば、南アランド/円の価格動向だけでなく、南アフリカの政策金利水準にも注意を向けなければなりません。

先述したように、政策金利がスワップポイントの水準を決定するからです。

それでは南アフリカの政策金利の水準はどう変動しているのでしょうか。

出典:Yahooファイナンス(2020/11/19時点)

上記のチャートは50カ月分の南アフリカの政策金利動向を示しています。

チャートを見れば一目瞭然ですが、2020年以降、同国の政策金利は低下していることが分かります

つまり、スワップポイントが今後減少する可能性があるのです。

先に見たように、通貨ペアの中でトップクラスのスワップポイントを誇る南アランド/円でも、今後は減少する可能性があり、これまでと同じ水準を受け取れる前提で投資をするのは難しい状況だと言えます。

とは言え、これまでの同国の政策金利引き下げは、新型コロナウイルスの感染拡大により落ち込んだ経済を刺激するためのものであり、回復基調である経済指標を考慮すれば、これ以上の引き下げは考えにくいとは思います。

とは言え、スワップポイントも変動する可能性があることは念頭に置く必要はあるでしょう。

南アフリカランド/円の運用でおすすめのFX業者4選

今ではFX業者は数多くありますが、取り扱っている商品や手数料の水準、そして発信するレポートの種類などFX業者によって強みとする分野は様々です。

最後に、南アランド/円を運用するにあたっておすすめのFX業者を4社ご紹介します。

LIGHT FX

出典:LIGHT FX

南アランド/円を運用するにあたってまず真っ先におすすめしたい業者は「LIGHT FX」です。

理由は単純で、数ある業者の中で顧客に提示するスワップポイントが最も高いからです。

FX業者名 スワップポイント
LIGHT FX 91円
外為どっとコム 90円
GMOクリック証券 90円
みんなのFX 81円
SBI FXトレード 80円
外貨ex byGMO 80円
セントラル短資FX 40円

※2022/1/10時点(※買ポジション10万通貨あたり)

実は、業者が提示するスワップポイントは一律横並びではありません。業者によってスワップポイントが異なる理由は、単に戦略の違いによるものです。

スワップポイントを若干低く設定し、その分レポートや取引ツールの充実生を強みとする業者もあります。

「LIGHT FX」は、扱っているレポートの数や取引ツールの利便性は業界の中で平均的な立ち位置ですが、スワップポイントによる還元に力を入れているため、スワップポイントは業者の中で最高水準です。

FXによるインカムゲイン投資を行うのであれば、スワップポイントは当然多くもらえるに越したことはありません。

インカムゲイン投資もキャピタルゲイン投資も行いたい方は、インカムゲイン投資の運用は「LIGHT FX」で行い、キャピタルゲイン投資の運用は別のFX業者で行うのも一つの戦略だと思います。

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外為どっとコム

「外為どっとコム」は、売買手数料に当たるスプレッドが小さい点、そして発信しているレポートが充実していることが強みです。

時間分散や銘柄分散が南アランド/円運用では必要になってくる以上、長期的に保有すればそれだけ購入回数、利益確定のための売却回数が増えてきます。そのたびに支払う手数料は微々たるものですが、長期的に見れば見逃せない金額になってしまいます。

加えて、投資対象が南アフリカというニッチな国という点にも留意が必要です。

アメリカやヨーロッパなど金融市場が発達しており市場参加者が多い地域であれば、情報収集は容易です。

しかし、南アフリカなど発展途上国の市場では、参加者も主要国と比べて少ないため、情報収集が難しい状況にあります。

つまり、情報収集に適している業者は、南アランド/円の運用に向いています。

「外為どっとコム」では、ニュースやセミナー配信を積極的に行っており、個人投資家のインプットの助けになるでしょう。

専ら情報収集のために、「外為どっとコム」で口座開設するのもありだと思います。

SBI FXトレード

「SBI FXトレード」はネット証券最大手のSBIグループが展開するFX業者です。

大手企業が運営していることもあり、手数料、情報発信、そして取り扱っている商品幅(ラインナップ)が充実している文句なしの業者であります。

値上がり益の機会損失を回避するためには、資源系ETFなど南アランド/円と相関性の高い商品も保有するべきだとお伝えしました。

この際、投資先としては資源系ETFに限らず、株式や投資信託、債券など様々な商品がありますが、この選択肢を最も多く揃えているのがSBIグループです。

「SBI FXトレード」で南アランド/円によるインカムゲイン投資を行い、SBIグループでキャピタルゲイン投資による利益も逃さない運用戦略も有効だと思います。

外貨ex byGMO

GMOインターネットグループが運営する「外貨ex byGMO」は、南アランド/円のスワップポイントが比較的高く、業界でも最低水準のスプレッドが強みの業者です。

取引のコストはトップクラスに安い業者といえるでしょう。

メインで使用する口座としても優秀な業者です。

おわりに

南アランド/円は高スワップが期待できる商品であり、インカムゲイン投資には最適と言えます。

南アフリカの経済成長は新型コロナウイルス感染拡大の影響で足踏みしているとは言え、長期的に見れば大きな成長の余地が残されている発展途上国です。

経済がより回復に向かえば、政策金利の引き上げによるスワップポイントの増加が考えられます。

しかし、価格変動が大きいことなどリスクが大きいことも確かです。リスク軽減策として時間分散や銘柄分散を行うにしても、マーケットに張り付いて分析に長時間要するわけにもいきません。

最も肝要なのは、ご自身の目標にあった運用スタイルに適しているかどうかです。

インカムゲイン投資は、究極的には放置しているだけでも利益を獲得できるので、柔軟に運用スタイルを確立していくことができます。

ご自分にあった運用スタイルで南アランド/円を運用し、コツコツ利益を積み上げていきましょう。

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