FXで利益を得るには2種類の方法があります。
一つは価格変動をチャンスと捉えて積極的に売買益を狙うキャピタルゲイン投資、もう一つは金利差収入であるスワップポイントをコツコツ積み上げていくインカムゲイン投資です。
今回はコツコツ利益を積み上げたいインカムゲイン投資志向の方に向けて、現在高水準のスワップポイントを受け取れる「メキシコペソ/円」の運用ポイントを発信していきます。
- メキシコペソ/円って何?
- メキシコペソ/円を運用する上でのポイントは?
- メキシコペソ/円の今後の見通しは?
- メキシコペソ/円の運用に適しているFX業者は?
このような疑問をお持ちの方にこそ、読んで頂きたい内容となっております。
メキシコペソ/円とは
メキシコペソ/円とは、メキシコの通貨である「ペソ」の日本円に対する価値です。
FXの世界では「メキシコペソ/円」、もしくは英語で「MXN/JPY」と表記されます。(以下、メキシコペソ単体を表す場合は「メキシコペソ」、通貨ペアを表す際は「メキシコペソ/円」と表記します。)
出典:みんかぶFXより(2020/10/31時点)
メキシコペソ/円の見方ですが、チャートを見ると2020年以降5円ほどになっています。
つまり1メキシコペソは5円ほどの価値があるということです。
メキシコペソの価値が上昇すれば、1メキシコペソを得るためにはより多くの円が必要になりますから、チャートは上方向に動きます。
反対にメキシコペソの価値が下落すれば、1メキシコペソを得るためにはより少ない円で済むようになるので、チャートは下方向に動きます。
足元ではチャートは緩やかに下落していますが、1メキシコペソと交換するために必要な円が少なくなっていることを示します。つまり、メキシコペソ安なのです。
メキシコペソ/円の特徴
メキシコペソ/円の特徴は以下の4つです。
- 高スワップ通貨(高金利通貨)
- 少額保証金で運用できる通貨
- 変動の激しい通貨
- 米国の影響を受ける通貨
一つずつ詳しく解説していきます。
高スワップ通貨(高金利通貨)
メキシコペソ/円の代表的な特徴として、高金利通貨であることが挙げられます。
金利は各国政府が設定している政策金利の水準で確認できます。以下、メキシコと主要国が設定している政策金利をまとめたものです。
国名 | 政策金利 |
---|---|
日本 | -0.10% |
ドイツ フランス イタリア |
0.00% |
イギリス | 0.10% |
アメリカ カナダ |
0.25% |
メキシコ | 4.00% |
※2021/04/08時点
ご覧いただくと分かるように、直近の主要国の政策金利はかなり低水準であるのに対し、メキシコは4%とかなり高い水準にあります。
預金金利は政策金利を参照しているため、政策金利はその通貨を1年間保有していた場合にもらえる利子とも言えます。
米ドルでは1,000ドル保有しても1年で2.5ドルしかもらえませんが、メキシコペソであれば1,000メキシコペソ保有して40メキシコペソも利子で受け取ることができます。
また、政策金利が重要な理由は、インカムゲイン投資の要であるスワップポイントが、政策金利を基準に決定されるからです。
出典:SBI証券「スワップ金利表」(2020/10/31適用分 1単位当たり)
他の主要国通貨ペアと比べると、メキシコペソ/円のスワップポイントが高いことが分かります。
インカムゲイン投資を行うのであれば、メキシコペソ/円は有力な投資先の一つと言えるのです。
少額保証金で運用できる通貨
メキシコペソ/円の特徴として、必要保証金が最低水準であることも挙げられます。
FXで運用する通貨ペアを選ぶ際には、必要保証金にも注意しないといけません。以下の表を見ると、メキシコペソ/円の運用に必要な保証金はかなり低水準であることが分かります。
出典:SBI証券「必要保証金一覧」(2020/10/31適用分 1単位当たり)
米ドル/円やユーロ/円など、先進国通貨の運用は最低でも40,000円ほど保証金が必要であるのに対し、メキシコペソ/円は20,000円ほどで済みます。
保証金が少額で済むため、運用を開始するハードルが低いことから、メキシコペソ/円はFX初心者に向いている通貨ペアだと言えるでしょう。
変動の激しい通貨
メキシコペソ/円は、他の主要通貨ペアと比べて変動が大きいことで知られています。代表的な通貨ペアである米ドル/円とユーロ/円と比べてみましょう。
出典:Bloombergより(2020/10/31時点)
上のチャートは2020年の米ドル/円(青色)、ユーロ/円(赤色)、そしてメキシコペソ/円(オレンジ色)の動向を示しています。
チャートを見て頂くと分かるように、メキシコペソ/円の変動幅は他の2通貨ペアと比べると大きいことが分かります。
キャピタルゲイン投資であれば、変動の大きさは売買益を狙えるチャンスの多さを示すので、投資先として有力な通貨ペアになるでしょう。
とは言え、リスクが高いことも意味しますので、メキシコペソ/円の運用は慎重に行うべきです。
米国の影響を受ける通貨
メキシコペソの特徴として、米国経済の影響を強く受けることが挙げられます。
これは、メキシコの輸出額の8割を米国が占めているからです。
出典:経済産業省「中南米の経済概略」
米国経済が落ち込めばメキシコ製品を買う余力が落ちます。反対に米国経済が好調なら、より多くの商品をメキシコから買えるようになります。
つまり、米国経済とメキシコの貿易収支は同じ方向に動く、正の相関にあるということです。
出典:SBI証券より
上のチャートはメキシコペソ/円と、米国の代表的な株式指数であるNYダウの相対チャートですが、似たような動きをしていることが分かります。
米国の経済動向と連動する株式市場が、メキシコペソ/円とも連動しているのです。
メキシコペソ/円を運用する際は、メキシコの経済動向だけでなく米国の経済動向にも注視する必要があります。
スワップポイント目的の運用のポイント
メキシコペソ/円でスワップポイントを目的とした運用、つまりインカムゲイン投資をする際のポイントは3つあります。「時間分散」「銘柄分散」「機会費用の回避」です。
時間分散を行う
時間分散とは、時間を分けて投資することです。
100万円を一気に投資するのではなく、25万円を4回に分けたり、10万円を10回に分けたりして投資をすることです。
時間分散の最大の目的は平均取得単価を下げることです。
平均取得単価とは、商品を取得した際の1単位あたりの単価です。通常は売買手数料などの取得費用込みで計算されますが、今回は考慮しないものとします。
メキシコペソ/円が9.0円の時に1,000メキシコペソ、6.0円の時に2,000メキシコペソ取得したとします。
この場合、合計3,000メキシコペソを取得するために要した投資金額は21,000円(9,000+12,000)になり、平均取得単価は7.0円になります(21,000÷3,000)。
投資金額 | 平均取得単価 |
---|---|
1回目:1,000MXN×9.0円=9,000円 | 9.0円 |
2回目:2,000MXN×6.0円=12,000円 | 6.0円 |
合計:3,000MXN=21,000円 | 7.0円(1回目より2円引き下げ) |
最初は9.0円で取得しているため、メキシコペソ/円が9.0円以上にならないと利益になりません。しかし、平均取得単価を引き下げたことで、7.0円を上回れば利益が出るようになりました。より利益が出やすい状態になったのです。
時間分散を行うことで、高値で取得してしまうリスクを軽減することができます。
銘柄分散を行う
銘柄分散も代表的なリスク軽減策の一つです。
銘柄分散とは、投資先を複数もつことであり、各投資先の個別リスクを軽減することを目的としています。
個別リスクとは、各商品が持つ固有のリスクのことです。メキシコペソで言えば、メキシコの経済動向など、メキシコペソ特有の変動要因が挙げられます。
メキシコペソ/円の代表的な銘柄分散の投資先として、金関連銘柄があります。メキシコペソ/円と金の現物価格の推移を見てみましょう。
出典:SBI証券より
メキシコペソ/円と金価格は逆相関にあることが分かります。
つまり、両方に投資をしていた場合、一方が下落してももう一方の上昇でカバーすることができるのです。
このように、投資先を分散することで資産全体の下落幅を小さくすることができるので、複数銘柄への投資を検討することも重要だと言えます。
機会費用を回避する
スワップポイント目的のインカムゲイン投資は、長期的な保有を前提としています。
そこで注意して頂きたいのは、値上がり益の機会損失です。
出典:Bloomberg「MXN/JPY」より
例えば2020/9/30に、メキシコペソ/円が4.7704円の時に取得したとします。
そして2020/10/30ではメキシコペソ/円は4.9428円まで上昇していますから、およそ3.61%上昇していたことになります。
もし500万円分投資していたら18万円ほどの利益が獲得できたことになりますが、インカムゲイン投資なので売却はできません(現実にはできますが、目的に反します)。
そのため、資金の一部をメキシコペソ/円と同じような動きをする商品に投資しておけば、両商品が上昇しても、メキシコペソ/円を残しつつ、もう一方の売却でしっかりと利益を獲得できます。
このように、インカムゲイン投資を行いながら、相場の上昇による利益を獲得していくことも重要なのです。
メキシコペソ/円の今後の見通し
次に、メキシコペソ/円の今後の見通しについてお伝えしていきます。見通しを立てる上で重要になるのは、「経済指標」「米国経済」「スワップポイント」の3つです。
経済指標は回復を示す
メキシコペソ/円の見通しを立てる上で、メキシコ経済の動向を把握しておくことは極めて重要です。
経済動向は各種経済指標で確認できます。
メキシコの代表的な経済指標には「GDP」と「鉄工業生産」があります。
GDPはメキシコ経済全体の力を表しており、投資家が最も注目する指標の一つです。
出典:Investing.com「メキシコ GDP」
グラフを見ると分かるように、新型コロナウイルス感染拡大の影響でメキシコ経済は急落しましたが、そこから下落幅は縮小しています。
経済全体の力強さを表すGDPから見ても、メキシコ経済は急回復はしていませんが、最悪期からは脱却しつつあることが確認できます。
そして鉄工業生産ですが、この指標はメキシコの製造業・鉱業部門における生産動向を表しています。製造業と鉄工業はメキシコの要となる産業であり、GDPと同様にメキシコの景況感を示す指標になります。
出典:Investing.com「メキシコ 鉄工業生産」より
鉄工業生産を見ても、景気の下落幅が小さくなりつつあることが分かります。
両指標が示唆するところは、メキシコ経済は、緩やかではありますが回復に向かいつつあるということです。
メキシコ経済が上向けば、同国の通貨であるメキシコペソが買われる材料になるので、メキシコペソ/円の先行きはポジティブだと言えるでしょう。
米国経済の回復の恩恵が見込める
メキシコの経済指標に加えて、米国の経済指標にも注目する必要があります。先述したように、メキシコペソ/円は米国の経済動向の影響を強く受けるからです。
米国の代表的な経済指標には「GDP」「失業率」があります。
出典:Investing.com「米国 国内総生産(前四半期比)」
米国のGDPは前四半期比で急激な回復を遂げています。景気が即座に回復するとは言えないまでも、力強さが十分に残っていると判断できる値です。
そして失業率です。失業率は米国の雇用情勢を示す最も重要な指標であり、金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)が最重要視する指標です。
出典:Investing.com「米国 失業率」より
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、失業者は2020年の5月以降急増しました。
しかし8月をピークに徐々に落ち着きを取り戻しています。
コロナ前の水準とまでは言えませんが、雇用情勢は回復に向かいつつあると判断できます。
米国経済の底堅さは、同国と結びつきの強いメキシコ経済にもポジティブに作用すると思われます。
スワップポイントが減少する可能性がある
経済指標からメキシコ経済と米国経済の底堅さは確認できました。しかし、世界経済はコロナ前の水準にはまだまだ程遠いと言わざるを得ません。
世界各国で景気刺激策として、政策金利を引き下げる金融緩和政策を打ち出している中で、メキシコも同様に2020年に7回利下げを行っています。
世界でも類を見ない回数であり、メキシコが金融緩和に積極的だと判断できます。
今後メキシコは一層の緩和を打ち出す可能性は高く、政策金利の引き下げからスワップポイントの低下は視野に入れておくべきと言わざるを得ません。
とは言え、経済指標からは回復に向かいつつある状況は確認できるので、強く悲観する必要はないでしょう。
むしろ政府が緩和政策を打ち出した場合、メキシコペソ安になると思われるので、そのタイミングで運用を開始する戦略も有効だと思われます。
いずれにしろ、メキシコの金融政策には注目する必要があります。
メキシコペソ/円運用におすすめのFX業者4選
今ではFX業者は数多くありますが、取り扱っている通貨ペアの数や手数料の水準、そして発信するレポートの種類などFX業者によって強みとする分野は様々です。
最後に、メキシコペソ/円の運用におすすめのFX業者をご紹介いたします。
LIGHT FX

出典:LIGHT FX
メキシコペソ/円を運用するにあたってまず真っ先におすすめしたい業者は「LIGHT FX」です。
理由は単純で、数ある業者の中で顧客に提示するスワップポイントが最も高いからです。
FX業者名 | スワップポイント |
---|---|
LIGHT FX | 81円 |
ヒロセ通商(LION FX) | 80円 |
セントラル短資FX | 80円 |
みんなのFX | 71円 |
外為どっとコム | 70円 |
外貨ex byGMO | 60円 |
GMOクリック証券 | 60円 |
SBI FXトレード | 60円 |
※2022/1/6時点(※買ポジション10万通貨あたり)
実は業者が提示するスワップポイントは一律横並びではありません。業者によってスワップポイントが異なる理由は、単に戦略の違いによるものです。
スワップポイントを比較的低く設定し、その分レポートや取引ツールの充実を強みとする業者もあります。
「LIGHT FX」は、扱っているレポートの数や取引ツールの利便性は業界の中で平均的な立ち位置ですが、スワップポイントに力を入れているため、ほとんどの通貨ペアで提供するスワップポイントは業者の中で最高水準です。
FXによるインカムゲイン投資を行うのであれば、スワップポイントは当然多くもらえるに越したことはありませんよね。
インカムゲイン投資もキャピタルゲイン投資も行いたい方は、インカムゲイン投資の運用は「LIGHT FX」で行い、キャピタルゲイン投資の運用は別のFX業者で行うのも一つの有効な戦略だと思います。
外為どっとコム

出典:外為どっとコム
「外為どっとコム」の強みはとにかく売買手数料が安いことです。
FXでは売買手数料はスプレッドに反映されており、スプレッドの水準を見れば業者間の売買手数料の水準を確認できます。
「外為どっとコム」は多くの通貨ペアで業界最低水準のスプレッドを設定しているため、コスト競争力の強い業者と言えます。
積極的に売買を行うキャピタルゲイン投資家はもちろん、時間分散でメキシコペソ/円を買い足す機会が見込まれるインカムゲイン投資家にも、コストの低い「外為どっとコム」はオススメの業者と言えるでしょう。
ヒロセ通商

出典:ヒロセ通商
ヒロセ通商は取り扱っている通貨ペア数が強みの業者で、業界最高の50ペアを扱っています。
概ね25、多くても30通貨ペアを扱っている業者が多い中で、ヒロセ通商は投資先として倍の選択肢を提供していることになります。
選択肢の多さは、銘柄分散を検討する際に役立ちます。メキシコペソは変動の大きい通貨なので、銘柄分散を行う必要性が高い通貨です。
時間分散と同時に銘柄分散を行う方、もしくはリスクヘッジはもっぱら銘柄分散で行う方は、ヒロセ通商がおすすめの業者と言えるでしょう。
外貨ex byGMO

出典:外貨ex byGMO
GMOインターネットグループが運営する「外貨ex byGMO」は、メキシコペソ/円のスワップポイントはそこまで高いとは言えませんが、業界でも最低水準のスプレッドが強みの業者です。
取引のコストはトップクラスに安い業者といえるでしょう。
メインで使用する口座としても優秀な業者です。
おわりに
メキシコペソ/円は高いスワップポイントが期待できる投資先であり、インカムゲイン投資には最適と言えます。
メキシコの経済成長はコロナウィルスの影響で足踏みしているとは言え、長期的に見れば大きな成長の余地が残されている発展途上国です。
長期的には、メキシコ経済が一層の回復に向かえば、さらなる政策金利の引き上げによるスワップポイントの増加も可能性としては大いにあり得ると考えています。
しかし、価格変動リスクが大きいことも確かです。リスク軽減策として時間分散や銘柄分散を行うにしても、市場に張り付いて分析に長時間要するわけにもいきません。
最も肝要なのは、ご自身の目標にあった運用スタイルに適しているかどうかです。
インカムゲイン投資は、究極的には放置しているだけでも利益を獲得できるので、柔軟に運用スタイルを確立していくことができます。
ご自分にあった運用スタイルでメキシコペソ/円を運用し、コツコツ利益を積み上げていきましょう。