FXのトレードをすると、取引がどのように成立しているのか、疑問に思うことがあります。
インターネットを介して行われているので、取引相手の顔はわかりませんし、FX業者が何をしているのかもよくわかりません。
ただ、FXにおいてどのような取引が行われているのかを知ることは、今後FXをする環境を整える上で非常に重要です。
そこで今回は、FXの相対取引と取引所取引について、わかりやすく解説します。
FXの相対取引とは?
相対取引とは、仲介者を挟まずに、売り手と買い手が直接的に行う取引のことです。
このように聞くと、トレーダー同士の出した注文が合えば、取引が成立するように思えますが、FXの相対取引の場合、トレーダーの取引相手はFX業者です。

出典:SMBC日興証券
つまり、トレーダーが買いポジションをもつと、FX業者が同じレートで売りポジションを持つことになります。
相対取引は、このような仕組みになっているため、トレーダーが利益をあげれば業者が損をし、トレーダーが損を出せば、業者の利益となる構図です。
この構図ではトレーダーと業者の利益相反となり、業者が悪意を持ってトレーダーの注文を約定しなかったり、発注価格と大きく離れたレートで約定させるなどの行為が問題視されています。
しかし、一般的にFX業者は保有するポジションに対して、同量の逆ポジションを保有することでリスクをヘッジしていると言われており、トレーダーにとって不利にならない公正な取引環境が整えられてきました。
相対取引と取引所取引の違い
トレーダーとFX業者が直接取引をすることを、相対取引といいます。
店頭取引という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれえませんが、相対取引と同じ仕組みを指します。
一方、トレーダー同士の注文を取引所でまとめて、条件が合致する注文どうしを成立させる取引が、取引所取引です。

出典:インヴァスト証券
FXでは、「くりっく365」が取引所取引であり、その他のFX業者で行われる取引は、ほとんどが相対取引です。
相対取引と取引所取引の主な違いは以下の通りです。
- レートの決定方法
- 約定力の違い
- 顧客資金の管理方法
- スプレッド
それぞれ解説します。
レートの決定方法
相対取引の場合、取引をするFX業者が任意で為替レートを決定し、トレーダーに提示しています。
FX業者によって提示レートに多少のばらつきがあるのはこのためです。
一方、取引所取引では、マーケットメイカーとなる6社が提示するレートを合成し、最適なレートを提示しています。
マーケットメイカーとなる6社は以下の通りです。
- コメルツ銀行
- ゴールドマン・サックス証券株式会社
- ドイツ証券株式会社
- 野村證券株式会社
- バークレイズ銀行
- 三菱UFJ銀行
くりっく365のレートは東京金融取引所にて提示されます。
そのため、FX業者が自由な価格提示をする相対取引よりも、取引所取引の方がより公正なレートを提示しているといえるでしょう。
約定力の違い
約定力とは、顧客の注文を成立させる力のことです。
FX業者によって約定力は異なり、構築しているシステムや利用している取引ツールなどにより差が出ます。
約定力がないと、トレーダーが発注したレートと離れたレートで約定してしまう「スリッページ」が発生します。
スリッページは不利な方向に発生することもあり、不確定な取引コストとなりますのでトレーダーとしては避けたい事象です。
取引所取引はスリッページが発生しづらい
取引所取引では、6社のマーケットメイカーの提示レートを合成し、取引所で取引を成立させているため、スリッページが発生しづらい環境にあります。
また、不利な方向のスリッページをトレーダー側が拒否する機能もありますし、有利なスリッページを無制限に受け入れることもできますので、トレーダーとしては安心して取引できる環境といえるでしょう。
相対取引はスリッページが発生することもある
相対取引では、トレーダーとFX業者との取引であるため、仕組み上、業者側が約定を拒否したり、スリッページを発生させたりできるようになっています。
ただ近年、約定力を売りにした業者もあり、多くの口コミでも高評価を得ている業者が増えてきました。
トレーダーとして、約定力の高い業者の見極めは非常に重要です。
顧客資金の管理方法
相対取引では、顧客が預け入れた資金(証拠金)は、FX業者が管理します。
ただ、預け入れた資金は全額信託保全されることが多く、仮にFX業者が破綻してしまっても、顧客資金は全額返却される仕組みが整備されています。
一方、取引所取引では、預け入れた顧客資金は東京金融取引所に全額預託することが義務付けられています。
そのため、取引所取引サービスを提供している業者が破綻しても、原則保全される仕組みです。
スプレッド
相対取引のスプレッドは、多くの業者が固定で提供していますが、取引所取引のスプレッドは、基本的に変動制です。
また、取引所取引と比較して、相対取引の方がスプレッドが狭いことが多いため、取引コストを抑え、安定させることを考えると、相対取引のほうがおすすめといえます。
相対取引を利用するメリット4つ
相対取引の主なメリットは、以下の4つです。
- 取り扱い通貨ペアが多い
- スワップポイントが自由
- スプレッドが狭い
- 少額取引が可能
それぞれ解説します。
取り扱い通貨ペアが多い
相対取引を提供しているFX業者は、豊富な通貨ペアを取引できます。
サクソバンク証券やIG証券では、100種類以上の通貨ペアを取引でき、あらゆる場面の取引機会をつかめます。
スワップポイントが自由
相対取引では、レート同様、スワップポイントもFX業者が自由に決められます。
そのため、FX業者によってスワップポイントが異なり、スワップポイントを重要視しているトレーダーは、スワップポイントの設定が大きい業者を選択可能です。
スプレッドが狭い
すでにお伝えした通り、相対取引はスプレッドが狭いです。
特に近年は、スプレッド競争が激化し、より狭いスプレッドをいかに提供するかという業者の意欲を感じさせます。
通常時のスプレッドが広くてもキャンペーン開催中に狭いスプレッドを提供する業者もあり、トレーダーの選択肢が広がっています。
少額取引が可能
取引所取引では、1万通貨単位でしか取引できませんが、相対取引は、1万通貨より少額の取引が可能です。
少額取引では、1,000通貨単位の取引が一般的ですが、100通貨単位で取引可能なマネーパートナーズのnano口座や、1通貨単位の取引可能なSBI FXトレードなどもあります。
FXに慣れることや、リスクを取らない取引が目的であれば無料デモ口座もありますが、自己資金を投じて、その増減を見つつ取引できる本番口座の方が、より実戦的な学びを得られるでしょう。
相対取引のデメリット
相対取引の主なデメリットは、以下の2つです。
- 取引の透明性
- 業者の見極めが難しい
それぞれ解説します。
取引の透明性
相対取引は、FX業者の自由度が高いため、その恩恵をトレーダーが受けられるというメリットがあります。
一方、FX業者がレートの提示をしたり、注文を約定させたりするため、不正な操作が行われる可能性があります
一般的に、相対取引では以下のような操作が可能だと言われています。
スリッページ誘発サーバーへの移行
特に利益をあげているトレーダーの口座を、スリッページを誘発させるようなサーバーに移行し、収益機会を奪います。
約定拒否やリクオート
約定拒否とは、トレーダーの注文を約定させないことで、リクオートとは、注文を約定させずに、FX業者側からレートを再提示することです。
トレーダーにとっては、機会損失または不利なレートでの取引となります。
ストップ狩り
意図的にレートをずらして、ストップロス(損切り)注文が集中している価格帯にレートを到達させることで、トレーダーに損失を確定させる行為です。
これらは、トレーダーとFX業者が利益相反関係である相対取引だからこそ行われる行為とも考えられます。
業者の見極めが難しい
トレーダーとFX業者が利益相反であり、FX業者側の自由度が高い相対取引であるがゆえに、利用するFX業者の見極めは非常に重要です。
相対取引を扱っているおすすめのFX会社3つ
相対取引は、ここまで解説したとおり、FX業者が任意でレートやスプレッドを変更できる上に、約定も業者が行います。
つまり、信用できる業者であるかどうかの判断が肝になります。
相対取引を扱っているFX業者を選定する際は、約定力やスプレッドなどの細かな情報開示がされているかどうかを確認しましょう。
情報開示に力を入れているFX業者は増えていますが、中でもおすすめのFX業者は次の3社です。
- ヒロセ通商
- OANDA Japan
- サクソバンク証券
それぞれ紹介します。
ヒロセ通商

出典:ヒロセ通商
ヒロセ通商はネット上の口コミや評判んが非常に高い、人気のFX業者です。
ヒロセ通商が提供するFXサービス「LION FX」は、平均約定速度3/1000秒~5/1000秒、最速1/1000秒(2020年7月時点)という高速約定を実現しています。
また、各トレーダーの取引環境に順応すべく、様々なデバイス、用途でトレード可能な取引ツールを提供していることでも、高評価を得ています。
インストール型やウェブブラウザ型、Windows版やMac版、スマホアプリなどを取り揃えていますので、自分に合ったツールを利用しましょう。
OANDA Japan

出典:OANDA Japan
OANDA Japanは世界7都市に拠点を構え、それぞれの国の金融ライセンスを取得し運営しているグローバルなFX業者です。
OANDA Japanが提供している取引ツールは、世界中のトレーダーが愛用するMT4やTrading Viewで、多彩な分析ツールを搭載し、高度な分析が可能です。
見せかけの低スプレッド争いをせず、約定力を高めることに精力を注ぐことで、顧客の取引コストを最大限に抑えることを考えています。
約定までにかかった時間やスリッページの発生について、毎週データを開示しており、透明性が高く、公正な取引環境の提供に尽力していることがうかがえます。
実際にOANDA Japanのサーバーでは、95%の注文が1/1000秒以内に約定し、1/2秒以内に全ての注文が約定しており、非常に優秀な約定力をもったFX業者であるといえるでしょう。
サクソバンク証券

出典:サクソバンク証券
サクソバンク証券は、デンマークのコペンハーゲンに本社を構えるオンライン銀行「サクソバンクA/S」の100%子会社です。
外資系であり、馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、サクソバンク証券は日本の金融庁の許可を得て、日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会に加入し運営している国内FX業者です。
信託保全で顧客の資産を分別管理しているため安心して取引に集中できます。
サクソバンク証券は、2019年に(株)バリュー・アップがFX企業5社を対象に行った、アメリカ雇用統計発表時の総合約定力調査で、総合約定力とベストレート獲得回数で第一位を獲得した実績があります。
アメリカ雇用統計の発表時は、レートが激しく上下動し、スプレッドが広がったりスリッページが発生したりしやすいタイミングです。
サクソバンク証券は、NDD方式という透明性の高い取引方法を採用している国内では数少ない業者で、大口取引や短期取引のスキャルピングも可能にしています。
取引所取引(くりっく365)が利用できるFX会社
取引時取引は、東京金融取引所を通じて取引をするサービスなので、基本的にはどのFX業者利用しても取引環境は同じです。
ただ、取引ツールの使用感などに違いがありますので、確認しておきましょう。
取引所取引(くりっく365)を利用するうえで、おすすめのFX業者は以下の3社です。
- GMOクリック証券
- FXブロードネット
- 外為オンライン
それぞれ紹介します。
GMOクリック証券

出典:GMOクリック証券
GMOクリック証券は、FX取引高世界第一位(ファイナンス・マグネイト社調べ2020年1月~2021年12月)を誇る人気のFX会社です。
「より安く、より使いやすく」の理念で、トレーダーの利益を追及した取引環境を提供しています。
顧客資金の信託保全や即時入金サービス、スマホでできるスピード本人確認など細かなところまで行き届いたサービスも人気の理由です。
FXブロードネット

出典:FXブロードネット
FXブロードネットは、1993年から運営を開始したFXサービス会社で、裁量取引の他に、初心者でも簡単な設定で始められるトラッキングトレードという自動売買サービスも提供しています。
トラッキングトレードは、取引所取引にも利用できるため、相場と向き合って取引する時間がないという方も参入しやすいといえます。
提供している取引ツールは、インストール型やウェブブラウザ型があり、スマホアプリはiPhoneとAndroidにも対応しているため、デバイスを選ばず取引可能です。
外為オンライン

出典:外為オンライン
口座開設数で国内トップレベルの自動売買システムに定評のある、ISグループが運営するFX業者です。
とてもわかりやすいプラットフォームで、始めての取引でも戸惑うことなく始められるでしょう。
外為オンラインの自動売買システム「iサイクル2」は、トレンドの追従や転換の察知ができるほか、トレンドのないレンジ相場にも対応できます。
取引所取引にも利用できるので、自動売買で取引所取引をしたい方におすすめです。
まとめ
今回は、相対取引について、詳しく解説しました。
相対取引は、FX業者による公正かつ透明性の高い取引環境の提供が重要です。
どのFX業者を選ぶのかによって、収益に差が出るほどの違いがありますので、慎重に検討しましょう。
また、取引所取引(くりっく365)は、スプレッドや約定力に差はありませんし、東京金融取引所を通じた取引ですのでFX業者による介入もありません。
FX業者の選定に迷ったら、取引所取引を利用することも検討するとよいでしょう。
(監修:牧野章吾)