約定力の高いFX会社を選ぶことは取引コストを抑えるために非常に重要です。
しかし約定力はスプレッドのように目に見えるものではありません。そのため、いざ取引を始めてみると、
- 「なかなか約定しなくて絶好のトレードチャンスを逃してしまった」
- 「スリッページで滑ったせいで約定レートが注文レートより5pipsも高くなった」
- 「スキャルピングで稼ぎたいのにスリッページでほとんど利益が出ない」
こういった悩みに直面してどのFX会社を選べば良いかわからない、となりがちです。
そこでこの記事では約定力の高いFX会社を選ぶポイントから、実際にプロトレーダーに支持されているおすすめのFX会社まで、わかりやすく解説していきます。
この記事の要点
- FXの約定力とは希望価格で注文を成立させる力のこと
- 約定力は約定率やスリッページの頻度などから総合的に判断する
- 約定力の高さはFX会社のサーバーの安定感とカバー先の多さに左右される
- 約定力が高いFX会社でもスキャルピング公認とは限らないため注意
- トレードスタイルに関わらず約定力の高さは重要
結論から言うと、約定力の高いFX会社を探しているならヒロセ通商のLION FXがおすすめです。
約定力は特定の1項目ではなく様々な要素から総合的に判断する必要がありますが、中でも重要なのは約定スピードです。
ヒロセ通商のLION FXは、世界が認めた約定スピード最速0.001秒(※)があるため、安定感で右に出る業者はありません。
※平均0.003~0.005秒。
FXの約定力とは?
最初に、FXにおける約定力とは何かを見ていきましょう。
普段FXでトレードをしている時は何気なく注文を出していますが、実は注文の成立タイミングや確率は常に一定ではありません。
そもそも約定とはトレーダーが出した注文が成立することを指し、注文が成立するまでの流れは以下のようになっています。
- トレーダーがFX会社に「買い」や「売り」の注文を出す
- FX会社がカバー先に注文を流す
- カバー先が市場のレートを参考に約定レートを提示する
通常はこの流れで注文が成立しますが、時にはトレーダーが注文した希望価格通りに約定できなかったり、約定拒否になってしまうことがあります。
そのような約定が不安定な状態になっているならFX会社の約定力が低い、ということになります。
逆に、
- 注文レートと約定レートが同じ(もしくは非常に近い)
- 約定スピードが速い
- 約定拒否が起こらない
これらの条件を満たしていれば約定力が高いFX会社といえるでしょう。
約定力の高さでFX取引の損益が左右される
トレードにおいて約定力が重要になる理由は、約定力の高さがFXの利益に直結するためです。
FXにおいて約定力の高さは注文の通りやすさを示すため、約定力の高いFX会社を利用すれば狙った価格での売買を行いやすくなります。
ですが約定力の低いFX会社を利用していると約定できた頃にはレートが変わってしまっていた、となりかねません。
特にスキャルピングやデイトレードを行っている方や、1回のトレードで多くの資金を運用している方の場合、数pipsの約定の遅れが損 益に大きな影響を与えます。
もちろんスキャルピングなどの短期売買を行わないトレーダーにとっても約定力が弱いFX会社を利用することにメリットはありません。約定力と利益は切っても切り離せない関係にあるのです。
【約定力で徹底比較】約定力が高いFX会社一覧
それでは実際に約定力の高さに定評があるFX会社はどこなのかを見ていきましょう。
ここでは約定率が公式に掲載されている、あるいは第三者機関による調査結果が公表されている業者を中心に、高い約定力を誇るFX会社をまとめています。
なお、第三者機関による調査は矢野経済研究所によって行われており、国内随一といえる市場調査会社なので非常に高い信頼性があります。
FX会社 | USD/JPY(ドル/円)のスプレッド | スキャルピング | 約定率 | カバー先 |
---|---|---|---|---|
FXプライムbyGMO | 0.3銭 | ◯ | 99% | 17社 |
マネーパートナーズ | 0.3銭 | △ | 100% | 19社 |
ヒロセ通商 | 0.2銭 | ◯ | 100% | 23社 |
OANDA Japan | 0.3銭 | △ | 100% | 3社 |
LIGHT FX | 0.2銭 | △ | 99.9% | 11社 |
サクソバンク証券 | 0.6銭 ※変動制 |
◯ | 100% | 1社 |
JFX | 0.3銭 | ◯ | 99.9% | 1社 |
みんなのFX | 0.2銭 | △ | 99.9% | 11社 |
マネックス証券 | 0.2銭 | △ | 100% | 21社 |
岡三証券 | 0.4銭 | ◯ | 99.9% | 1社 |
GMOクリック証券 | 0.2銭(原則固定) | △ | 記載なし | 19社 |
DMM FX | 0.2銭 | × | 記載なし | 9社 |
FXTF | 0.1銭 | △ | 記載なし | 19社 |
SBI FXトレード | 0.1銭 | △ | 記載なし | 2社 |
※スプレッドは2021/7/17時点の数値を掲載しています。※「スキャルピング」の△は公認されていないことを示します。明確に禁止されていなくてもFX会社側に不利益であると判断された場合、口座凍結などのペナルティを受けるリスクがあるため注意が必要です。
約定力で選ぶおすすめFX会社ランキング
ここでは約定力が高いFX会社の中でも、特におすすめの5社をピックアップしました。
約定力はこれまでにも説明してきたように約定率・約定スピード・サーバーの強固さなど様々な要素を総合的に見なければいけません。
また、スキャルピングが公認かどうかもトレードの自由度に大きく影響することを覚えておきましょう。
ヒロセ通商

出典:ヒロセ通商
約定スピードでFX会社を選びたいならヒロセ通商もおすすめです。
ヒロセ通商の約定スピードは最速0.001秒と世界最速水準を誇ります。
この0.001秒という約定スピードを実現しているのが、IIJ(インターネットイニシアティブ)の提供する、分散データグリッドをコアエンジンとした取引システムです。
ヒロセ通商ではIIJの仮想化技術によって構成されたクラウドサーバー群で多数の注文を結合・共有化することで、超高速処理を実現しています。
それだけでなく、システムにはFXのトレードに最適化されたプログラムが組み込まれ、快適なトレード環境を作り出しています。
アプリや注文方法、分析ツールに至るまでトレーダーの声に耳を傾け常に改善を図っていることもヒロセ通商の魅力です。
矢野経済研究所の調査結果でも、約定率は100%、スリッページ発生率もわずか1.6%となっています。
約定率が高いだけでなく、スリッページも発生しにくいことは、約定力に優れる証拠といえるでしょう。
FXプライムbyGMO

出典:FXプライムbyGMO
約定力の高いFX会社選びで最もおすすめなのが、GMOインターネットグループのFXプライムbyGMOです。
FXプライムbyGMOの最大の強みは、国際規格の認証を受けている独自の取引システムにあります。約定力は99%以上を叩き出していて、スキャルピングでもストレスを感じることがありません。
そしてFXプライムbyGMOでは、サーバーの多重化を行うことで急激な相場変動時にもシステムにかかる負荷を分散し安定性を維持しています。
- 回線・通信機器・電源を二重化
- 耐震設備と自家発電機器を備えたデータセンターで運営
- 24時間365日の完全監視体制で情報漏えい・改ざん・データ破壊などを防止
- 脆弱性診断の実施
など耐障害性やセキュリティ面への配慮も万全で、非常に高く堅固な環境です。
こうしたサーバーダウンを徹底的に防ぐための取り組みにより、FXプライムbyGMOは情報セキュリティ管理(ISMS)の国際規格「ISO / IEC27001 : 2005」を国内FX業者で初めて取得しました。
国際レベルの認証を持つ証拠として、FXプライムbyGMOはサービス開始以来一度もサーバーダウンを起こしたことがありません。
そしてFXプライムbyGMOをおすすめできるもうひとつの理由は、スキャルピングも公式に認めている点です。
どんなに強固なサーバーを構築していても、スキャルピングが禁止されていれば短期売買で約定力の高さを活かすことができません。
ですが、FXプライムbyGMOはスマホアプリにもハイスピード注文による連続発注機能が搭載されているようにスキャルピングが公認されています。
しかも、スキャルピングをメインのトレード手法とする専業のプロトレーダーも認めているという圧倒的な信頼感もあります。
FXプライムbyGMOは国内FX会社最大手といえるGMOインターネットグループなので、利用者数や取引高などを含めた総合力は頭ひとつ抜けています。
短期売買を主体とする方はもちろん、約定力にこだわりがある場合は非常におすすめです。
マネーパートナーズ

出典:マネーパートナーズ
約定力のみに的を絞るなら、マネーパートナーズには約定力10年連続1位の実績があります。
第三者調査機関である矢野経済研究所が実施したテストによると、調査対象のFX会社7社のうち、マネーパートナーズは唯一、
- スリッページ発生数0件
- 約定拒否0件
という結果を出しています。実際に公式サイトの「お客様の声」で約定力の高さに関する意見が多数見られることからも、スリッページや約定拒否の少なさがうかがえます。
出資しているのがシステム関係に強い楽天グループということもあり、サーバーダウンしにくい強固なシステムを構築している点も見逃せません。
マネーパートナーズは24時間365日のサーバー監視体制に加えて、耐震耐火構造かつ電源の多重化が施されたデータセンターにサーバーを設置しています。
さらにデータセンターへの入館にもセキュリティシステムが働いているなど、安定した稼働へのこだわりが魅力です。
万が一障害が起こっても取引を継続できるようサーバーは切り替え運用可能な構成となっているほか、データは毎日バックアップし定期的に保管を行っています。データベースサーバーの堅牢性は世界最高峰です。
さらに、マネーパートナーズはFX専業会社として初めてヘラクレスに上場した会社でもあります。
LIGHT FX

出典:LIGHT FX
LIGHT FXも約定率99.9%と非常に高い約定力のFX会社です。
また、成行注文ではスリッページ設定によってスリッページの許容範囲を決めておくことが可能です。
スリッページの発生で不利益を被りやすいスキャルピングなどの短期売買では頼りになる取引システムでしょう。
ただし、スキャルピングが公式に認められているわけではない点には注意が必要です。スタンスとしては、禁止してはいないものの公に許可もしていない、というグレーゾーンのある扱いになっています。
つまり、スキャルピングによってペナルティを受けるリスクは0ではないのです。
そのため、取引スタイルで見ると中・長期で売買を行うデイトレーダーやスイングトレーダー向けといえます。
DMM FX

出典:DMM FX
DMM FXは約定率や約定スピードの掲載はしていませんが、SAXO業者であることから約定力の高さには信頼が置けます。
何よりDMM FXはGMOクリック証券と並ぶ業界最大手のFX会社であり、口座数は80万件以上、スプレッドも業界最狭水準を維持し続けています。
経済指標発表時など、相場を大きく変動させるイベントが起こっている時でもスプレッドが広がりにくいことがDMM FXの強みです。
唯一難点を挙げるとすればスキャルピングが禁止されていることです。
DMM FXではスキャルピングによる口座凍結の事例があるため、短期売買をメインに考えている場合はおすすめできません。
特に経済指標発表時に数秒〜数分間のスキャルピングを行ったなど、サーバー負荷がかかる行為で凍結事例が多い点は覚えておく必要があるでしょう。
約定力の高さを判断する方法
FX会社の約定力の高さを判断する方法としては、
- 約定までのスピード
- スリッページの頻度
- 約定拒否の頻度
- 指定レートでの売買の可否
などがチェック項目として挙げられます。
約定スピードが速ければそれだけ注文時と近い為替レートで約定が可能です。
逆に約定拒否や指定レートでの売買ができない事態が頻繁に発生しているようなら、約定力が低いFX会社といわざるを得ません。
特に重要になるのがスリッページで、次の見出しで詳しく説明していきます。
FXのスリッページとは?
なぜ注文価格と約定価格がずれるのか不思議に感じるかもしれませんが、トレーダーの注文はFX会社を通してインターバンクに届けられるため、通信のために0.01秒~数秒程度の時間差が生じます。
つまり、注文ボタンを押してから約定するまでにはタイムラグがあるのです。
このタイムラグの間に為替レートが動いた場合、注文価格と約定価格がズレるスリッページが発生します。
例えば、USD/JPY(ドル円)で注文を行った場合を考えてみましょう。
トレーダーの注文価格が105.00円であれば、本来は約定価格も同額の105.00円となるはずです。
しかしスリッページが発生するとトレーダーが望んでいた105.00円ではなく、為替レートが5pips上昇した105.05円で約定してしまう場合があります。
損失額に置き換えるとしたら、
- 1万通貨で5pipsのスリッページ:500円
- 10万通貨で5pipsのスリッページ:5,000円
となります。
先ほど説明したスキャルピングのように取引回数が多くなるトレード手法を使っていると、スリッページは利益額に大きく響いてきます。
また、運用する金額が高くなるほどスリッページによる損失額が大きくなる点も見過ごせません。
スリッページの発生は時にトレーダーにとって有利に働くこともありますが、意図せず多額の損失を被ることがないよう事前に対策しておく必要があります。
【スリッページの防ぎ方①】許容範囲を設定する
スリッページ対策の1つ目は、トレーダー自身で許容範囲を設定することです。
FX会社の多くはスリッページの範囲を指定することができるため、事前に「1pips以上滑った場合は約定しない」など設定しておけば意図しない注文を防ぐことができます。
特に取引ロットを引き上げたばかりだと、含み益だけでなく含み損もそれまでより大幅に変動します。
そこへスリッページが重なれば想定外の含み損を抱えてしまう可能性があり、資金面だけでなくメンタル面の負担も計り知れません。
心理的に追い詰められてしまうと正常な判断力を失い、不要な箇所で損切りを繰り返したり、分析不足のままポジションを取るといったミスを犯しがちです。
こういった事態を避けるためにも、スリッページ範囲をあらかじめ設定しておくことが大切になります。
ただし、スリッページの許容範囲を設定する際は許容幅を狭くし過ぎないよう注意しなければいけません。
FXでは相場が予測と反対側に動いた時のためにストップロス注文を入れ、損失を最小限に抑えます。
この場合に許容範囲を狭く設定し過ぎていると、ストップロスの約定ができずに損切り額が増えてしまうことがあるのです。
スリッページの許容範囲の目安としては、以下のような設定がおすすめです。
値動きが小さい場合 | 0~0.3pips |
値動きが大きい場合 | 5~10pips |
スキャルピングで取引している場合 | 5pips |
ストップロスなど絶対に約定させたい場合 | 0.3pips |
値動きが激しい時に許容範囲を狭くしていると注文しても約定できない、となってしまうため相場の状況に応じて柔軟に対応しましょう。
【スリッページの防ぎ方②】指値注文を使う
2つ目の対策として、スリッページが発生しにくい注文方法を利用するという手もあります。
スリッページは成行注文だと発生しやすく、指値注文だと発生しにくい傾向にあります。
- 成行注文:スリッページが起こりやすい
- 指値注文:スリッページが起こりにくい
成行注文はトレーダーが現在の為替レートですぐに注文を出したい時に使われますが、注文から約定までに時間がかかるためスリッページが起こりやすいのです。
一方、指値注文は指定した価格に達した瞬間に約定されます。そのため、成行注文と比較するとスリッページの発生確率が低くなります。
指値注文でもスリッページが発生する可能性は0%ではありませんが、より安全な方法といえるでしょう。
この特徴を活用し、相場変動が激しく値動きが大きい時は指値注文を行うようにするとスリッページを抑えることが可能です。
ただし、同じ指値という言葉が使われていても逆指値の場合はスリッページが発生しやすいため注意してください。
逆指値は指定した価格に達すると成行注文が実行されてから約定されるので、注文の際にはタイムラグが発生しスリッページ対策にはなりません。
また、指値注文や逆指値注文は為替レートが注文価格に達しなければ注文が行われない点も注意が必要です。
成行注文なら注文ボタンを押した時点でFX会社に注文が送られますが、指値注文は相場の動きを予測してレートを指定しなければいけません。
注文を入れただけでは約定されないため、値動きをよく確認して注文価格を決めましょう。
【スリッページの防ぎ方③】相場変動が激しいタイミングを避ける
スリッページを防止する3つ目の対策は、値動きが激しいタイミングでの売買を避けることです。
相場に動きがある時は売買のチャンスになりますが、値動きが激し過ぎるとどんなに約定力が高いFX会社でも取引できなくなることは有り得ます。
特に世界的に経済が混乱しているような場合、どのFX会社であっても約定は困難です。
世界規模で大きな相場変動があったタイミングの例としては、
- 2008年:リーマン・ショック
- 2010年:ユーロ危機、フラッシュクラッシュ
- 2015年:スイスフランショック
- 2020年:OPECショック、コロナパンデミッククラッシュ
などが挙げられます。
こういった大変動が起きている時にポジションを保有しても値動きの予測は不可能で、利益を上げるより損失を被るリスクの方がはるかに高くなります。
そのため、価格が暴落している状況下ではFX会社の約定力の高さに関わらずトレードを控えるようにしましょう。
約定が難しいタイミングで強引に注文を入れて失敗しても、必ずしもFX会社の責任とはいえません。投資家自身がリスクを判断することが大切です。
約定力が高いFX会社選びで見るべきポイント
ここまで約定力について詳しく説明してきましたが、実際にどれくらいの約定力があるかはFX会社によって異なります。
FX会社ごとに約定力を比較したい場合は、
- サーバーの安定感
- カバー先の金融機関の多さ
この2つを確認しておきましょう。
サーバーの安定感
約定力の高いFX会社を選びたいなら、サーバーの安定感は非常に重要です。
FX会社には多数のトレーダーから注文が入るので、サーバーが混雑すると注文の処理に時間がかかります。
この時、サーバーの処理能力が低いFX会社は為替相場が変動した際にサーバーが重くなり、頻繁にスリッページが発生してしまうことがあります。
また、サーバーが不安定だとシステムエラーを起こして約定そのものができなくなるリスクも抱えているのです。
そのため、サーバーの処理能力が約定力の高いFX会社を選ぶポイントになります。
サーバーの安定感については多くの国内FX会社が通常のトレードに問題ない水準まで達しているので、スイングトレードによる長期取引が主体ならGMOクリック証券やDMM FXをはじめ、国内大手FX会社を選んでおけばストレスに感じることはほとんどないでしょう。
ただし相場変動はいつ起きるかわからないため、できるだけ約定力が高いFX会社を選んでおくに越したことはありません。
特にスキャルピングやデイトレード、高額資金の運用を検討しているなら以下の3業者がおすすめです。
- FXプライムbyGMO
- マネーパートナーズ
- SAXO業者
FXプライムbyGMOとマネーパートナーズはどちらも非常に強固なシステムを持ち、GMOインターネットグループに属するFXプライムbyGMOに至ってはサービス開始以来サーバーダウンを起こしたことすらありません。
SAXO業者については特定のFX会社のことではなく、デンマークのSAXO銀行から提供されたシステムを導入している業者を指します。
SAXO銀行は世界的な有力銀行で、世界100ヶ国以上に拠点を持つ金融グループです。国際的なネットワークによって世界レベルの技術を結集させた強力なシステムを構築しており、急激な相場変動が起こっても安定した約定力を保てる強みがあります。
ただしSAXOシステムを導入している国内FX会社はkakakuFX、ヒロセ通商、DMM.com証券の3社しかなく、選択肢が少ない点がネックです。
カバー先の金融機関の多さ
また、約定力を重視したFX会社選びではカバー先の金融機関の多さも重要になります。
トレーダーが注文を出してから約定するまでには、
- トレーダーがFX会社に「買い」や「売り」の注文を出す
- FX会社がカバー先に注文を流す
- カバー先が市場のレートを参考に約定レートを提示する
という流れになっていると「FXの約定力とは?」で説明しました。
このような複雑なシステムを取っている理由はFX会社側のリスクヘッジにあります。
FX会社がトレーダーから注文を受けた時、そのままでいると為替変動のリスクを負うことになってしまいます。そこでリスクを回避するために銀行や証券会社などに同じ注文を出し、リスクヘッジを行っているのです。
さらにFX会社はカバー先が提示している為替レートを参考に自社レートを設定し、手数料を上乗せしてトレーダーに提示することで収益も上げています。
ですが、トレーダーから一度に大量の注文が発注された場合、カバー先との取引が成立しないケースがあります。
カバー先との取引ができないとFX会社はリスクヘッジができなくなるため、約定拒否によりトレーダーからの注文を断る事態が起こるのです。
約定拒否の可能性を低くするためには、多くのカバー先金融機関と提携しているFX会社を選ぶことが重要になってきます。
カバー先が1つしかないようだと、金融機関に何らかのトラブルが発生した際に注文ができなくなってしまいます。
しかし10社や15社など多くの提携先があればトレーダーからの注文をカバーしやすくなり、スリッページや約定拒否の確率が下がります。
FX会社の約定力をチェックする時の注意点
FX会社の約定力を判断する要素について説明しましたが、比較の際に注意したいポイントも押さえておきましょう。
FX会社の約定力を比較するにも、通貨ペアが違っていたり取引タイミングが全く異なっていたりすれば同一の条件とはいえません。
同じ通貨ペアで同じ時間帯、同程度のボラティリティなど、おおよそ同じ条件下で比較することで判断の精度が上がります。
通貨ペアによって約定力は変わる
まず、約定力は通貨ペアによって大きく変わります。
- 取引量が多い通貨ペア:約定しやすい
- 取引量が少ない通貨ペア:約定しにくい
このような特徴があるため、TRY(トルコリラ)やZAR(南アフリカランド)などのマイナー通貨は約定しにくくなります。
約定力の高さを判断する場合は、USD/JPY(ドル円)やEUR/USD(ユーロドル)などのメジャー通貨で確認しましょう。
約定力は取引タイミングに左右される
さらに約定力は常に一定ではなく、タイミングによって細かく変動している点も注意が必要です。
例えば時間帯でいうとトレーダーの数が多い夜間よりも日中の方が約定しやすい傾向にありますし、経済指標発表や要人発言、政治情勢の変化など、為替レートに大きな影響を及ぼす出来事があると相場の変動が激しくなります。
そして経済指標発表などがあれば、関係する通貨ペアの取引量も急激に増加します。
約定力が通貨ペアの取引量に左右されることは「通貨ペアによって約定力は変わる」で説明した通りで、取引量の急激な増減が発生するタイミングだと約定力も不安定になりがちです。
また、各為替市場がオープンする時間帯や毎月5日・10日・15日・20日・25日・30日は通貨ペアの動きが変わることもあります。
相場が普段と異なる動きを見せるタイミングを見極め、約定力への影響を判断しましょう。
約定スピードと約定率の両方を見る
FX会社の約定力を見る際には、約定スピードと約定率の両方をチェックすることも大切です。
約定スピードと約定率のどちらか一方だけが高くても、約定力があるとは言い切れません。
なぜなら注文発注から約定までのスピードが速くても約定率が低い、あるいは逆に約定率は高いものの成立までに時間がかかる、といったケースが考えられるためです。
「約定力の高さを判断する方法」でも説明したように、約定力はスピードや約定率、スリッページの頻度などを含めた総合力で判断する必要があります。約定力の高いFX会社を選ぶ際は、
- 約定までのスピード
- スリッページの頻度
- 約定拒否の頻度
- 指定レートでの売買の可否
- サーバーの安定感
- カバー先の金融機関の多さ
こういった複数の要素を比較検討するようにしましょう。
FX会社が公表している「約定率」にスリッページは含まれない
FX会社の約定力を比較する際には、「約定力」と「約定率」の違いについても注意しなければいけません。
混乱しやすい部分なのですが、約定力と約定率は全く別の意味になります。
簡単にいうなら、
- 約定力:総合的な約定能力
- 約定率:約定が成功した確率のみを集計したデータ
ということです。
約定率は、約定拒否や価格が再掲示されなかった注文の割合として使用されることが多く、スリッページが発生したかどうかは含まれていません。
つまり約定率では、「約定はしたものの5pips以上滑った」ケースなども集計されている可能性があるのです。
約定率について確認する際は約定力との違いを理解した上で、集計方法も忘れずチェックしてください。
約定力が高いFX会社でトレードするメリット
約定力が高いFX会社でトレードするメリットは、FXによる利益を伸ばしやすくなることです。
約定力が低いFX会社で取引をしていると、
- 絶好のトレードチャンスだったのに約定拒否で注文が成立しなかった
- スリッページが起きて約定レートが滑り損益でマイナスになってしまった
などトレーダーにとって不利なトレードになってしまうことがあります。
しかし約定力が高ければ、
- 経済指標発表時でも安定した約定率でチャンスを逃さない
- スリッページが発生しないので不要な取引コストがかからない
といった環境でトレードに打ち込むことができます。
スプレッドは、ほとんどの手数料を無料化しているFX会社にとっての実質的な手数料にあたります。
そのため、スプレッドの狭さと約定力を両立しているFXプライムbyGMOのようなFX会社もありますが、一般的にはスプレッドが狭い=手数料が低いFX会社は約定力まで力を入れられず、スリッページの発生率も高くなる傾向にあります。
ですが、スリッページが頻発するようではいくらスプレッドが狭くても意味がありません。
なぜならスリッページによってトレーダーが意図しない約定レートで取引を強いられることになれば、本来得られたはずの数pips分の利益は消えてしまうからです。
そうなると、スプレッドと合わせたトータルコストで見た時には結局割高になってしまいます。
だからこそ、FXによる利益を得やすくなることがスリッページが少なく、約定力が高いFX会社を選ぶメリットといえるでしょう。
約定力が高いFX会社はどんな人におすすめ?
約定力の高さはどんなトレードスタイルでもマイナスになることはありません。
ただ、これまでにも説明してきたように、約定力が高いFX会社はスキャルピングやデイトレードなどの短期売買を行うトレーダーに特におすすめです。
短期売買では約定スピードと約定率、スリッページまで含めた総合的な約定力が利益を大きく左右します。サーバーが強固でスリッページが少ないFX会社を選ぶことで、取引コストを最小限に抑えることができるのです。
ただし、約定力が高いFX会社が必ずしもスキャルピングを許可しているとは限りません。
記載がなければOKというわけでもなく、約隷に一文のみ短期売買禁止という文言が書かれているケースも少なくないため注意が必要です。
約定力の高いFX会社を選ぶ際は公式にスキャルピングが認められているかどうかもよく確認してください。
- スキャルピングで稼ぎたい
- 1回のトレードで運用する資金が大きい
- 経済指標発表でも滑らずトレードしたい
- スリッページにストレスを感じてしまう
など、約定力の高さを求める理由は人それぞれです。いずれかひとつでも当てはまるなら約定力の高いFX会社を利用することは非常に価値があるでしょう。
中には「約定力で選ぶおすすめFX会社ランキング」で紹介したFXプライムbyGMOのように、高い約定力にスキャルピング公認、業界最狭水準のスプレッドが揃ったFX会社もあります。
プロトレーダーも認めるほどの約定力なら、短期売買を行うトレーダーはもちろん、中・長期型のトレーダーまでおすすめできます。
まとめ
FX会社を決める時にはスプレッドやスワップポイントが注目される反面、約定力を重視するトレーダーはまだまだ少ないのが現状です。
しかし約定力が低いとトレード機会の喪失やスリッページによる取引コストの拡大など、大きな損失を被ることになります。
トレードチャンスがいつやってくるか、約定拒否やスリッページがいつ発生するかは誰にもわからないため、少しでも約定力の高いFX会社を普段から利用することが大切です。
約定力の高さもまたスプレッドやスワップポイントと同じく取引コストを左右することを理解してFX会社を選びましょう。