FXで利益を得るには2種類の方法があります。
一つは価格変動をチャンスと捉えて積極的に売買益を狙うキャピタルゲイン投資。
もう一つは金利差収入であるスワップポイントをコツコツ積み上げていくインカムゲイン投資です。
今回はコツコツ利益を積み上げたいインカムゲイン投資志向の方に向けて、高水準のスワップポイントを受け取れる「ロシアルーブル/円」の運用ポイントを発信していきます。
- ロシアルーブル/円って何?
- ロシアルーブル/円を運用する上でのポイントは?
- ロシアルーブル/円の今後の見通しは?
- ロシアルーブル/円の運用に適しているFX業者は?
このような疑問をお持ちの方にこそ、読んで頂きたい内容となっております。
ロシアルーブル/円とは
ロシアルーブル/円とは、ロシアの通貨である「ルーブル」の日本円に対する価値のことです。
FXの世界では「ロシアルーブル/円」、もしくは英語で「RUB/JPY」と表記されます。(以下、ロシアルーブル単体を表す場合は「ロシアルーブル」、通貨ペアを表す際は「ロシアルーブル/円」と表記します。)
出典:みんかぶFX(2020/12/11時点)
ロシアルーブル/円の見方ですが、チャートを見ると最近は1.4円ほどになっています。
つまり1ロシアルーブルは1.4円ほどの価値があるということです。ほとんど円と同じ価値ですね。
ロシアルーブルの価値が上昇すれば、1ロシアルーブルを得るためにはより多くの円が必要になりますから、チャートは上方向に動きます。
足元ではチャートが下落していますが、1ロシアルーブルと交換するために必要な円が少なくなっていることを示します。つまり、ロシアルーブル安なのです。
ロシアルーブル/円の特徴
ロシアルーブル/円の特徴は以下の4つです。
- 高スワップ通貨(高金利通貨)
- 少額保証金で運用できる通貨
- 原油価格と関連の強い通貨
- 地政学リスクのある通貨
一つずつ詳しく解説していきます。
高スワップ通貨(高金利通貨)
ロシアルーブル/円の代表的な特徴として、高金利通貨であることが挙げられます。
それも主要国の中でも最高水準です。
金利は各国政府が設定している政策金利の水準で確認できます。以下、G8諸国の政策金利をまとめてみました。
国名 | 政策金利 |
---|---|
日本 | -0.10% |
ドイツ フランス イタリア |
0.00% |
イギリス | 0.10% |
アメリカ カナダ |
0.25% |
ロシア | 4.50% |
※2021/04/08時点
ご覧いただくと分かるように、直近の主要国の政策金利はかなり低水準であるのに対し、ロシアは4.50%とかなり高い水準にあります。
預金金利は政策金利を参照しているため、政策金利はその通貨を1年間保有していた場合にもらえる利子とも言えます。
米ドルでは1,000ドル保有しても1年で2.5ドルしかもらえませんが、ロシアルーブルであれば1,000ロシアルーブルで45ロシアルーブルも利子で受け取ることができます。
また、政策金利が重要な理由は、インカムゲイン投資の要であるスワップポイントが政策金利を基準に決定されるからです。
出典:SBI証券「スワップ金利表」(2020/12/10適用分)
他の主要国通貨ペアと比べると、ロシアルーブル/円のスワップポイントが高いことが分かります。
南アフリカランド/円やトルコリラ/円の方が多くのスワップポイントがもらえますが、発展途上国で投資先として不安を感じる方も少なくないでしょう。
ロシアルーブル/円は、比較的安心して投資できる先進国通貨の中でスワップポイントが高い、という認識が適切です。
つまり、先進国通貨でインカムゲイン投資を行うのであれば、ロシアルーブル/円は有力な投資先の一つと言えるのです。
少額保証金で運用できる通貨
ロシアルーブル/円の特徴として、必要保証金が最低水準であることが挙げられます。
FXで運用する通貨ペアを選ぶ際には、必要保証金にも注意しないといけないのですが、以下にあるように、ロシアルーブル/円の運用に必要な保証金はかなり低水準であることが分かります。
出典:SBI証券「必要保証金一覧」(2020/12/10適用分 1単位当たり)
米ドル/円やユーロ/円など、先進国通貨の運用は最低でも40,000円ほど保証金が必要であるのに対し、ロシアルーブル/円は14,000円ほどで済みます。
保証金が少額で済むため、運用を開始するハードルが低いことから、インカムゲイン投資であればロシアルーブル/円はFX初心者に向いている通貨ペアだと言えるでしょう。
原油価格と関連の強い通貨
ロシアルーブル/円の特徴の一つとして、原油価格と連動する点があります。
出典:SBI証券「ロシアルーブル/円」
上のチャートは直近10年間のロシアルーブル/円と原油相場の相対チャートですが、概ね同じ動きをしていることが分かります。(青:ロシアルーブル/円 紫:原油)
つまり、原油相場とロシアルーブル/円は密接な関係にあり、原油相場が上昇するとロシアルーブル/円も上昇することを表します。逆も然りです。
同様の動きをする理由は、ロシアが世界屈指の原油産出国だからです。
原油価格が上昇すればロシアの貿易収支が改善され、ロシア経済が活性化されます。成長国通貨には資金が集まりますから、ロシア経済が成長すればロシアルーブルが買われます。
原油相場はロシアの経済成長を左右する大きな要因であり、同国の通貨価格にも影響を与えるのです。
地政学リスクのある通貨
ロシアには常に地政学リスクが付きまとうことにも注意が必要です。
地政学リスクとは、地理的な位置関係による軍事的・政治的な問題が与える相場への影響を指します。日本で言えば北方領土問題によるロシアとの対立などが該当します。
直近では旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突に加勢するなど、紛争問題が絶えないのもロシアの特徴と言えます。
このような地政学問題が発生すると、同国の経済停滞が意識され、通貨は売られる要因になります。
経済とは異なる要因で為替相場は変動することもあるため、ロシアの地政学リスクや政治問題については注意が必要だと言えるでしょう。
スワップポイント目的の運用のポイント
ロシアルーブル/円でスワップポイントを目的とした運用、つまりインカムゲイン投資をする際のポイントは3つあります。「時間分散」「銘柄分散」「機会費用の回避」です。
時間分散を行う
時間分散とは、時間を分けて投資することです。
100万円を一気に投資するのではなく、25万円を4回に分けたり、10万円を10回に分けたりして投資をすることです。
時間分散の最大の目的は平均取得単価を下げることです。
平均取得単価とは、商品を取得した際の1単位あたりの単価です。通常は売買手数料などの取得費用込みで計算されますが、今回は考慮しないものとします。
ロシアルーブル/円が2.0円の時に1,000ロシアルーブル、1.25円の時に2,000トロシアルーブル取得したとします。
この場合、合計3,000ロシアルーブルを取得するために要した投資金額は4,500円(2,000+2,500)になり、平均取得単価は1.5円になります(4,500÷3,000)。
投資金額 | 平均取得単価 |
---|---|
1回目:1,000RUB×2.0円=2,000円 | 2.0円 |
2回目:2,000RUB×1.25円=2,500円 | 1.25円 |
合計:3,000RUB=4,500円 | 1.5円(1回目より0.8円引き下げに) |
最初は2.0円で取得しているため、ロシアルーブル/円が2.0円以上にならないと利益になりません。しかし、平均取得単価を引き下げたことで、1.5円を上回れば利益が出るようになりました。より利益が出やすい状態になったのです。
時間分散を行うことで、高値で取得してしまうリスクを軽減することができます。
銘柄分散を行う
銘柄分散も代表的なリスク軽減策の一つです。
銘柄分散とは、投資先を複数持つことであり、各投資先の個別リスクを軽減することを目的としています。
個別リスクとは、各商品が持つ固有のリスクのことです。
ロシアルーブルで言えば、ロシアの経済動向や原油相場など、ロシアルーブル特有の変動要因が挙げられます。
ロシアルーブル/円の代表的な銘柄分散の投資先として、金関連銘柄があります。ロシアルーブル/円と金の現物価格の推移を見てみましょう。
出典:SBI証券
ロシアルーブル/円と金価格は逆相関にあることが分かります。(青:ロシアルーブル/円 紫:金)
つまり、両方に投資をしていた場合、一方が下落してももう一方の上昇でカバーすることができるのです。
このように、投資先を分散することで資産全体の下落幅を小さくすることができるので、複数銘柄への投資を検討することも有意義だと言えます。
機会費用を回避する
スワップポイント目的のインカムゲイン投資は、長期的な保有を前提としています。
そこで注意して頂きたいのは、値上がり益の機会損失です。
出典:Bloomberg「RUB/JPY」
例えば2020年9月28日、ロシアルーブル/円が1.3339円の時に取得したとします。
そして2020年10月27日ではロシアルーブル/円は1.3535円まで上昇していますから、およそ1.4%上昇していたことになります。
もし500万円分投資していたら7万円ほどの利益が獲得できますが、インカムゲイン投資なので売却はできません(現実にはできますが、目的に反します)。
そのため、資金の一部をロシアルーブル/円と似た動きをする商品に投資しておけば、両商品が上昇しても、ロシアルーブル/円を残しつつ、もう一方の売却でしっかりと利益を獲得できます。
このように、インカムゲイン投資を行いながら、相場の上昇による利益を獲得していくことも重要なのです。
ロシアルーブル/円の今後の見通し
次に、ロシアルーブル/円の今後の見通しについてお伝えしていきます。見通しを立てる上で重要になるのは、「経済指標」「政策金利」「スワップポイント」の3つです。
経済指標は回復を示す
ロシアルーブル/円の見通しを立てる上で、ロシア経済の動向を把握しておくことは極めて重要です。
経済動向は各種経済指標で確認できます。
ロシアの代表的な経済指標には「GDP」と「小売売上高」があります。
両指標の動向は、ロシアの中央銀行が政策金利を設定する際の判断材料になり、ロシアルーブル/円に直接的に影響していきます。
そこで、両指標の直近のデータを確認してみましょう。
下のグラフはロシアの月次国内総生産(GDP)を表しています。
出典:Investing.com「ロシア 月次国内総生産」
国内総生産はいわゆるGDPのことであり、ロシア経済の全体の力を表しています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響でロシア経済は下向き、そこから徐々に下落幅は縮小しています。
とは言え直近のデータでは回復がかなり緩やかになっており、前年通りの経済成長を遂げるまでに回復するにはまだまだ時間がかかることを示唆しています。
経済全体を表すGDPから見ても、ロシア経済は急回復してはいませんが、最悪期からは脱却しつつあることが確認できます。
そして小売売上高ですが、同指標はロシア経済の消費の活発度を示します。消費活動が活発であれば、それだけロシア経済の強さを示すことになります。
出典:Investing.com「ロシア 小売売上高」
直近データはGDPと同じような動きをしており、まだまだ消費活動が回復しているとは言い切れない状況にあります。
しかし、マイナス幅がかなり縮小されていることも確かです。景気の底入れは確認されつつあることが分かります。
このように、代表的な指標から見ても、ロシア経済の成長は徐々にではありますが回復しつつあることが分かります。
原油相場の大きな上昇は見込めない
ロシアルーブル/円は原油相場を連動して変動するとお伝えしました。ロシアが原油産出国であり、原油価格が同国の貿易収支に深く影響するからです。
そこで最近の原油価格の動向を見てみましょう。
出典:SBI証券「原油(WTI先物)」
上のチャートは原油の代表的な指標であるWTI原油先物価格を表しています。
コロナウィルスの影響で世界的に経済が停滞し、原油が使われなくなるとの懸念から原油相場は大幅に下落しました。
しかしそこからなんとか立ち直り、2021年4月現在は60ドル前後で落ち着いています。
ここがポイントなのですが、コロナウィルスの影響が落ち着いても、原油価格は上がることなく落ち着いてしまっているのです。
欧州や中国が2040年までにガソリン車からの脱却を宣言している中で、原油の需要は長期的に見て縮小されることが予想されます。
ロシア経済は原油に依存している限りは、急激な経済成長は見込めないでしょう。
スワップポイントが減少する可能性がある
現在のロシア経済を見る限り、今後スワップポイントが減少する可能性があります。
出典:Investing.com「ロシア 政策金利」
上のグラフは直近5年間のロシアの政策金利の推移を示しています。
もともと、主要国と比べるとかなり高い水準だったこともありますが、年々政策金利が低下していることが分かります。
政策金利は経済が下向いている時、金融緩和策の一環として引き下げられます。コロナウィルスの影響が各国で見られた時も、米国をはじめとする多くの国が政策金利を引き下げました。
ロシアも例外ではなく、今年に入ってからも政策金利を引き下げており、今後も続くと思われます。
そうすると政策金利を基準に決定されるスワップポイントは、同じように減少していくことが予想されます。
高いスワップポイントを前提に投資する場合、今後のスワップポイントの減少に留意する必要があるでしょう。
ロシアルーブル/円運用におすすめのFX業者2選
最後にロシアルーブル /円の運用におすすめのFX業者をご紹介いたします。
米ドル/円やユーロ/円のようなメジャーな通貨であれば、ほとんど業者で扱われていますが、ロシアルーブル/円を扱っている業者は多くありません。
その中でも、初心者におすすめの業者をお伝えいたします。
外為どっとコム

出典:外為どっとコム
最初におすすめしたい業者は、「外為どっとコム」です。
「外為どっとコム」は情報の充実度に力を入れている業者であり、初心者には心強い情報を高頻度に発信しています。
日々の為替相場や投資戦略に関する情報はもちろん、ロシアルーブル/円に特化した解説記事を設けているのは「外為どっとコム」のみです。
FX初心者でどのように運用すればいいか分からない方、経験はあるけどロシアルーブル/円にこれから挑戦しようという方におすすめの業者です。
SBI FXトレード

出典:SBI FXトレード
「SBI FXトレード」もロシアルーブル/円を扱っている数少ない業者の一つです。
ネット証券最大手のSBIグループが運営していることもあり、信頼度の高い業者になります。
「SBI FXトレード」でロシアルーブル/円を運用するメリットは、リスク分散が行いやすい点です。
ロシアルーブル/円の銘柄分散の投資先として、金関連銘柄が代表的だとお伝えいたしました。
金銘柄には、現物の金はもちろん、金を扱っている企業の株式や投資信託など様々な金融商品があります。
「SBI FXトレード」はグループ内に国内屈指のSBI証券を抱えていますから、幅広い金融商品をカバーしています。つまり、FXに限らない銘柄分散を行うには最適な業者なのです。
長期的にロシアルーブル/円投資を行うのであれば、グループ内にリスク分散先が豊富にある「SBI FXトレード」がおすすめの業者になります。
おわりに
ロシアルーブル/円は高いスワップポイントが期待できる商品であり、インカムゲイン投資の投資先として有力な通貨ペアだと言えます。
ロシアの経済成長はコロナウィルスの影響で足踏みしているとは言え、他の先進国と比較すると高い水準です。
しかし、地政学リスクや金利低下のリスクが懸念されているのは事実です。リスク軽減策として時間分散や銘柄分散を行うにしても、市場に張り付いて分析に長時間要するわけにもいきません。
最も肝要なのは、ご自身の目標にあった運用スタイルに適しているかどうかです。
インカムゲイン投資は、究極的には放置しているだけでも利益を獲得できるので、柔軟に運用スタイルを確立していくことができます。
ご自分にあった運用スタイルでロシアルーブル/円を運用し、コツコツ利益を積み上げていきましょう。