上げ相場と下げ相場とは?相場の判断基準から利益を出す方法まで解説

FXの基礎知識

株式投資の世界でよく「上げ相場」「下げ相場」という言葉を見聞きします。具体的にどのような相場を意味しているのでしょうか。

今回は、資産運用の初心者の方に向けて、上げ相場と下げ相場の意味や判断基準などについて詳しく解説していきます。

上げ相場と下げ相場

上げ相場とは

上げ相場とは、ある投資商品について言及するとき、その商品価格が持続的に上昇している相場のことです。上昇トレンドとも言います。

株式について言及する場合は、代表的な株式指数である日経平均株価が持続的に上昇している時に、株式の上げ相場と表現します。

FXであれば、米ドル円が上昇基調である場合に、米ドル円の上げ相場と表現します。

金融商品の変動要因はそれぞれ異なるため、株式・債券・為替・投資信託など全ての金融商品が同時に上昇する相場は存在しません。

そのため、上げ相場と表現するときにはどの相場について言及しているのかを明確にしないと混同します。

特段商品について言及しないときは、株式の上げ相場だと解釈されることが多いです。

下げ相場とは

下げ相場とは、ある商品について言及するとき、その商品価格が持続的に下落している相場のことです。下降トレンドとも言います。

株式について言及するのであれば、日経平均株価が持続的に下落している時に、株式の下げ相場と表現します。

FXであれば、米ドル円が下落基調である場合に、米ドル円の下げ相場と表現します。

また、上げ相場同様に、特段商品について言及しないときは、株式の下げ相場についての発言だと解釈されます。

上げ相場と下げ相場の判断基準

次に、上げ相場と下げ相場の判断基準について説明していきます。

上げ相場の判断基準

一般的に、次の方法で上げ相場を判断していきます。

  • 下値支持線が上昇基調にある時
  • 移動平均線が上昇基調にある時

下値支持線とは、過去の安値と安値を結んだ線のことで、価格が下げ止まるか反発する位置だと解釈されています。

下値支持線が上昇基調にある場合は、価格の下落は一時的な調整に過ぎず、その後価格は上昇していくことが予想されます。つまり、上げ相場なのです。

米国の代表的な株式指数であるNASDAQの直近1年間のチャートで確認してみましょう。

出典:SBI証券より

直近1年間のなかでの安値となる点を結んだところ、下値支持線は上昇基調にあることが分かります。

NASDAQは米国の株式指数ですから、米国株は上げ相場にあると判断できます。

加えて、移動平均線が上昇基調である時も上げ相場だと判断されます。

移動平均線とは、一定期間の価格から平均値を計算し折れ線グラフで表したものです。

価格の傾向や流れなど相場の方向性を見る手掛かりとなるため、移動平均線が上昇しているようであれば、上げ相場だと判断できます。通常5日、25日、50日分の平均値が使われます。

先ほどのNASDAQのチャートを見ると分かるように、移動平均線は上昇基調にあります。

つまり、移動平均線からみても、米国株は上げ相場にあると判断できるのです。

下げ相場の判断基準

次に下げ相場の判断基準をみていきましょう。

  • 上値抵抗線が下落基調にある時
  • 移動平均線が下落基調にある時

上値抵抗線とは、過去の高値と高値を結んだ線のことで、価格が上げ止まるか下落する位置だと解釈されています。

上値抵抗線が下落基調にある場合は、価格の上昇は一時的な反発に過ぎず、その後価格は持続的に下落していくことが予想されます。つまり、下げ相場なのです。

米ドル円の直近2年間のチャートで確認してみましょう。

出典:SBI証券

チャートをみても分かるように、米ドル円の上値抵抗線は下落基調にあり、米ドル円が持続的に下落していることが分かります。

加えて、移動平均線が下落基調である時も、下げ相場だと解釈されます。

移動平均線が価格の方向性を示すものであるため、移動平均線が下落基調だと下げ相場だと判断されるのです。

米ドル円のチャートをみてみると、移動平均線が下落基調にあることが分かります。移動平均線でも、米ドル円が下げ相場にあることが分かります。

上げ相場になる要因

次に、上げ相場になる要因についてお伝えしていきます。色々ありますが、代表的な要因を挙げております。

経済が成長している

経済が持続的に成長していると上げ相場になります。

経済が好調だと消費活動が活発化し企業の売上は増加します。企業の業績が良くなると株価が上昇し、上げ相場になっていくと考えられます。

FXでも、経済が成長すると海外展開を目指す企業が増えたり、個人が海外旅行したりすることで、外貨への需要が増加します。

※日本経済が成長すると海外投資家の円需要が増加するため、一概に外貨への需要が強まるとは言えません。その時々の市場によって解釈は異なります。

なお、経済成長を判断する代表的な指標には、次のものがあります。

国内総生産 国内総生産は、一国において新しく生産・提供された財やサービス全ての金額の合計です。経済成長率はこのGDPがどれくらい伸びたかを示すものです。
設備投資 設備投資は企業の行う投資額の増減を測定します。業況や経済の成長性を測る指標です。
小売売上高 一国の様々な規模の小売店の売上を月毎に測定する指標です。個人消費がGDPの約2/3を占める日本や米国では、景気を確認する指標として重要視されています。

各指標の詳細な説明は割愛させていただきますが、これらの指標が上向いていれば、経済が成長していると判断できるでしょう。

他にも経済成長を確認する情報は数多くあるので、自分が注目する指標や指数を複数持っておくと良いでしょう。

資金が余っている

個人や企業の資金が余っていると、投資に資金を振り分ける余裕が生じるため、相場は上昇します。

資金が余る要因には、金融緩和政策が挙げられます。

※金融緩和政策:政策金利を引き下げることで、預金金利や貸出金利を低くし世の中の資金の流通量を増やすこと。景気を持ち直すことが目的。

日本は長く低金利が続いており、個人や企業はとても低い金利で資金を借りることができます。

これにより、世の中に出回る資金が多くなり、これらが金融市場に流れることで相場は上昇していきます。

下げ相場になる要因

次に、下げ相場になる要因をお伝えしていきます。

経済が衰退している

経済が衰退していると下げ相場になります。

経済が成長している時とは逆で、消費活動が消極化し企業の売上が減少します。企業業績が悪化し株価が下落していくため、下げ相場になっていくのです。

FXでも、経済が衰退すると海外進出を踏み止まったり海外から撤退したりする企業が増えます。個人も所得が減少すると海外旅行を控えるため、外貨の需要が減少します。つまり、経済衰退が外貨需要を弱めるのです。

資金が不足している

個人や企業の資金が不足していると、投資に資金を振り分ける余裕がなくなるため、相場の下げ要因になります。

資金が不足する要因には、金融引き締め政策が挙げられます。

※金融引き締め政策:政策金利を引き上げることで、預金金利や貸出金利を高くして世の中の資金流通量を減らす政策です。景気の過熱を抑えることが目的とされています。

上げ相場と下げ相場で利益を出す方法

次に、上げ相場と下げ相場の中で利益を狙っていく方法をお伝えします。

あくまで一般的に推奨される方法ですので、相場によっては適さない場合があることにご留意ください。

上げ相場で利益を出す方法

上げ相場でも下げ相場でも利益を出すためにはトレンドフォロー売買法が推奨されます。

トレンドフォロー売買法とは、上げ相場なら買い、下げ相場なら売る、という相場のトレンドに素直に従う投資戦略のことです。

上げ相場でのトレンドフォロー売買法では、押し目買いを行っていきます。

押し目買いとは、上げ相場のなかで一時的に相場が下落するタイミングを狙って、買い注文を入れることです。

上げ相場であれば、購入時の下落はいずれ回復する可能性が高いとの見通しが立つので、積極的に押し目買いを行っていくことになります。

下げ相場で利益を出す方法

下げ相場でも、トレンドフォロー売買法で利益を狙っていきます。

下げ相場でのトレンドフォロー売買法では、戻り売りを行っていきます。

戻り売りとは、下げ相場の中で一時的に相場が上昇するタイミングを狙って、売り注文を入れることです。

下げ相場であれば、購入時の上昇はいずれ下落する可能性が高いとの見通しが立つので、積極的に戻り売りを行っていくことになります。

踏み上げと投げ売り

上げ相場と下げ相場に見られる「踏み上げ」「投げ売り」について見ていきます。

踏み上げの意味とタイミング

踏み上げとは、信用取引等で売り建てていた銘柄が予想に反して上昇し、投資家が買い戻しを行うことで相場が急騰することです。

金融業界では、売り建てていた銘柄を買い戻すことを「踏む」と表現します。そこからさらに相場全体に上昇圧力が強まり、上げ相場にまで発展することが踏み上げなのです。

投げ売りの意味とタイミング

投げ売りとは、損失が生じることを承知の上で売却することです。

信用取引等で買い建てていた銘柄が予想に反して下落し、想定以上の損失を避けるため投資家が一斉に売却を行うことで、さらに相場の下げ圧力が強まります。

投げ売りは下げ相場の始まりとして、大きなリスクの起点として注視すべきだとされています。

まとめ

今回は上げ相場・下げ相場について解説しました。

FXをはじめとする投資では、相場の方向感の予測ができないと、なかなか利益を積み上げることはできません。

そのため、移動平均線や上値抵抗線、下値支持線などを活用して、今の相場が上げ相場か下げ相場かを判断する必要があります。

また、今回お伝えした上げ相場・下げ相場になる要因も合わせて覚えれば、いち早く相場の流れがわかるようになるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました